山本光雄 訳編 『初期ギリシア哲学者断片集』

「それ〔土〕から首を持たぬ多くの頭が芽吹き、裸の腕が肩から離れてさ迷い、また眼だけが額につかずに徘徊した。」
(エムペドクレス)


山本光雄 訳編 
『初期ギリシア哲学者断片集』
 

岩波書店 
1958年5月15日 第1刷発行
1988年8月10日 第30刷発行
viii 153p 巻末折込2葉
A5判 丸背バクラム装上製本 機械函
定価2,000円



本書「まえがき」より:

「この編訳書はわたしがここ十年ばかり専門に古代哲学史を大学で講義するようになってから、学生諸君に、筆記の労を省くため、渡したプリントを基にしたものである。(中略)その後多くの学者たちの業績を参考にし、また自分の講義の経験を顧みながら、いく度か手を加えているうちに、今日のような体裁をなすに至ったものである。」
「古代哲学史のこの期の重要な資料を出来る限り、材料のままで提供することに心掛けて、注などもなるべく少くした。」



横組左綴じ。


初期ギリシア哲学者断片集


目次:

まえがき
凡例

1 古期オルペウスの徒
2 ヘシオドス
3 ペレキュデス
4 七賢人
5 タレス
6 アナクシマンドロス
7 アナクシメネス
8 ピュタゴラス及びピュタゴラスの徒
9 アルクマイオン
10 クセノパネス
11 ヘラクレイトス
12 パルメニデス
13 ゼノン
14 メリッソス
15 エムペドクレス
16 アナクサゴラス
17 レウキッポスとデモクリトス
18 ピロラオス
19 アルキュタス
20 アポルロニアのヂオケネス
21 アルケラオス
22 ヒッポン
23 クラチュロス
24 ソフィストたち
25 プロタゴラス
26 ゴルギアス
27 プロヂコス
28 ヒッピアス
29 カルリクレス
30 トラシュマコス
31 アンチポン
32 クリチアス
33 アノニュムス・イアムブリキ
34 二通りの言論
35 リュコプロン
36 アルキダモス
37 エウチュデモスとヂオニュソドロス

附録
 Diels-Kranz との対応索引
 出典索引
 出典の略符号説明
 本文中の報告者説明
 参考にした主な文献

折込
 ソクラテス以前の哲学史に対する資料の伝承譜
 地図




◆本書より◆


「古期オルペウス(’Ορφεύς, Orpheus)の徒」より:

「はじめに混沌(Χάος)があった、それに夜(Νύξ)とくらい幽冥(くらやみ)(Έρεβος)とそれから広い黄泉(Τάρταρος)とが。してまだ大地(Γή)も下空(げくう)(’Αήρ)も蒼穹(おおぞら)(Ουρανός)もなかった。その幽冥の涯しのない懐ろに、か黒の翼の夜が先ず最初に、一人でもって卵を生んだ。その中から時たち月満ちて、いとなつかしい愛( Έρως)が生れ出た。その背は金色の羽根に輝いて、疾風の渦巻にしも異らなかった。これが濶やかな黄泉でもって、暗澹として翼をもたる混沌に通い、我々〔鳥ども〕のやからを育(はぐ)くみ孵(かえ)し、まず最初に光明に接せしめたのだ。その愛があらゆるものを交わらせた前には、不死の〔神々の〕族もまだなかった。それがてんでに交わりあって、蒼穹も太洋(Ωκεανός)も大地もさきわう神々の常磐(ときわ)なる族も生じたのだ。」


「アナクシメネス」より:

「アナクシメネスは太陽は木の葉のように、平たいと言う。」

「アナクシメネスは諸星は釘のように透明なもの(κρυσταλλοειδής)に釘づけされている、と言う。」



「エムペドクレス」より:

「それ〔土〕から首を持たぬ多くの頭が芽吹き、裸の腕が肩から離れてさ迷い、また眼だけが額につかずに徘徊した。」

「二面の顔と二面の胸とを持てる多くのものが生じ、また人間の顔したる牛の子供が、或は逆に牛の頭を持てる人間の子供が生じてきた。或はまた或るところは男の恰好をし、或るところは女性の恰好をし、日蔭なる生殖器を備えたる混合物が生じてきた。」

「エムペドクレスの説くところでは、動植物の最初の発生においては、それは決して完全なものではなくて、部分が離ればなれになって、一緒に生えていないものだった。しかし第二の発生においては、それらの部分が一緒に生えた結果、化物のようなものが生じた。第三の発生においては、分化していないものが生じた。第四の発生では、もはや土や水のような凡てに共通な要素からではなくて、もうお互の関係によって生じたが、その関係は或る動物では栄養が凝縮された結果なされるのであり、他の動物ではまた女の美しい姿が生殖運動の刺戟となるからである。そして凡ての動物の類は〔元素の〕混合の具合で区別される。」



「ピロラオス」より:

「昔の神学者も予言者も、或る刑罰のために魂は肉体と一緒につながれて、ちょうど墓のように、その中に埋められているということを証している。」

「われわれ人間は一種の牢獄のうちにある……そして神々の財産の一つにすぎない。」



























































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本