『定本 柳田國男集 第二十五卷 郷土誌論 靑年と學問 他』 (新裝版)

『定本 柳田國男集 
第二十五卷 (新裝版)』

郷土誌論 靑年と學問 北小浦民俗誌 他

筑摩書房 
昭和45年6月20日 第1刷発行
563p 目次2p 口絵(モノクロ)1葉
菊判 丸背バクラム装上製本 機械函
定価980円

月報 25 (8p):
岩手と柳田先生(森口多里)/思い出すことなど(堀三千子)/挿話(吉田幸四郎)/「国語聞き方指導」覚書(中里重吉)/柳田先生の歌一首(桂孝二)/次回配本/図版(モノクロ)1点



全31巻・別巻5巻。本文正字・正かな。


本書「あとがき」より:

「○「郷土誌論」は、大正十二年三月、郷土研究社より、爐邊叢書の一冊として刊行。」
「○「靑年と學問」は、昭和三年四月、日本靑年館から發行。後昭和六年十二月、「郷土研究十講」と改題して出版されている。」
「○「郷土生活の研究法」は、昭和十年八月、刀江書院より刊行。(中略)同書の「民俗資料の分類」以下は、講述を編集したもの故省略した。
○「民間傳承論」は、昭和九年八月、現代史學大系第七卷として共立社書店より出版。第二章以下は自筆にあらざる故省略した。
○「北小浦民俗誌」は、昭和二十四年四月、日本民俗誌叢書の一冊として、三省堂より刊行。」



本文中図版3点。


柳田国男集 二十五


内容 (初出):

郷土誌論 
 序
 郷土誌編纂者の用意 (大正三年九月、郷土研究二卷七號)
 郷土の年代記と英雄 (大正三年十月、郷土研究二卷八號)
 村の年齢を知ること (大正五年四月、郷土研究四卷一號)
 村の成長 (大正五年七月、郷土研究四卷四號)
 相州内郷村の話――某會の席上にて (三越八卷十號附録)
 村を觀んとする人の爲に (大正七年十一月、十二月、同八年一月、二月、都會と農村四卷十一號、十二號、五卷一號、二號)
  趣意
  問題の中心
  調査者の資格
  所謂郷土資料
  前代郷土誌の價値
  古證文古帳面
  繪圖の效用
  地名は重要なる口碑
  準備地圖
  其地圖の利用
  字と開墾者の生活
  宅地移動
  地境と領分境と
  飛地の歴史上の意味
  地下の史料
  無ければならぬ工作物の址
  僅に殘れる前代の土工
  天然記念物の意味
 村の種類
 農に關する土俗
  
靑年と學問 
 小序
 再版に際して
 靑年と學問 (大正十四年五月、長野縣東筑摩郡教育會講演)
  公民教育の目的
  異人種觀の改良
  政治と國境と人種
  學問進出の新方向
  白色圏外の文明
  日本の分擔すべき學問
  白人學問の功績
  積極的樂觀
 旅行の進歩及び退歩 (昭和二年二月、駒場學友會講演)
  旅行道の變遷
  風流の苦痛
  漫遊者の記録
  文章の修行
  旅行は學問のうち
  地方事情の疎隔
  旅行組合の急務
 旅行と歴史 (大正十三年六月、栃木中學校講演)
  靑青年と旅
  人を知る爲に
  人生も學問
  目隱し教育の理由
  無學と社會惡
  歴史の缺乏
  土地と顧みられざる史料
  もつと考へよ
 島の話 (大正十五年十月、東京高等師範學校地理學會講演)
  世界第一の島國
  自ら學び得る國民
  島調査の計畫
  島の記録新集
  島々の問題
  移住民の二系統
  交通手段の激變
  海上遠征の史蹟
  移住と信仰との關係
  海島民族の成長
  島の政治の特徴
  悲しむべき社會觀
  島の歴史の共通點
  所謂太平洋政策の内部原因
 南島研究の現状 (大正十四年九月、啓明會琉球講演會講演)
  大災厄の機會に
  沖繩問題の未解決
  適用し難き經濟調和説
  學問と希望
  王國成立以前
  文化普及の法則
  信仰から文藝へ
  言語變遷と世相
  學問上の未開拓地
 地方學の新方法 (昭和二年二月、社會教育指導者講習會講演)
  學問に對する期待
  綜合無き學術
  一時的行詰り
  智識のあてがひ扶持
  實際の疑問から
  地方事情の異同
  顧みられざる前代
  地方研究の失敗した理由
  口碑と傳説
  教育方法としての言語
  傳統と小學校教育
 農民文藝と其遺物 (昭和二年二月、鎌倉郡靑年會講演)
  借金と信用と
  平民の智能比較
  地方文藝の衰亡
  命名技術
  形容の文句
  諺の成長
  生活用の教科書
  元は信仰の儀式から
  民謠研究の目的
  手毬唄の特色
  靑年の同情缺乏
 郷土研究といふこと (大正十四年十月、埴科郡教育部會講演)
  偶然なる起原
  郷土研究の必要な國
  地方意識と歴史
  研究單位としての郡
  地方史料の種類
  郷土研究の要件
 Ethnology とは何か (大正十五年五月、文話會講演)
  政治と植民地研究
  英佛二國の相異
  最近五十年の進歩
  合理的民俗誌學
  人類學との關係
  專門割據の弊
  二面協力の急務
  國別研究の機運
  日本民俗學
  フオクロアの新生面
 日本の民俗學 (大正十五年四月、日本社會學會講演)
  先づ名前が問題になる
  二つの學問の以前の差別
  人を見る學問
  フオクロアの成長
  民俗進化の跡
  白人の先入主
  日本人の學問上の使命
  社會學との關係

郷土生活の研究法
 郷土研究とは何か
 郷土研究と文書史料
  文書史料
  史料の擴張
  新たなる資料
  フオクロアの寶島
 資料の採集
  世の常の推移
  文書史料の限界
  從來の採集記録
  今後の採集
 諸外國の民俗研究
  英國と獨逸と佛蘭西
  自他内外二支れの學問
  學問の相互映發
 我國郷土研究の沿革
  この學風の芽生え
  計畫的採集の試み
  弱點の模倣
  新氣運の黎明
  新たなる活動への準備
 新たなる國學
  相互連絡と比較調査
  遠方の一致
  利他平等
  目標は現實疑問の解答に
  構へざる態度
  自ら知らんとする願望

民間傳承論
 序
 第一章 一國民俗學
  一 凡俗知識の研究
  二 新しい學問の成長
  三 人類學の發展
  四 今日の史學
  五 フオクロアの内容

北小浦民俗誌 
 各地民俗誌の計畫について
 北小浦民俗誌
  一 海人の村
  二 内海府の生活
  三 磯ねぎとかつぎ
  四 ナシフリから鏡へ
  五 たこ穴と蛸さぶき
  六 烏賊釣りのガザ
  七 擬餌の種類
  八 網へ延繩へ
  九 鳥と海の靈
  一〇 舟木伐る山
  一一 外部の勞力
  一二 島の牧場
  一三 毛じるし耳じるし
  一四 木じるしと家
  一五 村成長の樣式
  一六 同地分家の制限
  一七 部屋と隱居
  一八 小屋の生活
  一九 村と婚姻制度
  二〇 仲宿と小宿
  二一 同齢團の力
  二二 初忌と神參りり
  二三 旅と旅人
  あとがき

郷土科學に就いて (昭和六年九月、郷土科學講座第一冊)
郷土研究の將來 (昭和六年九月、郷土科學講座第一冊)
東北と郷土研究 (昭和五年六月、「東北の土俗」三元社)

雜誌は採集者の栞 (大正七年八月、土俗と傳統一卷一號)
實驗の史學 (昭和十年十二月、「日本民俗學研究」岩波書店、原題、「採集期と採集技能」)
採集事業の一劃期 (昭和十年三月、山村生活調査第一囘報告書)

社會科教育と民間傳承 (昭和二十三年七月、民間傳承十二卷七號)
郡誌調査員會に於て (大正七年七月、信濃教育三八一號)
新郷土誌の目的と方法 (昭和二十六年七月、北佐久郡志編纂會報第五號)

内容細目
あとがき




◆本書より◆


『北小浦民俗誌』より:

「蛸と烏賊とは、味と形とに似通うた特徴があつて、陸に住む我々素人は、兩者を親類か何かのやうに考へがちであるが、海に働く者の經驗から言へば、是ほどまちがつた想像は無いのであつた。烏賊が季節をきめて大舉移動する習性をもつに反して、たこの入道は隱者にもたとへつべき、孤棲の土着者であつた。從つて漁民の彼等に對する交渉は、最初から全く別々でなければならなかつたのである。一方の捕獲に時期があり、又其數量の莫大であつて、無限の餘剩をもてあましたらうことを考へると、(中略)是をたゞ自然の現象として眺め送り、時としては驚き怪しみ、又怖れて居たやうなことも無かつたとは言へない。現に又烏賊の神詣で、もしくは念佛の鉦の聲を聽いて集まつて來るといふ類の、神秘な傳説がまだよその島々には殘つて居る。之に反して蛸は榮螺や鮑海鼠なども同じやうに、いつでも磯に行けばもつて來られるもの、ちやうど屋敷の片隅の菜園の如く、常から用意せられる食料であつた。」

「鯨のめつたに寄らぬやうな海端に住む人たちにも、なほ漁利を祈念する神又は靈はエビスであつた。土地によつては流れぼとけ即ち溺死者の亡骸までをエビスと謂つて、それに冥助を期待した例も多い。佐渡では鯨を特にクヂラエビスと呼び、他にもなほいろいろのエビスサンがあつた。其中でも珍らしいのは、海豚は一名をカヘシモンとも稱して、是が現はれると魚群は散亂してしまふ。(中略)漁民は之を怖れて海上ではイルカとさへも呼ばず、オエベス又はオベスサンと唱えて、節分の豆を貯へて置いて之を撒いたりする。カヘシモンだのメッコだのといふ惡稱を用ゐると、愈〃あばれて網を破り、舟をそこなふことが有るとも謂つて居る。タテオベスといふのは又一種の、恐らくは幻しの大魚であつた。劍のやうな鋭どい鰭をもち、だまつて遁げて來ないと忽ちに舟を突破られる。是にも節分の豆が日頃から用意せられて、危急の場合には海に向つてそれを投付ける。或はタテエボシといふ海の怪ともとは一つで、言葉の上からの變化かとも考へられるが、ともかくもオベスサンは御夷樣の方言の訛りであり、海では此樣な恩威二つの力ある神靈を意味して居た。そあれが陸上へ進出すると、いつの間にか鯛をかゝへて咲顏をして居るやうな、純然たる福の神にもなりきつてござるのである。」


































































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

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