岡谷公二 『神社の起源と古代朝鮮』 (平凡社新書)

「森の下草の中を歩きながら、私は、日本の森だけの聖地、若狭のニソの森や対馬の天道山の中にいるような気がした。たしかにこの慶州の森は、神社にも御嶽にも通じているのだった。」
(岡谷公二 『神社の起源と古代朝鮮』 より)


岡谷公二 
『神社の起源と古代朝鮮』
 
平凡社新書 704 

平凡社
2013年11月15日 初版第1刷
2014年2月10日 初版第4刷
245p
新書判 並装 カバー
定価800円(税別)
装幀: 菊地信義



本書「あとがき」より:

「前著『原始の神社をもとめて――日本・琉球・済州島』(平凡社新書、二〇〇九年)を書いたあとも、私は済州島通いを続け、堂(タン)という、沖縄の御嶽(うたき)に似た、社殿のない、森だけの聖地を訪ね歩き、一方で相変わらず、式内社めぐり、嶽めぐりも続けていた。そうした旅の中で、思いはおのずから神社と古代朝鮮の関係へと向かっていった。」
「「神社も神宮も新羅から入ってきたのです」(「神社と神宮をめぐって」)――本文中でも引いた故金達寿氏のこの言葉に対し、神社を日本固有のものと信じている多くの日本人は、驚きや、強い反発、異和感をおぼえるであろう。(中略)しかし私は今、この言葉は多くの真実を含んでいると思っている。神社の成り立ちに、古代朝鮮、とりわけ新羅―伽耶の地域が或る役割を果たしたとだけは断言できる。私たちにとってもっとも身近な神社であるお稲荷さんや八幡様が、最初渡来人の祀った神であったことは、すでに多くの人によって論じられている。このことだけでも、神社と古代朝鮮とが無関係だとは言いえない。
 本書は、金氏の言葉を内側から検証しようとした試みである。」



本文中写真図版(モノクロ)多数。各章扉に地図。


岡谷公二 神社の起源と古代朝鮮


カバーそで文:

「日本固有のものとされてきた神社信仰だが、
その起源においては、新羅・伽耶を出自とする
渡来人の痕跡が拭い難く刻まれている。
好評の前著『原始の神社をもとめて』に続き、
日本海沿岸から韓国の慶州へと至る旅路のなかで、
原始神道における始まりの謎に迫る。

日本と古代朝鮮をつなぐ
信仰の知られざる系譜。」



目次:

第一章 近江への旅
 白鬚神社へ
 豪族三尾氏と継体天皇
 鉄と渡来人
 余呉の羽衣伝説
 新羅の影
 豪族息長氏の地にて
 園城寺と新羅善神堂
 天日槍の痕跡
 神社信仰の成り立ち

第二章 天日槍の問題
 渡来をめぐる問い
 天日槍とは誰か
 神宝から分かること
 熊神籬の意味
 出石神社
 出石と鉄
 韓国神社から気比神社まで

第三章 敦賀という場所
 伊奢沙和気=天日槍説
 常宮神社と産小屋
 白木の村で
 敦賀の重要性
 信露貴彦神社と久豆彌神社
 振媛の出自をめぐって
 大湊神社と豪族三尾氏

第四章 出雲と新羅
 出雲の特殊性
 消された新羅の痕跡
 韓国伊太氐神社の問題
 出雲の深層
 刻まれたルーツ――古墳、出土品、地名
 神社信仰の原点
 巨大神殿建立の謎

第五章 三輪信仰の謎
 祭神の問題
 出雲と大和の関係
 近年の仮説
 なぜ異族の神が祀られたか
 渡来人の足跡
 鉄をもとめて
 出雲人の東漸
 穴師たちの巡行

第六章 新羅から来た神――宇佐八幡をめぐって
 香春再訪
 古宮八幡に導かれて
 宇佐八幡の起源
 辛嶋波豆米の記憶

第七章 慶州の堂
 堂信仰の歴史
 済州島にみる原初の面影
 離島の条件が可能にしたもの
 新羅に眠る神の森
 慶州へ
 堂山木を探して
 古代の聖林
 樹齢千年の欅
 聖なる森の系譜――日本と朝鮮をつなぐもの

あとがき
参考文献




◆本書より◆


「第四章 出雲と新羅」より:

「古代の神社には、社、つまり建物はなく、森、或は巨岩を神の依り代として祀ったことについては多くの証拠がある。人工の建物を神域内に設けることは、神意にそむくことであった。社を建てたために神の怒りにふれたとは、あちこちの式内社について言い伝えられている。」
「社殿を含め、形あるものを嫌うとは、神社信仰の一つの大きな特色である。たとえば神社には、神像というものは存在しない。」
「古来人々は、神は時あって天、或いは海の彼方から来臨するものと信じていたのであり、今でも多くの神社の祭りにあって、神迎え、神送りの行事を行うのは、その端的な証拠である。そうであれば、神の依り代である森の一部を伐って、祭の際に雨露をしのぐための社殿を設けるとは、人間の都合から出たことであり、極端な言い方をすれば、神への冒涜である。
 このような心意は、今なお多くの人々の心の底に、意識されないながらにひそんでいると思われる。社殿のない、森だけの神社、聖地が点々と存在することは、そのあらわれであろう。若狭のニソの杜、近江の野神の杜、蓋井(ふたおい)島(山口県)の森山、対馬の天道山、壱岐のヤボサ、薩摩・大隅のモイドン、種子島のガロー山、奄美の神山、沖縄の御嶽(うたき)……。」

「出雲は、もちろんこのような心意伝承と無縁ではない。むしろこうした神社本来の姿をもっともよくとどめている土地の一つとさえ言うことができる。」



「第五章 三輪信仰の謎」より:

「前章で記したように、出雲には早くから新羅・伽耶の人々が入りこみ、鉄産業、須恵器から医薬に至るまでの、いわば先進文化の一つの根拠地であった。(中略)といって、こうした先進文化は、神々の世界と決して無縁ではなかった。いや、鉄産業にシャーマニズムが伴うように、両者は一体化していたと言っていい。」

「神体山、磐座、森だけの聖地など、神の原始の祀り方が残っているのが、多く新羅=伽耶=出雲とかかわりの深い土地であるのは興味深いことだ。」



























































































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難破した人々の為に。

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