松浦静山 『甲子夜話続篇 5』 (東洋文庫)

松浦静山 
『甲子夜話続篇 5』 

東洋文庫 381
中村幸彦・中野三敏 校訂

平凡社
1980年7月21日 初版第1刷発行
viii 280p 
17.3×11.7cm 
角背クロス装上製本 機械函
定価1,600円
装幀: 原弘



本書「凡例」より:

「本書は静山(せいざん)松浦清(まつらきよし)著『甲子夜話(かつしやわ)』続篇百巻を八部に分かち、巻五十四から巻六十五までを収録したものである。」
「底本には松浦素氏蔵、「平戸藩 楽歳堂蔵書」本を用いた。」



本文新字・正仮名。本文中図版多数。


甲子夜話続篇 五


内容:

凡例

甲子夜話続篇目録 続篇巻之五十四~巻之六十五

甲子夜話続篇 
 巻五十四~巻六十五




◆本書より◆


「巻五十五」より:

「或人の文通に、此節処々寺院の墓石を磨くこと種々雑説多し。是も追々聞き給ふならん。『夜話』に書き入らるべきのこと也。一昨年、西国風変、大阪邪宗門、越後地震。去年、江戸大火。今年は京都地震。数般の異事を唱ふること引もきらず。是等既に冊中に載られたり。かゝる種々の異並び至るは、拙夫この老年まで一度も遇はざることなり。又頃日(このごろ)、紀海に潮さしたるのみにて引くこと無しと云。阿波の国民一男を産せしが、生れながらにして能く言語し、けしからぬことを云ひて死したり抔(など)、其外世間の風聞数般囂(かまびす)しきことども也。江都築地門跡には蕎麦(そば)一本生じて、其尺(タケ)一丈を超したりしに、友人その枝を見たりしが、凡四尺を越しとぞ。
又墓磨は虚事にあらず。予が荘の北東なる、近所福厳寺の墓も昨夜磨きたりと聞くゆゑ、人を遣はし視せしむるに、返て曰ふ。その磨きし痕は砥石などにてすりたるにもなく、さゝら抔にて磨きたる体なり。銘に朱を入れたりと云も、紅(ベニ)がらの如き赤き物を施せり。其寺に土牆を門の如く高く築揚げ、その上に薬師の石像を安置せし、その面をも洗ひたりと覚しく磨(ミガケ)て見へ、口には赤色を塗りたり。この門牆容易に人の上り難きに、いかさま妖物の所為か、又は悪少(ワルモノ)等が為す所か。人にもせよ化物(バケモノ)にもせよ、何れか為(ス)るならん。群墓の中、向の墓を磨かんとて為(セ)しなるべく、その前の墓を推仆して、又大なる墓石に触れば、大なる方二つに割損じて有りしと。是等は遣したる者の目撃話。
又或人曰。何れの寺か某侯の墓在しを、これもその面を磨き、遂に兆域(ハカマハリ)の石籬(ヰガキ)を引壊(ヒキクズシ)したりと。
又十月八日に東漸院にて聞しは、上野の山内にも此事ありて、護国院の墓所も磨きたり。因て寺社奉行より厳しく申付ありて、以来このこと有らば即時に申達すべしとの令なりと。
又或者云。この近郷にて墓磨を心づけゐしに、或夜白衣僧形なる男女二人来り磨くゆゑ、捕へんと為しが、顧て疾視(ニラミ)たる眼懼(おそろ)しかりければ、其人退きたる間に、彼二人を見失しと。附会の説か、否。」
「又或人云ふ。上野山下の某寺にては、番人を付け置てかの妖を禁ぜしが、或夜墓間に人あるを知て、守者打より捕へたるに、一人にあらず男女なり。怪物かとたゞすに、婬会の者なりし。人皆笑散せしと。」





松浦静山 『甲子夜話続篇 6』 (東洋文庫)






































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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

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尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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