W. G. Sebald 『On the Natural History of Destruction』 (Penguin Books)

W. G. Sebald 
『On the Natural History of Destruction』 

With essays on Alfred Andersch, Jean Amery and Peter Weiss
Translated from the German by Anthea Bell

Penguin Books, 2004
x, 205pp
19.6x13cm, paperback
Printed in England by Clays Ltd, St Ives plc
Cover image: Imperial War Museum (C3371)

First published in Germany by Carl Hanser Verlag in 1999 with the title *Luftkrieg und Literateur*
First published in Great Britain by Hamish Hamilton in 2003



ドイツの作家W・G・ゼーバルトの評論集(英訳)です。


sebald - natural history of destruction 01


Contents:

Foreword

Air War and Literature: Zurich Lectures
Between the Devil and the Deep Blue Sea: On Alfred Andersch

Against the Irreversible: On Jean Améry
The Remorse of the Heart: On Memory and Cruelty in the Work of Peter Weiss

Notes



sebald - natural history of destruction 02



◆感想◆


第二次世界大戦末期にドイツの多くの都市は連合軍の空爆により潰滅し、多くの人々が凄惨な死を遂げましたが、破壊された都市の状況を文学作品の主題として取り上げたのはハインリッヒ・ベルやノサックのようなごく一部の作家のみで、都市の再建と経済成長に邁進する戦後のドイツにおいて、空爆による被害について語ることはタブーとされてきました。そうした記憶が次の世代に伝えられることなく失われてしまうことに危惧を感じた1944年生まれの著者ゼーバルトは、「Air War and Literature: Zurich Lectures」において、ドイツ人はなぜ自らの被害について口を閉ざすのか、なぜ過去を忘れようとするのかを考察しています。

「Between the Devil and the Deep Blue Sea: On Alfred Andersch」では、ナチス時代のドイツに留まってファシズムに抵抗した internal emigration の作家としての自己イメージを作り上げようとしたアルフレート・アンデルシュが、実際には名声欲によって歪められたファシスト的心性の持主であったことが検証されます。

以上二篇がドイツ語原書に収録されていた論文で、次の二篇は英訳において追加されたものです。

「Against the Irreversible: On Jean Améry」では、ゲシュタポの拷問を受けた経験をもつジャン・アメリーが、バタイユやシオランのごとき非妥協的な否定の思想家として称揚されます。
「被害者(victim)は自らに対してなされたことに対する補償を受けいれることができない。一度被害者になった者は被害者でありつづける他ない。拷問の記憶は消えることがなく、拷問による肉体的苦痛を言葉によって伝えようと試みること自体が拷問となる。」

「The Remorse of the Heart: On Memory and Cruelty in the Work of Peter Weiss」は、「世の終わりの時に犠牲者の側に立つ意志(the will to be on the side of the victims at the end of time.)」を表明した作家/画家ペーター・ヴァイスへのオマージュです。




こちらもご参照下さい:

ペーター・ヴァイス 『敗れた者たち』 (飯吉光夫訳)
ノサック 『短篇集 死神とのインタヴュー』 神品芳夫 訳 (岩波文庫)






































































































































































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