フランコ・サケッティ 『ルネサンス巷談集』 杉浦明平 訳 (岩波文庫)

「バッソは、窓を閉めたままの籠の中で、まずチチチと囀(さえず)ってからいった、「侯爵さま、あなたは二、三日前私に、なにか珍らしい籠の鳥を飼いたい、世界になん羽もいないようなのを探せとおいいつけでございました。そこで、私はいったいどんな人間か、私がどんな変りものであるか、この地上には私以上の変りものは一人もおらぬといえようと考えましたので、私がこの籠に入り、(中略)キリスト教徒の間で最も珍らしい鳥たる私をあなたに進呈する次第でございます。」」
(フランコ・サケッティ 『ルネサンス巷談集』 より)


フランコ・サケッティ 
『ルネサンス巷談集』 
杉浦明平 訳 

岩波文庫 赤/32-708-1

岩波書店 
1981年12月16日 第1刷発行
1982年4月10日 第3刷発行
407p 「話番号対照表」1p
文庫判 並装 カバー
定価500円



本書「解説」より:

「この本はフランコ・サケッティ Franco Sacchetti の『短篇小説三百篇 Trecento novelle』の翻訳である。」
「完成したのは、没年よりわずか前の一三九九年もしくは一四〇〇年だった。それまでもサケッティが、古今東西の逸話を書きためているという噂はかなり広く伝わっていて、原稿を借覧したものが少なくなかったらしい。(中略)いずれにせよ、自筆原稿のまま、一部の好事家に読まれていたのであって、印刷されたわけではない。が、サケッティの死後、その小説はいつの間にやらだれにも忘れられてしまって、(中略)十八世紀にボッターリによってはじめて出版されるまで、多数の篇が滅びて、三〇〇篇の小説は、二二三篇、そのうちほぼ完全な作品は二一五篇に減ってしまった。」
「この二二三篇を一応全訳して、『フィレンツェの人々』と題して、世界古典文庫(日本評論社)三分冊に分けて出版したのは一九四九年のことである。上巻中巻は無事に出版され、原本第百七十九話までを紹介することができたが、下巻は(中略)出版社の倒産のため、ついに陽の目を見ないでしまった。」
「今度、岩波文庫からサケッティの小説を出してもらえることになったので、自分の好みのままに七十四篇をえらび、(中略)旧訳に手を加えた。」



本書には、原書の第5、6、8、14、18、31、34、36、38、40、53、54、63、64、68、70、75、76、78、84、85、98、100、101、106、111、112、114、115、116、119、127、130、131、132、133、134、136、137、138、147、149、151、152、155、157、159、160、161、165、166、169、173、175、180、181、184、185、188、191、192、194、200、202、206、208、211、214、218、221、222、227、228、254話が、第1話~第74話として収録されています。


サケッティ ルネサンス巷談集


カバー文:

「14世紀フィレンツェの商人であったサケッティは、巷に出ては市井の出来事を見聞し『短篇小説300篇』をものした。警句・冗談・なまぐさ坊主譚・世間話が、あるいは豚や馬がいきなり走り出して市民や役人を騒動にまきこんでゆくさまが、軽妙な語り口で描かれる。ここからは市民の哄笑さえ聞こえてくるようだ。秀逸な74篇を収める。」


目次:

ルネサンス巷談集
 序 フィレンツェ市民フランコ・サケッティ作『短篇小説三百篇』の
 第一話 カストルッチョ・インテルミネルリは家来が壁に描かれたフィレンツェ市の紋章百合の花を毀(こわ)したことがあるので、戦がはじまろうとしたとき、楯(たて)の上に百合の花の紋章を描ける武士とその家来とを闘わした、そしてその家来が殺される。
 第二話 アルドブランディノ侯がバッソ・デルラ・ペンナに籠(かご)に飼っておきたいがなにか変った鳥はないかとたずねる。バッソは籠を作らせ、その中に入って侯の所に運ばれてゆく。
 第三話 痩せぎすだが学問に造詣の深いあるジェノヴァ人が詩人ダンテに、どうしたら女に愛されることができるか、とたずねる。そこでダンテはこの人に愉快な返事をする。
 第四話 アルベルト・ダ・シェナは、継母と関係を結んでいるところを父に見つけられる。そこで愉快にも奇抜な理窟をもって弁じる。
 第五話 バッソ・デルラ・ペンナは数名のジェノヴァ人詐欺(さぎ)師をだまし、ある奇抜な勝負でその持物をまき上げる。
 第六話 二人のカセンティノ大使がグイド・アレッツォ司教の所に派遣される。二人は委任されたことも、司教が自分たちにいったことも忘れる。が帰国すると立派にやりとげたといって大いに面目をほどこす。
 第七話 フェルランティーノ・デリ・アルジェンティ・ダ・スプレートはトーディの教会軍に属していたころ郊外に進軍した。やがて、雨でずぶぬれになって帰るとき、ある家による。そこで炉(ろ)ばたにふんだんのご馳走と一人の娘を見いだす。その家に三日間いすわって好きなことをする。
 第八話 三人のフィレンツェ人が、それぞれ独自の立場から、フィレンツェ対ピサ戦争にかんする新しい情報をたずさえて代表委員会に駆(か)け付け、自分がどんなことを見たか報告する。もっとも百マイル以内にはなにも起ったわけではないが。またかれらはこんな報告をしたものの、それが一体なんのことやら知らなかったのである。
 第九話 ルドルフォ・ダ・カメリーノ殿はなぜボローニャから出て来ないかとからかわれたとき、みごとな言葉でその敵ブルターニュ人の文句を凹ます。
 第十話 上にお話したルドルフォ殿が、法律を研究してボローニャから帰国した甥(おい)に時間を損したことを証明する。
 第十一話 ベルト・フォルキがさる葡萄(ぶどう)畑で百姓女といいことをしたところ、ある通行人が塀を乗りこえて、それとはつゆしらず背中に跳びおりる、そして蟇(がま)だと思いこんで逃げながら助けを呼び、村じゅうを大さわぎさせる。
 第十二話 フィレンツェのギレルロ・マンチーニは女房に、おまえのことをどのようおに噂(うわさ)していたか耳にしたところを話す、すると女房はわが身の潔白を証明せんがため、悪童仲間の問題になった点を実演して見せる。
 第十三話 偉大な画家ジョットに或る身分のいやしい男が一枚の楯(たて)の揮毫(きごう)を依頼する。ジョットはそれをからかって、その男の当惑するような絵を描く。
 第十四話 アニョロ・ディ・セル・ゲラルドは、七十歳にもなってペレトラに馬上槍試合に出かける。そして誰かが馬の尾の下にあざみを挿んでおく。そのため頭に兜(かぶと)を戴いて乗り出したが馬はとまらず、フィレンツェまで駆けもどってしまう。
 第十五話 まことにりっぱな人物で哲学者であるグイド・デ・カヴァルカンティが一少年の悪知恵にしてやられる。
 第十六話 トレルロ・ディ・マエストロ・ディーノは息子といっしょにその領地から来た二頭の豚を殺しにかかる、が結局、これを刺そうとしているうち、豚は逃げ出して井戸にはまってしまう。
 第十七話 画家ジョットは、数人の仲間と散歩に出かけるが、運悪く豚にひっくりかえされる。かれは名句をはく。しかも別のことを質問されると、また別の名句をはく。
 第十八話 マッテオ・ディ・カンティノ・カヴァルカンティが市場に仲間といっしょに立っていると、一匹の鼠(ねずみ)がズボンの中にもぐりこむ。するとかれはびっくり仰天、両替屋に逃げ込み、そこでズボンを脱いで鼠から解放される。
 第十九話 ウゴロット・デリ・アリがある朝早く起床すると、門前に葬式用の腰掛がならんでいるので、だれが死んだのかたずねる。ウゴロットが死んだという返事を聞く。そのため隣近所を大さわぎさせる。
 第二十話 シエナのある画家は、妻が情人を家へ引き込んでいると聞いて、家に踏みこんで色男を探しまわる。十字架にかかっているふりをしているのを見出すと、斧(おの)でその急所を切断しようとする、相手は、「斧で、冗談じゃないよ」といいながら、逃げてしまう。
 第二十一話 あるフィレンツェ人が非常にふしだらな生活をしていた後家を娶(めと)り、その女を懲(こ)らしめた結果、わずかの労力でかの女は貞節になる。
 第二十二話 ベンチ・サケッティは仲間の鍋から子牛の胃を拾いだして下男に家へ運ばせる、そしてそのかわりに鍋の中に帽子を入れる。
 第二十三話 ロモロ・デル・ビアンコはサンタ・レバラータ教会において、高利貸について説教する修道士に対して、出席しているものは全部貧乏人だから、金を借りる人々のことを説教せよ、と命ずる。
 第二十四話 ジョヴァンニ・アポストロは、聖人を装って、庵室に入り、三人の世捨て女を相手にこよなきたのしみを味わう。
 第二十五話 さる金工の女房が他の女と関係したことで亭主を責めると、亭主も同じ件で女房を咎(とが)める。すると女房は自分は一家のためにそうしたのだと答えて、喧嘩に勝つ。
 第二十六話 ステファノ師は、いらくさによって、代母の娘を起し二度と眠らせないようにしようといいながら、これと関係をつけようとする。娘が悲鳴を挙げると、母親は師がいらくさでやっているのだと信じて、娘が起きるまで、しっかりやってくれ、という。後でついに師が虚偽の代父であることを知り、二度とつきあおうとしない。
 第二十七話 サルヴェストロ・ブルネレスキは、数名を相手に、女房と関係を結ぶことがいかに健康に害があるかを論じている。するとフランコ・サケッティが、自分はそのために肥えたと語ったが、上述のサルヴェストロの女房はその話を窓の所で聞いていて、夜亭主の肥えるように自分のできるかぎりの力をつくす。
 第二十八話 ダンテ・アリギエリがある鍛冶屋と驢馬(ろば)引きにおのが誤ちを思い知らせる。というのはかれらが妙な言葉でかれの歌を歌っていたから。
 第二十九話 ダンテ・アリギエリは、驢馬(ろば)引きが自分の歌を歌いながら、「はいシッ、はいシッ」というのを聞いて、その男をなぐって、おれはそんな句は挿まなかったぞという。あとは物語の伝えるとおり。
 第三十話 ユッチオ・デルラ・マルカ司祭は、淫蕩の廉(かど)で異端審問官に起訴される、出頭すると裁判官の睾丸をつかまえて、自分を釈放するまで断じて放さなかった。
 第三十一話 ジェンティレ・ダ・カメリノ殿が軍勢をマテリカに派遣する。ボヴェリアノ出の歩兵若干名は、泥酔して藁堆(いなむら)と戦闘を交える、あげくのはて、さくらんぼを摘んでいるところを、全員逮捕される。
 第三十二話 メツァ・デロレノのリナルデルロ殿がフィレンツェにきて多数の法律博士を見たとき、たった一人のため自分の祖国が破滅させられたのを思うにつけどうしてフィレンツェが滅びないのか不思議がる。
 第三十三話 ベルト・フォルキは、炉(ろ)ばたにいたとき、猫につかまれる。もし機転をきかせて助けてくれる細君なかりせば、そのため一命にもかかわるような危険に瀕する。
 第三十四話 サルヴェストロ・ブルネレスキは女房を満足させて子供をこしらえるために一度温泉に行ったところ、女房は翌年もまた行きたがる。サルヴェストロは女房に、もうたくさん、他の男を相手にためして見るがいい、という。女房は夫をつれずにそこに出かける。
 第三十五話 マチェラタの住人がルッツォ伯の攻撃をうけていたころ、ある夜大雨が降ると、すわ敵とばかり、滑稽千万にも町じゅう湧き立つ。
 第三十六話 ウベルト・デルリ・ストロッツィは、カール皇帝が帝冠を戴きに通過したおり、代表委員会に入っていたが、ある日二つの面白い言い草によってその陰欝を笑いに変えさせる。
 第三十七話 ペトルッチョ・ダ・ペルジアは、司祭から十字架上のキリストが負債者であると教えられると、斧(おの)をもって十字架を切り倒しに行く。そして一文につき百文ずつを司祭からもらいたいといってとうとう払ってもらう。
 第三十八話 アルベルト親方は、フィレンツェ女こそその巧妙なことで世界一の画家であるばかりか、どんな悪鬼羅刹(らせつ)の姿をも天使の姿に変えるし、出来そこないでいびつな顔をふしぎなくらい矯正してしまうことを証明する。
 第三十九話 同じくフィレンツェ女たちが、法律を研究したわけでも習ったわけでもないのに、自分勝手の流行服を着用したうえ、独自の法律によって、さる法学博士をやっつけ混乱させた顛末(てんまつ)。
 第四十話 家の者どもが言い付けに従わないので、ボナンノ・ディ・セル・ベニツォは、完全武装して刃物を押取り、そのものどもを追って家じゅうをかけめぐる。
 第四十一話 ある金持が関税をごまかそうと思って、ズボン下に卵をいっぱい入れておく。税関吏には告げ口がされていたので、城門を通過するとき、座らせられると卵が全部つぶれて下の方にすっかりねばりつく。かれは詐欺罪で罰金を払って恥をかく。
 第四十二話 トゥールーズの一修道院長は猫かぶりして生活し、万人から聖人と仰がれ、パリの司教に抜擢(ばってき)された。長年あこがれの的であったその地位に納まると、贅沢三昧の生活をして正反対の本性を露し、司教区の財産をみごとに使い果たしてしまった。
 第四十三話 ファツィオ・ダ・ピサは星学を習って数多(あまた)の名士の前で予言しようとしたが、フランコ・サケッティから数々の理窟でといつめられてまごつき結局一つも返答できなかった。
 第四十四話 イスパニヤのジレット氏が面白い驢馬(ろば)をベルナボオ殿に贈る。するとミケロッツォ・ダ・フィレンツェは、この殿様が驢馬好きなのを知って、真紅の馬具付きの二頭を送るが、その贈物から、たいした名誉をも頂戴せず、かつ数多(あまた)の珍事が起る。
 第四十五話 ガッパデオ・ダ・プラート先生は、ディーノ先生の歿後開業しようとフィレンツェへおもむく。先生はやってきたが、馬上で溲瓶(しびん)を検査しようとしているとき、果然、馬は物怖じして思いのままならずプラートの城門まで驀進(ばくしん)する、それでもかれは絶対に溲瓶をはなさなかった。
 第四十六話 コルトーナの領主フランチェスコ・ダ・カサーレ殿はピエトロ・アルフォンソを案内して聖ウゴリーノのミイラを見せる。ピエトロは、奇抜な文句で聖徒にわるくしないでくれと頼む。そして一層奇抜な文句を並べたのち、このフランチェスコ殿の許を立ち去る。
 第四十七話 リヌッチョ・ディ・ネルロのやくざ馬がフィレンツェである牝馬(ひんば)の尻を追っかけようとして手綱を切る。そのリヌッチョは、それを追いながら、いろいろな珍事をひきおこして、ほとんどフィレンツェ人の大部分がその馬を追っかけることになる。
 第四十八話 旧市場で騾馬(らば)が奔走して広場じゅうの人々を逃げ廻らせ、そこにあった肉や布類を台なしにし、羊毛商人と肉屋との間に紛争を起こさせる。面白い事件続出のあげく、それにつづく大団円。
 第四十九話 アレッツォの司教グイドがボナミコにある物語画を描かせると、昼間描いた絵が夜のうちに一匹の牝猿(めすざる)に消されてしまう。それから起るさまざまな珍事件。
 第五十話 カルミニャノ・ダ・フォルトゥーネは、どの人が見ても解決のつかなかった判じ絵の喧嘩をば、突飛な思い付きによって通りすがりに、解決してしまう。
 第五十一話 アレッサンドロ・ディ・セル・ラムベルトは奇抜な手で、ピアン・ディ・ムニョーネの鍛冶屋チアルパに友人の歯を抜かせる。
 第五十二話 画家ボナミコは、ペルージアの広場に聖エルコラノを描くとき、その頭にうぐいの冠をいただかせる。そしてそれに続くことども。
 第五十三話 医者の姿に身をやつした道化師ゴンネルラは、ボンカスタルドに現れて、こぶ病の幾人かと、ボローニャの奉行をもうまうまだます。そしていっぱいにふくれた財布をもっておさらば。一同を損害と嘲弄の的にして置き去りにする。
 第五十四話 フィレンツェのアントニオ・プッチは、夜間数頭のけだものが自分の畠に追い込まれてるのを見出す、そして面白い手で誰がそれをしたか発見する。
 第五十五話 ジョヴァンニ・デ・メディチ氏が、意地悪いことばで、オッタヴィアノ・デリ・ウバルディニを攻撃する。と、こちらも同じ矢をもって一矢報いる。
 第五十六話 ジョヴァンニ・アウグート殿は、神か貴下に平和を授けたまうようにと説く二人のフランチェスコ会士に面白い即答をする。
 第五十七話 さる教区主任司祭が将棋(しょうぎ)をさして相手を破ると、自分の詰手(つめて)を見せびらかすため早鐘を鳴らして、人を集める。がかれの館が火事になったとき誰一人寄ってこない。
 第五十八話 ピエロ・フォラボスキは七面鳥の煮込みのなかに猫の首を見いだす。なぜそういうことがなされたかという理由と、かれの身に突発したことども。
 第五十九話 ミラノのアムブロシノ・ダ・カサレは鱒(ます)一尾を買うが、ベルナボオ殿は魚を手に入れることができぬ。アムブロシノを召してとても多大の支払をしてやると承服させようとする。するとかれは軽妙な議論によって殿から解放される。
 第六十話 画家ボナミコは師匠のターフォに眠りから呼びさまされたうえ、徹夜で仕事を命ぜられると、黄金虫の背中を光らせて室じゅうを飛び舞わさせる。するとターフォは悪魔だと信じる。
 第六十一話 上でお話したボナミコは紡ぎ車で紡ぐ女が自分を眠らせないので、新手によって、紡ぐのを止めさせる。そして思う存分眠る。
 第六十二話 フィレンツェのマッサレオ・デリ・アルビツィは、三つの見事な理窟で隣人アントニオ・タナリアの吝嗇(りんしょく)を諷刺する。
 第六十三話 数名の青年が夜中にある教会の引き網に熊の肢を縛りつけておく。すると熊が引くので鐘が鳴り、弥次馬は火事だと信じて、かけつける。
 第六十四話 ファエンツァのある貧乏人が少しずつ地所をとられる。かれは鐘という鐘をことごとく鳴らして、道理が死んでしまった、と叫ぶ。
 第六十五話 水車屋ファリネルロ・ダ・リエティはモンナ・コルラージアに惚(ほ)れる。かれの女房はそれと知って計画をめぐらしたけっかモンナ・コルラージアの家のベッドに入る。すると惚れた女の計らいによって、ファリネルロは自分の女房と添寝(そいね)しにゆく。そしてモンナ・コルラージアを相手にしているつもりで、女房を相手にしなくてはならぬ。
 第六十六話 チヴィタヌオヴァの漁夫マウロは、海蟹(うみがに)を持ち帰って網のままベッドの上におく。夜中に一匹が這(は)いだして女房の恥かしい場所をはさむ。マウロは歯で助けようとして、蟹に口をはさまれてしまう。そしてそれにつづくことども。
 第六十七話 道化師ゴンネルラはサレルノの定期市で犬の糞をば霊験あらたかな、特に予言薬として売る。そしてそれで大金を手に入れたのち、つつがなくずらかった顛末(てんまつ)。
 第六十八話 フィレンツェの郡部のさる紳士が豚を盗みにゆき、それを馬にのせる。馬はのびてしまうし、豚は塩の不足のため腐る。家に漬けてあったもう一頭の豚も同様なことになる。かくしてかれは悲観してしまう。
 第六十九話 あるユダヤ人がある婦人のために、息子が大きくなるよう、護符をこしらえ、たっぷりお礼をもらって立ち去る。数日後護符をひらいてみると、おそろしくふざけて人をばかにしたことが書いてあるのがわかる。
 第七十話 コンスタンティノポリス皇帝派遣の大使としてフィレンツェに来市せるイラリオ・ドリア氏は、さるフィレンツェ市民の下男を装った男に、悪だくみをもって、三千フィオリーノもする銀の鉢一個をとられる。
 第七十一話 ジョアンニ・ダ・バルビアーノ伯が、自分に抗するため建てられたフィレンツェの或る砦(とりで)を占領するつもりで、巧妙な条約を結ぶが、それを実現しないで、すこしも利することなく退却する。
 第七十二話 さるフィレンツェのご婦人が、雀の恋を見ていて、姑にむかってゆかいな文句を投げつける。
 第七十三話 ブルゴーニュ公は、各地の財務官を視察にまわったところ、公を盛大に歓迎しないで、その理由を述べる一人の財務官に出会う。すなわちかれは、掻払(かっぱら)いたくないのだという。そしてそれにつづくことども。
 第七十四話 

訳注
解説





こちらもご参照ください:

デ・サンクティス 『イタリア文学史 ルネサンス篇』 在里寛司・藤沢道郎 訳















































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

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