デ・サンクティス 『イタリア文学史 ルネサンス篇』 在里寛司・藤沢道郎 訳

デ・サンクティス 
『イタリア文学史 
ルネサンス篇』 

在里寛司・藤沢道郎 訳

現代思潮社 
1973年10月15日 初版
439p 目次3p
A5版 丸背クロス装上製本 カバー
定価3,000円


「本巻の翻訳は、第九章、第十章、第十五章を藤沢が、その他の章を在里がそれぞれ担当した。」



Francesco De Sanctis: Storia della letteratura italiana
原著は二巻本で、1870年に第一巻が、1871年に第二巻が刊行されました。邦訳は三巻本とのことですが、私は二巻までしか持っていません。
カバーには訳者名が誤表記されています。
各章扉に図版(モノクロ)計8点。


デサンクティス イタリア文学史 ルネサンス篇 01


目次:

第九章 デカメロン
 一 『デカメロン』――中世の否定および陽気な嘲笑
 二 ジョヴァンニ・ボッカチオの若き日の作品
 三 自然の世界と神話の世界
 四 喜劇のモチーフとその知的な源泉
 五 喜劇性の完全な表現としての『デカメロン』の散文
第十章 千三百年代(トレチェント)最後の人
第十一章 『スタンツェ』
 一 古典世界の発見と文学者の倫理的無関心
 二 完璧な人文主義者ポリツィアーノ
 三 大ロレンツォの二重の生活
 四 ボイアルドの構想力
 五 プルチの『モルガンテ』と卑俗な可笑しさ
 六 万能の人とレオン・バッティスタ・アルベルティ
第十二章 千五百年代(チンクェチェント)
 一 千五百年代(チンクェチェント)における文化の進歩
 二 牧歌と諷刺詩
 三 フランチェスコ・ベルニ――イタリア市民社会の英雄
 四 科学と物質主義
 五 時代の良心のマキアヴェリ
第十三章 『狂気のオルランド』
 一 アリオストの初期の作品、喜劇および諷刺詩
 二 『狂気のオルランド』の誕生――純粋な想像としての騎士の世界
 三 アリオストの微笑
第十四章 混合詩体(マッカローニ)文学
 一 騎士道世界のパロディー
 二 中世への諷刺
第十五章 マキアヴェリ
 一 マキアヴェリの性格
 二 ルネサンスの批判者および近代の建設者としてのマキアヴェリ
 三 スコラ的方法の崩壊とマキアヴェリの散文
 四 『フィレンツェ史』『ローマ史論』『君主論』の皮肉な論理
 五 『マンドラゴラ』と近代文学
 六 マキアヴェリの生きた部分
 七 マキアヴェリズムの実践――フランチェスコ・グィッチァルディーニ
第十六章 ピエトロ・アレティーノ
 一 時代の子ピエトロ・アレティーノ
 二 ピエトロ・アレティーノの文体と批評の独立性
 三 狡猾者の天下と千五百年代(チンクェチェント)の喜劇




デサンクティス イタリア文学史 ルネサンス篇 02



◆本書より◆


「デカメロン」より:

「わがジョヴァンニを静穏の人と呼んだ人びとは、自分たちで考えていたよりももっと深い意味を表現したのである。かれが異教徒的形式のもとに求めた新しい内容の性格は、まさしく静穏であった。中世文学は、静穏どころの話ではない。中世文学の才能はいらだちであり、彼岸に達する望みなしに彼岸を求めつづけることである。中世文学の人間は、地上に宙吊りになり、眼は天に向かい、心は希求に燃えている。その逆に、ボッカチオの人間は、牧歌的な閑暇のなかに腰をおちつけ、眼は母なる大地に向け、それに問いかけ、それから満足を得る。だがボッカチオは、自分の力が自分の本性の向かうところにあることを自覚していなかったので、静穏の人と呼ばれるのが気に入らなかった。」


「千三百年代最後の人」より:

「サケッティの短篇小説(ノヴェッラ)は、素材としては、あのボッカチオ的世界とおなじであるが、よりブルジョア的、家庭的な側面が強められている。警句、冗談、艶話、なまぐさ坊主譚、逸話、世間話が飛びだしてくる。庶民的な形式で描かれた庶民的な、低俗な生活である。『デカメロン』よりサケッティの短篇集を高く評価する人もある。文体が単純で自然で軽快で、そのうえフィレンツェ独特の才気や意地悪さにも欠けていない、というのがその理由である。けれども、サケッティの自然さは、ミューズの女神に贈り物の出し惜しみをされた人間の自然さである。かれは芸術家ではないし、そうなる意欲もない。どうみてもかれには霊感が欠けている。」


「『スタンツェ』」より:

「ポリツィアーノはこの世紀の文学におけるもっとも傑出した存在である。すでにここには公共生活にはまったく関与せず、宗教的あるいは政治的あるいは倫理的意識をまったく欠いた、そしてつれづれなるままに研究に、あるいは楽しい無為のひとときに時間をついやす、静かな生活を愛する宮廷人としての文学者のはっきりしたイメージがある。(中略)かれの書斎、あのフィエゾレの丘の小別荘は、わずか四十年でとだえた、ひとりの男の無事平穏な一生の縮図なのだ。
 ポリツィアーノは、あらゆる内容にたいして完全に無関心であったが、形式にたいしては精妙な感情をいだいていた。(中略)この古代の世界は、中世の残滓がすっかり拭いさられてしまったひとつの魂をやすやすと自分のものとしてしまった。(中略)ポリツィアーノにおいてはすべてが調和し、迷いがない。もはやここには葛藤はない。」



「『狂気のオルランド』」より:

「こうしてアリオストは古典の模倣をさけ、自己の天才に自由の力をとりもどしたのだった。かれは一五〇五年、この作品にとりかかり、その後十年間この作品に没頭しきり、またのこる人生もこの作品を推敲することでついやした。部屋ばきをはいて、モデナさして出立し、道のりの半ばまでそれに気づかなかったという語り草があるが、アリオストの放心ぶりについては、ほかにもいろいろと逸話がつたわっている。それではいったいなにが、かれの頭のなかを占領していたのであろうか。それは、『狂気のオルランド』であった。」
「この作品を真剣なものにしているのは、ひとえに芸術にたいする純粋な感情(センティメント)、自己の空想に形をあたえようとする必然的欲求であって、宗教的あるいは道徳的あるいは愛国的な感情ではけっしてなかった、もはやこうしたものは当時の芸術のなかには、ひとかけらものこっていなかったのだから。」





こちらもご参照ください:

デ・サンクティス 『イタリア文学史 中世篇』 池田廉・米山喜晟 訳
フランコ・サケッティ 『ルネサンス巷談集』 杉浦明平 訳 (岩波文庫)
































































































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