『ダンテ 神曲』 寿岳文章 訳 (集英社版 世界文学全集 2)

「ひとの世の旅路のなかば、ふと気がつくと、私はますぐな道を見失い、暗い森に迷いこんでいた。」
(ダンテ 『神曲』 寿岳文章 訳 より)


『ダンテ 神曲』 
寿岳文章 訳 

集英社版 世界文学全集 2

集英社 
1980年6月25日 第1刷発行
715p 口絵(モノクロ)1葉
四六判 丸背紙装上製本 貼函 
函プラカバー
定価1,200円
装幀: 坂野豊



本文に脚注、解説・年譜は二段組。付図9点。


ダンテ 神曲 寿岳訳 01


目次:

神曲
 地獄篇
 煉獄篇
 天国篇

後記
解説
付図
年譜



ダンテ 神曲 寿岳訳 02



◆本書より◆


「地獄篇 第一歌」より:

「ひとの世の旅路のなかば、ふと気がつくと、私はますぐな道を見失い、暗い森に迷いこんでいた。」


「地獄篇 第三歌」より:

「われをくぐりて 汝(なんじ)らは入る なげきの町に
 われをくぐりて 汝らは入る 永劫(えいごう)の苦患(くげん)に
 われをくぐりて 汝らは入る ほろびの民に
正義 高きにいますわが創造主(つくりぬし)を動かす
 われを造りしは 聖なる力
 いと高き知恵 また第一の愛
永遠のほか われよりさきに
 造られしもの無し われは永遠と共に立つ
 一切の望みは捨てよ 汝ら われをくぐる者」



「地獄篇 第八歌」より:

「われらはついにやってきた、あのもの悲しい町を囲み守る深い濠(ほり)の中へ。防壁の材は鉄、と私は睨(にら)んだ。
いくそのめぐりを重ね、ようやくに、とある場所へ着くと、舵取る水夫(かこ)、声高く叫ぶ、「さあ下(お)りた! ここが入口。」
私は見た、門の上に、追われて天より雨下した千余のともがらを。かれらは怒って、口々に叫ぶ、「誰だ、死なずに
死者のこの王土を通りぬける横着者は?」私の賢い師は、かれらと内密に話したいそぶりを示した。
それを見てかれらは尊大な侮りをややおさえ、言う。「おぬしだけ来い。ぬけぬけとこの王土へはいりおった彼奴(きやつ)は出て失(う)せろ。
愚かにも来おった道を、ひとりとぼとぼあと戻りさせるがよい。やらせろ、できるものなら! 彼奴(きやつ)につき添い、こうも暗い国を通ってきたおぬしだけ、ここにとどまれ。」
思い量(はか)れ、読者よ、この詛(のろ)いの言葉を聞いた私の落胆を。私が再びこの世に帰れるとは、ゆめ考えられなかった。」



「解説」(寿岳文章)より:

「白派との絆(きずな)を断ち切ったダンテは、まずヴェローナに赴き、土地の豪族スカラ家の一員、おそらくバルトロメオ・デルラ・スカラ方に身を寄せたが、長くはとどまらず、それからあとは、「イタリア語が話されている全地域にわたり、ほとんど残る隈(くま)無く、帆も舵(かじ)も失った船同様、一介の巡礼者、いやむしろ乞食(こじき)の身分で、放浪の旅を続けた」(『饗宴(きょうえん)』一の三)。」
「白派の被追放仲間と絶縁してからのダンテには、行きあたりばったりとともに草枕、かれの識見や詩才を賞(め)でて、庇護の手をさしのべる貴族の権門をくぐり、自負と良心のそこなわれない限り、そこでの食客生活に甘んずるよりほかにすべもなかったが、そうした客ずきの大身(たいしん)の中には、悪気(わるぎ)はないにせよ、詩人も道化師も同一視するばかりか、むしろ道化師の方を厚遇する手合いも少なくはなく、それだけにダンテの挫折(ざせつ)感や屈辱の思いは、時に痛烈を極めたに違いない。神曲天国篇第十七歌で、カッチャグイーダの霊が、天国途上のダンテに告げる言葉の一節、「そなたはひしと思い知ろう、他人(ひと)のパンの味のいかにえがらいかを、また他人(ひと)の家の梯子(はしご)を登り降りする日常の、いかにつらいかを」は、ダンテ自身の体験の問わず語りにほかならぬ。 
 しかし流竄(りゅうざん)の体験が、ダンテを練り鍛え、その視野を広くし、一フィレンツェ市民のかれを、全イタリアの市民に、いな世界の市民に育てあげたことも忘れてはならない。『俗語論』一の六の、「大海がうろくずの共通の母国であるが如く、全世界こそわが産土」という見解は、フィレンツェを追われてすでに数年のダンテなればこその発想であろう。」



ダンテ 神曲 寿岳訳 03








































































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