ボッカッチョ  『デカメロン (中)』  柏熊達生 訳  (ちくま文庫)

ボッカッチョ 
『デカメロン (中)』 
柏熊達生 訳 

ちくま文庫 ほ 3-2

筑摩書房
1987年12月1日 第1刷発行
459p
文庫判 並装 カバー
定価680円
装幀: 安野光雅
カバー装画: 大矢英雄「昼の静寂について」


「この作品は、一九五七年一一月一〇日、河出書房から刊行された「世界文学全集 1」に収録され、のち一九八一年三月二五日、ノーベル書房から三冊本で刊行された。」



ボッカッチョ デカメロン 中


カバー裏文:

「ペストを逃れて郊外に移り住んだ男3人と女7人が、毎日1人1話ずつ10日間にわたって話した100篇の物語。この巻では、天使のふりをして女性をだます修道士の話、殺された男が恋人の夢枕に立つ話、愛人といるところを夫に見つかった妻が、機智をもちいていいのがれる話など、人生の落し穴、しゃれたたくらみなどをちりばめる。」


内容:

第四日 〈デカメロンの第三日が終わり、第四日がはじまる。この日はフィロストラートの主宰のもとに、その恋が不幸な終わりをつげた人々のことを話す〉
 第一話 〈サレルノ公タンクレーディは娘の恋人を殺してその心臓を金の大盃にのせて娘に送る。彼女はそれに毒水をそそいで、これを飲みほして死ぬ〉
 第二話 〈修道士アルベルトはある婦人に、天使ガブリエッロが彼女を恋していると思いこませて天使ガブリエッロの姿をして何度も彼女と一緒に寝る。あとで彼女の親類たちが怖くなり、その家からとびおりて、貧乏人の家にかくれる。貧乏人が翌日野蛮人の姿をさせて彼を広場につれて行くと、そこで仲間の修道士たちに見破られ、捕えられて牢獄に入れられる〉
 第三話 〈三人の若者が三人の姉妹を愛し、彼女たちとともにクレーティ島に逃げる。長女は嫉妬のあまりその恋人を殺す。次女はクレーティ公に身をまかせて長女を死から救うが、その恋人が彼女を殺して長女とともに逃げる。三番目の恋人は三番目の妹とともにその罪を問われ、捕えられて罪を白状するが、死ぬのが怖さに金で牢番を籠絡し、金もなしにローディ島へ逃亡したうえ、そこで貧乏のうちに死ぬ〉
 第四話 〈ジェルビーノは、祖父グリエルモ王のあたえた誓約にそむいて、チュニス王の王女を奪おうとしてチュニス王の船と戦うが、王女はその船に乗っていた者たちに殺される。ジェルビーノは彼らを殺すが、彼も後に斬首される〉
 第五話 〈イザベッタの兄弟たちは彼女の恋人を殺す。彼は女の夢枕にあらわれ、自分がどこに埋められているかを告げる。彼女はひそかに頭を掘り出し、めぼうきの鉢にそれを入れ、毎日長いあいだ涙をそそいでいると、兄弟たちがそれを取り上げてしまい、そのすぐ後で彼女は悲嘆のあげく死んでしまう〉
 第六話 〈アンドレウォーラはガブリオットに恋している。彼女は自分が見た夢を彼に物語り、彼はも一つの夢を彼女に物語る。彼は彼女の腕に抱かれて急に死ぬ。彼女は一人の女中と一緒に男の家に死体を運んで行く途中、政庁の警邏につかまり、事の次第を告げる。市長は彼女を力ずくで従わせようとするが彼女は受けつけない。彼女の父が、逮捕のことを聞きつけ、娘に罪がないことを知って釈放させる。娘はこれ以上俗世にとどまることを拒み、修道女となる〉
 第七話 〈シモーナはパスクイーノを愛している。二人がある庭園で一緒にいる時、パスクイーノはサルヴィアの葉で自分の歯をこすり、そのために死ぬ。シモーナはとらえられて、裁判官にどんなふうにパスクイーノが死んだかを示そうとして、その葉の一枚で自分の歯をこすり同じように死ぬ〉
 第八話 〈ジロラモはサルヴェストラに恋をする。母の願いによってやむなくパリに行き、帰って見るとサルヴェストラが結婚している。ひそかに彼女の家にしのびこんで、彼女のそばに身を並べて死ぬ。教会に運ばれると、サルヴェストラが彼のそばに身を並べて死ぬ〉
 第九話 〈グリエルモ・ロッシリオーネ氏は、妻が愛していたグリエルモ・グァルダスターニョ氏を殺したうえ、その心臓を自分の妻にあたえて食べさせる。妻はこれを知って、高い窓から下に身を投じて死に、その恋人とともに埋葬される〉
 第十話 〈ある医者の妻が、麻酔薬を飲んで眠ってしまった恋人を、死んだものと思って箱に入れると、その箱を男ごと二人の高利貸しが家に持って行く。男は眼をさますが泥棒としてとらえられる。医者の妻の女中が市庁に、高利貸したちが盗んだ箱の中に男を入れたのだと申し出て、そのために、男は絞首刑をまぬがれ、金貸したちは箱を盗んだかどで罰金刑に処せられる〉
 
第五日 〈デカメロンの第四日が終わり、第五日がはじまる。この日はフィアンメッタの主宰のもとに、いくつかの残酷な、あるいは不幸な事件の後に、恋人たちに、めぐってきた幸運な事柄について語る〉
 第一話 〈チモーネは恋をして賢明となり、自分の女エフィジェニアを海上で奪う。ロードス島で投獄され、リジマコがそこから彼を救い出す。彼はリジマコとともに、エフィジェニアとカッサンドレアを結婚式のさい奪い出して、女たちをつれてクレタ島にのがれる。その後、女たちは二人の妻となり、彼らは女たちとともに、自分たちの家に呼び返される〉
 第二話 〈コスタンツァはマルトゥッチョ・ゴミトを愛しているが、その男が死んだと聞いて、絶望のあまりただ一人小舟に乗る。小舟は、風に吹かれてスーザに運ばれた。彼女はトゥニジア(チュニス)で、男が健在なのを見て、その面前に姿をあらわすと、男は、その献策によって国王の殊遇をうけ、彼女と結婚して、富裕の身となり、彼女と手をたずさえてリパリに帰る〉
 第三話 〈ピエトロ・ボッカマッツァは、アニョレッラと駈け落ちする。盗賊たちに会い、女は森へのがれて、ある城に行く。ピエトロは盗賊たちに捕えられるが、その手をのがれ、幾多の事件の後に、アニョレッラがいるその城にたどりつき、彼女と結婚して、ともに手をたずさえてローマに帰る〉
 第四話 〈リッチャルド・マナルディは、リツィオ・ディ・ヴァルボーナ氏に、その娘といるところを発見されて、彼女と結婚し、彼女の父親とも依然仲よくつきあう〉
 第五話 〈グイドット・ダ・クレモーナは、一人の少女をジャコミーノ・ダ・パヴィアにのこして死ぬ。その少女にジャンノーレ・ディ・セヴェリーノとミンギーノ・ディ・ミンゴレがファエンツァで恋をし、喧嘩沙汰に及ぶが、少女がジャンノーレの妹だとわかって、ミンギーノに妻としてあたえる〉
 第六話 〈ジャンニ・ディ・プロチダは、かつて自分が愛していて、後にフェデリゴ王に献上されていた若い娘と一緒にいるところを発見されて、娘とともに火あぶりにされることになり、火刑柱にしばられるが、ルッジェーリ・デッロリアの眼にとまって、難をのがれて彼女の夫となる〉
 第七話 〈テオドーロは、その主人アメリゴ氏の娘ヴィオランテに思いをよせて、これを妊娠させ、絞首刑の宣告をうける。鞭打たれながら、絞首台まで連れてこられるが、父親によって息子だとわかり、釈放され、ヴィオランテを妻にめとる〉
 第八話 〈ナスタジョ・デリ・オネスティは、トラヴェルサーリ家の娘を思慕して、すげなく拒絶され、その財産を蕩尽する。身内の者たちに頼まれて、キアッシに赴き、そこで一人の騎士が一人の若い婦人を追跡して、これを刺殺し、二頭の犬がこれを貪り食うところを見る。彼は自分の親戚や、自分の愛していたその婦人を食事に招待する。彼女はこの同じ若い婦人が食い裂かれるのを見て、同じような事件が起こるのをおそれて、ナスタジョを夫にする〉
 第九話 〈フェデリコ・デリ・アルベルギは恋をするが片思いに終わる。御機嫌とりのために金をつかい、財産を蕩尽して、手もとには一羽の鷹だけが残る。愛する婦人の訪れをわが家にうけて、何もないので鷹を食膳に供える。婦人はそのことを知って心が変わり、彼を夫として迎え、金持ちにする〉
 第十話 〈ピエトロ・ディ・ヴィンチョロは外へ食事に出かける。彼の妻が若者を引き入れる。そこへピエトロが帰宅する。彼女は男を鶏籠の下にかくす。ピエトロは食事によばれたエルコラーノの家で、その細君が引き入れておいた若者が見つかったことを話す。妻はエルコラーノの細君を非難する。運悪く驢馬が籠の下にいた男の指を踏みつける。男が叫び声をあげたので、ピエトロがそこに駈けつけて男をみつけ、妻の背信を知るが、最後に、自分の卑劣な行為のために妻と仲直りをする〉

第六日 〈デカメロンの第五日が終わり、第六日がはじまる。この日には、エリザの主宰のもとに、他人に挑(いど)まれて、やさしいことばでやり返したり、うてばひびく返答や助言で、損害とか、危険とか、嘲弄をのがれた者について語る〉
 第一話 〈ある貴族がオレッタ夫人に向かって、ある話をして、まるで馬に乗せていくように、道の長いのを忘れさせようと言いながら、下手糞な話をしたので、彼女に降りしてくれと頼まれる〉
 第二話 〈パン焼きのチスティは、そのことばで、ジェーリ・スピーナ氏に、氏の無分別な要求をさとらせる〉
 第三話 〈ノンナ・デ・プルチ夫人は当意即妙の返答で、フィレンツェの司教の不潔な悪(わる)じゃれに沈黙を命じる〉
 第四話 〈クルラード・ジャンフィリアッツィの料理人キキビオは、危機をのがれようとして当意即妙のことばを返して、クルラードの怒りを笑いに転じ、クルラードのために嚇(おど)しつけられた禍いをまぬがれる〉
 第五話 〈フォレーゼ・ダ・ラバッタ氏と画家ジョット氏は、ムジエッロからくる途中、たがいに相手の醜悪きわまる容貌をひやかしながらやりあう〉
 第六話 〈ミケーレ・スカルツァは、ある青年たちに向かって、バロンチ家の人々が世界じゅうで、あるいはマレンマじゅうで、一番の貴族だということを証明して、賭けていた夕飯を頂く〉
 第七話 〈フィリッパ夫人は、その恋人といるところを夫に発見されて、法廷に呼ばれ、即座に、胸のすくような返答をして、刑をまぬがれ、法律を改修させる〉
 第八話 〈フレスコは、姪に向かって、もし彼女が言うように、不快な人々を見るのがいやだったら、鏡に自分をうつして見るなと勧める〉
 第九話 〈グイド・カヴァルカンティは、ふいに自分をつかまえたフィレンツェのさる騎士たちに、警句で、慇懃(いんぎん)に悪口を言う〉
 第十話 〈修道士チポッラは、百姓たちに向かって、彼らに天使ガブリエッロの羽を見せると約束する。その羽の場所に炭を発見して、それは聖ロレンツォを焼いた炭の一部だと言う〉

第七日 〈デカメロンの第六日が終わり、第七日がはじまる。この日にはディオネーオの主宰のもとに、婦人たちが恋のために、または恋を助けるために、自分たちの夫に向かって――夫が気づいても、いなくても――今までにやってきた愚弄(たばかり)について語る〉
 第一話 〈ジャンニ・ロッテリンギは、夜、自分の戸口を叩く音を聞く。妻をおこすと、彼女は、夫にそれを幽霊だと思いこませる。二人が祈禱で、お祓(はら)いに行くと、叩く音がやむ〉
 第二話 〈ペロネッラは、夫が帰宅したので、自分の恋人をぶどう酒の樽の中に入れる。夫がその樽を売ってきたと言うので、彼女もその樽を、中にはいって頑丈かどうか調べている男に売ったのだと言う。その男は、樽から飛びだしてきて、夫にその樽を削らせたうえ、そのあとで自分の家まで運ばせる〉
 第三話 〈修道士リナルドは、名付け子の母親と寝ている。夫は、彼女と寝室にいる修道士を発見する。彼らは夫に、修道士が名付け子のために呪文で虫を追い出しているところであると思いこませる〉
 第四話 〈トファノは、ある夜、細君を屋外に閉めだす。細君は嘆願しても家にはいれないので、井戸に身を投げるようなふりをして、そこに大きな石を投げおとす。トファノが家を出てそこに駈けよると、彼女は家にはいって、彼を外に閉めだし、どなりちらして、彼を辱める〉
 第五話 〈ある嫉妬深い男が、司祭の格好をして妻の懺悔を聞く。妻は毎夜自分のところにくる司祭を愛しているということを知らせる。そこで、嫉妬深い男が、かくれて戸口の番をしているあいだに、女は屋根伝いに恋人をこさせて、彼と一緒に寝る〉
 第六話 〈ランベルトゥッチョ氏から愛されていたイザベッラ夫人は、レオネットと一緒にいるところへ、同氏の訪問をうける。そこへ自分の夫が帰ってきたので、彼女はランベルトゥッチョ氏に頼んで短剣を片手にかざしながら家を出て行ってもらう。そのあとで彼女の夫はレオネットを送って行く〉
 第七話 〈ロドヴィコはベアトリーチェ夫人に、自分が彼女によせている愛を知らせる。夫人は、夫のエガーノに自分の扮装をさせて庭へやり、自分はロドヴィコと寝る。やがてロドヴィコは起きあがって、庭へ行ってエガーノを打擲(ちょうちゃく)する〉
 第八話 〈ある男が細君に対して嫉妬深くなる。細君は、夜、指に紐を巻いて、その恋人が自分のところにくるのを知る。夫がそれに気がついて、恋人の後を追いかけているあいだに、細君は、寝台の中に、自分の代わりにも一人の別の女を寝かせておくと、夫はその女を叩いて、髪を切り、それから細君の兄弟たちのところに行く。兄弟たちは、そのことが真実でないことを知って、彼に悪罵をあびせる〉
 第九話 〈ニコストラートの妻リディアはピルロを愛し、ピルロはそれを信ずることができるようにと、彼女に三つのことを要求し、彼女はそれをことごとく果たす。またこのほかに、ニコストラートの前で、ピルロとたのしんで、ニコストラートには、彼が見たことは真実ではないと思いこませる〉
 第十話 〈二人のシエナ人が、ある婦人――彼らの一人が名付け親になっているこどもの母親――に恋をする。名付け親だった男が死んで、仲間のところへ前にしていた約束どおり戻ってきて、あの世ではどんな生活をしているかを物語る〉

解説 (柏熊達生)





こちらもご参照ください:

ボッカッチョ  『デカメロン (下)』  柏熊達生 訳  (ちくま文庫)

























































































































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