『坂口安吾全集 11』 (ちくま文庫)

「もう止してくれ。人間どものつながりの話は、もう、たくさんだ」
(坂口安吾 「不連続殺人事件」 より)


『坂口安吾全集 11』
不連続殺人事件/復員殺人事件/能面の秘密 ほか
ちくま文庫 さ 4-11

筑摩書房
1990年7月31日 第1刷発行
829p 「編集付記」2p
文庫判 並装 カバー
定価1,340円(本体1,301円)
装幀: 安野光雅
カバーデザイン: 横尾忠則



本書「解題」より:

「第十一巻には、坂口安吾が読者を視野に入れたエンターテイメントに新境地を拓いた昭和二十二年(一九四七)八月から不意に逝去した昭和三十年(一九五五)二月にかけて発表した推理小説十一篇すべてを収めた。」


新字・新かな。

本書は他の巻より各ページの行数が一行多くなっているので余白が少ないです。


坂口安吾全集11 01


目次:

不連続殺人事件
復員殺人事件
投手殺人事件
屋根裏の犯人
南京虫殺人事件
選挙殺人事件
山の神殺人
正午の殺人
影のない犯人
心霊殺人事件
能面の秘密

解説 (池内紀)
解題 (関井光男)



坂口安吾全集11 02



◆本書より◆


「不連続殺人事件」より:

「「余分の註釈はよしにして、いきなり言ってしまうが、僕は昔から、加代子を熱愛していた。然し、ともかく兄と妹なんだから、僕は色情的なものを、極めて精神的に変形し、いたわり、聖母を敬慕するような、そんな風なやさしい心をもっていたのだ。困ったことに、加代子の方が僕以上に僕を愛していたんだね、その上に、君、あれぐらい毎日何かしら読書しているくせに、非常識な話だけれども、兄の僕を恋人として愛している、兄と妹は恋をしちゃいけないのだと言ってきかせても、どうして? 世間の人がそうだって、どうして私達がそうでなければならないの? 向う見ずだよ。世間なんか、もう眼中に入れたくないのだね。それが処女の生一本(きいっぽん)の情熱で思い決しているのだから、僕は打たれた。死んでもいいと思った。崇高そのものですよ。君は信じられないかね。これ以上の崇高はないですよ。なんと云ったって、君、加代子は世間を捨てているんだからな。罪を知らないのじゃないのだ。加代子は聡明そのものだ。なんでも知っている。神のように知っている。見抜いているのだ。自分の宿命だって見抜いているさ。僕はふらふらした。ねえ、そうだろう。もし神様にやさしくだかれて悪事をささやかれたら、いったい人はどうなると思う。僕は然し危いところで思いとどまった。(中略)加代子は言うのだ。結婚しよう。神様は必ず許してくれる。そして、死にましょう、とね。僕は然し死ねない。僕はそんなに単純じゃない。僕は悪党なんだ」」












































































































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ひとでなしの猫

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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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