『坂口安吾全集 13』 (ちくま文庫)

『坂口安吾全集 13』
明治開化 安吾捕物帖 (下)
ちくま文庫 さ 4-13

筑摩書房
1990年9月25日 第1刷発行
458p 「編集付記」2p
文庫判 並装 カバー
定価930円(本体903円)
装幀: 安野光雅
カバーデザイン: 横尾忠則



本書「解題」より:

「第十三巻には、「明治開化 安吾捕物帖 (下)」として昭和二十六年(一九五一)十月から昭和二十七年(一九五二)八月にかけて発表した読み切り連作小説『明治開化 安吾捕物帖』第十二話から第二十話を発表年代順に収めた。」


新字・新かな。


坂口安吾全集13 01


目次:

明治開化 安吾捕物帖 (下)
 愚妖
 幻の塔
 ロッテナム美人術
 赤罠
 家族は六人・目一ツ半
 狼大明神
 踊る時計
 乞食男爵
 トンビ男

解説 (加藤秀俊)
解題 (関井光男)



坂口安吾全集13 02



◆本書より◆


「愚妖」より:

「近ごろは誰かが鉄道自殺をしたときくと、エ?生活反応はあったか? デンスケ君でも忽(たちま)ちこう疑いを起すから、ウカツに鉄道自殺と見せかけても見破られる危険が多い。けれども明治の昔にこの手を用いて、誰に疑われもしなかったという悪賢い悪漢がいたかも知れない。法医学だの鑑識科学が発達していないから、真相を鑑定することができないのである。指紋が警察に採用されたのが明治四十五年のことだ。
 ところが犯人にしてみると、科学の発達しない時の方が、かえって都合が悪いようなこともあった。その当時は世間の噂(うわさ)、評判というようなものが証拠になりかねない。殺された人物と誰それとは日頃仲が悪かった、という事だけでも一応牢へぶちこまれるに充分な理由となる。だから当時の犯人はアリバイがどうだの、血痕がどうだのということよりも、ふだん虫も殺さぬような顔をして行い澄ましているのが何よりの偽装手段であった。ホトケ様のような人が人を殺したり孝行息子が親を殺す筈(はず)はないと世間の相場がきまっているから、そういう評判の陰に身を隠すぐらい安全な隠れ家はない。殺した人間を遠方へ運んで行って自殺に見せかけるような手間をかけても、評判が悪ければ何にもならない。」







































































































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分野: パタフィジック

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好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

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