Robert Bresson 『Notes on the Cinematograph』 tr. by Jonathan Griffin

「Let nothing be changed and all be different.」
(Robert Bresson 『Notes on the Cinematograph』 より)


Robert Bresson 
『Notes on the Cinematograph』
 
Translated from the French by Jonathan Griffin
Introduction by J.M.G. Le Clézio

New York Review Books Classics
New York Review Books, 2016
x, 88pp, 20.3x12.8cm, paperback



本書は映画監督ロベール・ブレッソン生前唯一の著書の英訳です。仏語原著(『Notes sur le Cinématographe』)は1975年刊、ジョナサン・グリフィンによる英訳(ル・クレジオによる序文付)の初版は1986年刊で、2016年にニューヨーク・レヴュー・ブックスからインタビュー集『Bresson on Bresson』の英訳刊行を機に再刊されました。本書は短い覚書の集成ですが、インタビューでも同じ内容を(やや具体的に)繰り返し語っているので、併読するとよいです。『Bresson on Bresson』には本書についてのインタビューも収録されています。

松浦寿輝氏による日本語訳『シネマトグラフ覚書――映画監督のノート』が筑摩書房から刊行されています(1987年)。

ブレッソンは映画を「シネマ(cinema)」と「シネマトグラフ(cinematograph)」に、映画出演者を「アクター(actors)」と「モデル(model)」に二分します。フィルムに撮影された演劇としての映画が「シネマ」であり、演劇的に演技する俳優が「アクター」ですが、ブレッソンはそれに対して、映画独自のものとしての「シネマトグラフ」と「モデル」の概念を提出しています。


bresson - notes on the cinematograph


内容:

Introduction (J.M.G. Le Clézio)

Notes on the Cinematograph
 1950-1958
Further Notes
 1960-1974




◆本書より◆


「Get to know my resources, make sure of them.」

(自分が持って生まれた資質をはっきりと自覚すること。)


「Dig into your sensation. Look at what there is within. Don't analyse it with words. Translate it into sister images, into equivalent sounds. The clearer it is, the more your style affirms itself. (Style: all that is not technique.)」

(おのれの感覚を掘り下げよ。おのれの内部にあるものを熟視せよ。言葉でそれを分析するのではなく、それに相応する外界の映像や音に翻訳すること。感覚が明確化するほどにスタイルは確実なものになる。(スタイルとは、技巧以外のすべてのもののこと。)


「Corot: "One must not seek, one must wait."」

(コローは言った、「求めてはならない、ひたすら待つのだ。」)


「The actor's creative simplification has its own nobility and its reason for existing on the stage. In films it does away with the complexity of the man he is and, with this, the contradictions and obscurities of his true "I."」

(アクターの演技の創造的単純化に意義があるのは舞台の上においてだけであり、フィルムにおいてそれは彼の存在そのものの複雑さを殺してしまい、その結果、彼のほんとうの自己がそなえている矛盾や曖昧さが失われてしまう。)


「Never decide anything in advance.」

(前もって何一つ決定してはならない。)


「It is profitable that what you find should not be what you were expecting. Intrigued, excited by the unexpected.」

(想定外のものに出くわすのはよいことだ。予期せぬものは新鮮な興味と興奮を与えてくれる。)


「"That's it" or "that's not it," at the first glance. Reasoning comes afterwards (to approve our first glance).」

(最初の一瞥における「これだ」「これじゃない」。理由付けは後からくる。)


「Equality of all things. Cézanne painting with the same eye and the same soul a fruit dish, his son, the Montagne Sainte-Victoire.」

(万物の平等。果物皿も自分の子供もサント=ヴィクトワール山もおなじ眼とおなじ魂で描くセザンヌ。)


「Build your film on white, on silence and on stillness.」

(空白と、沈黙と、静止に基いてお前の映画を作りあげろ。)


「Let nothing be changed and all be different.」

(すべてのものが変えられることのないまま、他と異なってあるように。)




こちらもご参照ください:

Robert Bresson 『Bresson on Bresson: Interviews 1943-1983』 
ed. by Mylène Bresson/tr, by Anna Moschovakis



























































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本