リルケ 『マルテの手記』 星野慎一 訳 (旺文社文庫)

「彼のひととなりなど、家人たちにはわかるはずがなかった。いまや彼は、おそろしく愛されにくい者となった。」
(リルケ 『マルテの手記』 より)


リルケ 
『マルテの手記』 
星野慎一 訳
 
旺文社文庫 B 109 

旺文社
昭和44年12月20日 初版発行
昭和45年5月20日 重版発行
298p
文庫判 並装 機械函
定価170円
挿絵: 駒井哲郎



この当時の旺文社文庫はモスグリーンの機械函入でしたが、函は紛失してしまいました。また旺文社文庫は基本的に挿絵入だったので本書にも駒井哲郎による挿絵が5枚入っています。他に解説中図版(モノクロ)7点。


リルケ マルテの手記 01


目次:

マルテの手記
 第一部
 第二部

解説 (星野慎一)
 リルケの人と文学
 作品解説

内面世界への視点 (粟津則雄)

代表作品解題 (星野慎一)
参考文献 (〃)
年譜 (〃)
あとがき (〃)



リルケ マルテの手記 07



◆本書より◆


「まあ、要するに、人はみな生きるためにここへやって来るのだが、ぼくにはむしろ、ここは死にやすいところではないのか、というふうに思える。ぼくは外を歩いてきた。目にうつったのは、いくつかの病院だった。ふらふらとよろめいて倒れた男を見た。みんなが彼の回りに集まったので、そのさきの様子は、見ずにすんだ。ひとりの妊婦(にんぷ)を見た。日射しでぬくもった高い石塀にそいながら、大儀そうにゆっくり歩いていた。彼女は時おり、その塀に手をふれた。まだ塀がつづいているかどうかを、たしかめてみるかのように。たしかに、塀はまだつづいていた。その中は? ぼくは地図をしらべてみた。産院だった。なるほど。お産をさせてもらえるのだな――それが、できるところだ。そのさきは、サン・ジャック街。丸屋根の一つの大きな建物がある。地図を見ると、ヴァル・ド・グラース陸軍病院だった。格別知る必要もないことだったが、知ったからといって、困ることでもない。街(とおり)が方々からにおいはじめた。かぎわけられるかぎりでは、ヨードホルムや、いためジャガの油や、「不安」などのにおいだった。夏になると、どの町も、におうものだ。」


リルケ マルテの手記 02


リルケ マルテの手記 03


リルケ マルテの手記 04


リルケ マルテの手記 05


リルケ マルテの手記 06


リルケ マルテの手記 08




こちらもご参照ください:

『マルテの手記/影のない女 他』 川村二郎 他 訳 (集英社版 世界文学全集 66)







































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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

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