角山栄 『茶の世界史』 (中公新書)

角山栄 
『茶の世界史
― 緑茶の文化と
紅茶の社会』
 
中公新書 596

中央公論社
1980年12月20日 初版
1990年9月30日 13版
225p 目次4p
新書判 並装 カバー
定価580円(本体563円)



本文中図版(モノクロ)多数。


角山栄 茶の世界史 01


カバーそで文:

「十六世紀に日本を訪れたヨーロッパ人は茶の湯の文化に深い憧憬を抱いた。茶に魅せられ茶を求めることから、ヨーロッパの近代史は始まる。なかでもイギリスは独特の紅茶文化を創りあげ、茶と綿布を促進剤として伸長したイギリス資本主義は、やがて東洋の門戸を叩く。突如世界市場に放り出された開国日本の輸出品「茶」は、もはや商品としては敗勢明らかだった。読者がいま手に茶碗をお持ちなら、その中身は世界史を動かしたのである。」


目次:

プロローグ

第一部 文化としての茶――緑茶 vs. 紅茶
 ヨーロッパ人の茶の発見
  十六世紀の出会い
  茶の文化に驚いたヨーロッパ人
  「チャ」の語の伝播
  オランダ人が最初に選んだ茶は日本茶
  オランダの繁栄と日本の銀
  飲茶はオランダから始まる
  茶は有害か
  オランダの「茶会」
  ケンペルのみた日本の庶民の茶
  オランダの凋落
 イギリスに定着した紅茶
  コーヒー・ハウス
  くすりから飲料へ
  茶の女王と生活革命
  朝食はティとバターつきのパン
  輸入品目の首位へ
  イギリスもはじめは緑茶
  緑茶から紅茶へ
  茶が入る前の飲み物
  飲茶反対の運動
  飲茶の悩みと喜び
  労働者にはジンよりも茶を
  アラビアの飲み物・コーヒー
  コーヒーの国際競争に敗北
  「神の食料」ココアの脱落
  壊血病と茶
 紅茶文化の光と影
  驚くべき東洋の食事文化
  中国の磁器
  イギリス人の生活と紅茶
  「紅茶のよい入れ方」
  紅茶文化の特質
  砂糖を茶に入れる
  砂糖植民地と奴隷制
  茶とアヘン
  インド綿業の壊滅
  ティ・レース
  茶樹を求めて
  世紀の大発見、アッサムの茶
  待望のインド茶の成功

第二部 商品としての茶――世界市場における日本の茶
 日本の開港と世界市場
  頼るは生糸と茶
  一八六〇年代の日本茶
  紅茶製造にのり出す
  日本紅茶、濠州へ
  全国茶業組合の結成
 茶をめぐる日本の情報活動
   情報革命と「領事報告」
  日本の「領事報告」
  日本が把握した世界の茶業状況(中国の茶業/インドの茶業)
  『日本の茶生産に関する報告』
  茶の直輸出
 日本茶の戦いとその運命
  ロシア市場への進出と失敗
  最大の市場アメリカ
  日本茶と中国茶の競争
  緑茶と紅茶の競争
  緑茶文化と紅茶文化の対決
  厚い文化の壁
  岡倉点心の『茶の本』
  カナダにおける日本の緑茶
  インド・セイロン茶の挑戦
  日本茶の問題点
  政府補助金の打切り
  世界有数の茶輸入国へ
  コーヒー・紅茶と日本の近代化

エピローグ

参考文献
あとがき



角山栄 茶の世界史 02



◆本書より◆


「ヨーロッパ人の茶の発見」より:

「一七〇一年、アムステルダムで上演された劇に、「ティにいかれた御婦人たち」というタイトルのついた喜劇がある。そこには当時のオランダ貴婦人のティ・パーティの様子がパロディ風に描かれている。すなわち、ティに招かれたお客が午後二時か三時にやってくると、女主人は丁重な挨拶でうやうやしくお客を迎える。挨拶がすむと、お客は足ストーブの上に足をのせて坐る(冬でも夏でも足ストーブを使っていた)。一方、女主人は磁器製や銀細工を施した小さな茶器から、いろんな種類の茶をとり出して、銀の茶こしのついた小さな磁器製のティ・ポットに入れるが、彼女はお客に向っていちいち「どんなお茶にいたしましょうか」と重々しくたずねる儀礼を行なう。しかし茶の選択はふつう女主人にまかせられる。そこで小さな碗に茶が入れられる。」
「ところで傑作なのはその茶の飲み方である。御婦人たちは茶を茶碗で飲んだのではなく、わざわざ茶をいったん茶碗からうけ皿に移して、そのお皿の茶を音をたててすすったのである。こうして音をたてて飲むのは、結構な茶を供してくれた主人への感謝の表現法で、そうすることが礼儀正しいしぐさであると考えられていた。」



「イギリスに定着した紅茶」より:

「こんにち私たちは、イギリス人ははじめから紅茶を飲んでいたと考えがちである。そうでなくとも、茶が中国からはるばる運ばれてくる途中で、熱帯の暑さのなかで緑茶が発酵して紅茶になったという話を信じている人が多い。しかしこれは俗説にすぎない。」
「それではイギリスはどんな種類の茶を輸入していたのであろうか。一七〇二年の東インド会社の買付け注文によれば、シングロ緑茶三分の二、イムペリアル緑茶六分の一、ボヘア紅茶六分の一の割合で送るべしとある。緑茶に対する需要が圧倒的に多かったことがこれでわかる。ところが十八世紀をつうじて緑茶の割合がしだいに減少してゆく一方、紅茶の割合が年々増加してゆく。」

「いったい茶は、製造加工工程のちがいで大きく分けて緑茶と紅茶にわかれる。同じように摘まれた茶の葉が、途中の製造方法のちがいによって、発酵させないものは緑茶、発酵させたものは紅茶となり、香味も飲み方も大きくちがってくる。しかし紅茶は中国でも比較的新しい飲み物で、発明されたのは宋代だといわれている。なお発酵を途中でとめたものはウーロン茶である。」





こちらもご参照下さい:

小野二郎 『紅茶を受皿で ― イギリス民衆芸術覚書』





















































































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