ジョン・ダン 『エレジー・唄とソネット』 河村錠一郎 訳 (古典文庫)

ジョン・ダン 
『エレジー・唄とソネット』 
河村錠一郎 訳
 
古典文庫

現代思潮社
1977年6月30日 第1刷発行
218p 口絵(モノクロ)1葉
四六判 丸背紙装上製本 カバー
定価1,200円



本書「はじめに」より:

「この訳詩集は一六三五年版の『ジョン・ダン詩集』で「唄とソネット」及び「エレジー」として分類されているものをグリアソン版・ガードナー版・ショウクロス版の三種のテキストに基づいて訳出したものである。初版の一六三三年版には特に「唄とソネット」という分類名はつけられていない。(中略)ただし、「エレジー」の中でダンの作かどうか極めて疑わしいとされているもののうち四篇(中略)は除いた。」


John Donne: Elegies Songs and Sonnets


ダン エレジー 唄とソネット


カバーそで文:

「言語の変幻
マニエリスム詩文の傑作
醜怪な性の傷口から死を死を経巡る時間にはしる嘲罵の思想、冷酷なシニシズムに覆われた露骨な官能と人間の廃墟を打ち砕くエロティシズムの哄笑。
強靭な断定的懐疑で自己の瞬間的外面化をはかる
十七世紀イギリスの「形而上派」詩人ジョン・ダンの恋愛詩篇」



目次:

エレジー
 嫉妬
 字あそび
 心がわり
 香水
 男の姿絵
 背教者
 愛の御指南役
 比喩
 秋の女(ひと)
 あの人の姿(イメージ)は
 腕輪
 別れのうた
 恋人
 恋の道すじ
 床入り
 愛の戦争

唄とソネット
 おはようさん
 うた(流れ星を拾ってこい)
 女人の貞操
 大事業
 日の出
 破廉恥男
 愛の神の高利息
 聖列加入
 三重馬鹿
 愛の無限性
 うた(愛しいひと ぼくが旅立つのは)
 形見
 熱病
 空気と天使
 夜明け
 一周年記念
 別れ――窓ガラスのぼくの名に寄せて
 トウィックナム庭園
 別れのうた――書物によせて
 共有財産
 愛の成長――春
 愛の代償
 愛の制限
 夢
 別れのうた――涙によせ
 愛の錬金術
 蚤
 呪い
 伝言
 聖ルーシー祭のノクターン――一年で最も短い日
 肖像画による妖術
 餌
 亡霊
 砕けし心
 別れのうた――嘆くのはおよし
 恍惚
 愛の神
 愛の食養性
 遺言
 葬い
 花
 桜草
 聖なる遺物
 熱病
 解体
 贈られし黒玉の指輪
 否定的愛
 禁止
 終末
 計算
 逆説
 恋よさらば
 影の講釈
 しるし―ソネット
 自己愛

解説




◆本書より◆


「うた」:

「流れ星を拾ってこい
 恋茄子の根っこに子を孕ませろ
過去の歳月のありかを教えろ
 悪魔の足を裂いたのは誰だか教えろ
どうすりゃ人魚の唄うのを聞ける?
どうすりゃ嫉妬の毒針から免れられる?
  そして
  どんな風が吹きゃ
正直者が出世できるのか教えておくれ

お前さんが不思議なものや
 目に見えぬものを見る力があるなら
夜昼となく一万日ほどもお駈けなさい
 お前さんのおつむが真白になるまでさ
お前さんは帰ってくるなり
道中の不思議な話のくさぐさを
  語るだろうが
  貞節でしかも美しい女という
不思議ばかりは世になしと誓うだろうよ

そんな貞節な女がいたら教えておくれ
 恋の通路(かよいじ)たまらなかろう
いいや待てよ 行くものか
 逢引き場所が隣だろうと
お前さんが女に会ったとき そしてお前さんが
俺に知らせの手紙(ふみ)かくときまで
  たとえ女が貞節だろうと
  俺が着くまでにゃあ
男の二人や三人できちまっていようもの」




「「古典文庫」発刊に際して」より:

「精神のあらゆる指導原理がその基盤を失い、既成の諸思想がすべて無効性を暴露したかに見えるとき、古典は私たちに何を語るであろうか。今日の幻想の国家社会、大衆社会の思想的混迷と文化の停滞と「疲れたニヒリズム」とを、黙示録ふうな闇にとらえるならば、私たちがここに刊行せんとする古典の数々は、この闇に漂う鬼火でなければならぬであろう。鬼火が人をどこへ導くかは、しばらく問うまい。ただ、未来への方向において闇のなかに一歩を踏み出さんとする者は、さしあたって、その手に鬼火をつかむがよい。その手に火傷を負うがよい。古典の生命力は、なお私たちに火の衝撃をあたえずには措かぬであろう。
 そもそも古典の領域に、正統性(オーソドクシー)という概念が成立しうるであろうか。私たちはこれを疑うものである。いな、むしろ私たちは、この古典文庫において、従来の正統性とはいささか内容を異にした、新しき正統性なるものを提示せんとするものである。古典文庫は、古代から現代にいたる世界の文芸・哲学・思想・宗教・社会科学その他あらゆるジャンルを含むが、形骸化し自己神化に帰着した、死せる正統性をつねに警戒し排除することにおいて、よしんば世人の目に奇異に見えようとも、あえてこれを意に介さぬ所存である。ひるがえって、従来の通念においては異端の座に追いやられている作品といえども、そのラディカルな主観主義に、今日の要求に最もふさわしいものありと認められるならば、あえてこれを本文庫に採り入れる。私たちは、何よりも固定化を避けんとするものである。精神の危機にすすんで身をさらさんとするものである。未知なる古典の発掘、無視され忘却された古典の評価こそ、本文庫の使命とするところでなければならない。
 願わくは、権威を怖れぬ批評精神と知識欲に燃えた若き世代に、また真摯なる人生の思想的探究者、学問文芸の研究者愛好者に、本文庫が大いなる共感と愛情をもって迎え入れられんことを。
株式会社 現代思潮社」
























































































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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

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