アンソニー・ブラント 『ウィリアム・ブレイクの芸術』 岡崎康一 訳

「彼は、夢想を開示し、詩にインスピレイションを与えてくれる「霊」と自分自身がじかに接触していると信じていた。「私は、毎日毎夜、天からの使者に指導されている」と述べ、ときには、次のように、(中略)臨場感のある言葉で霊の訪問を描いている。「預言者イザヤとエゼキエルが私と食事をともにした。そこで私は彼らに訊ねた……」。」
(アンソニー・ブラント 『ウィリアム・ブレイクの芸術』 より)


アンソニー・ブラント 
『ウィリアム・ブレイクの芸術』 
岡崎康一 訳


晶文社
1982年1月30日発行
156p 索引・書誌x
別丁図版(モノクロ)64p
A5判 丸背紙装上製本 カバー
定価2,300円
ブックデザイン: 平野甲賀
カヴァー: 『ユリゼンの書』より



本書「訳者あとがき」より:

「本書は Anthony Blunt: The Art of William Blake (初版一九五九年)を全訳したものである。」


ブラント ウィリアムブレイクの芸術 01


カバーそで文:

「18世紀から19世紀にかけて、独自の宗教思想、哲学思想を詩と画に結晶させたブレイク。彼は『無垢の歌』『経験の歌』の詩人であり、同時に、それらの本のページに挿絵を描き、みづから創案した彩飾印刷法を用いて飾った画家、版画家であった。
 ヨーロッパ的規模の美術史上の知識を基盤に、152点にのぼる図版を駆使して、ブレイクの諸作品を具体的に検証した本書は、今日の「ブレイク・ルネサンス」の昂まりのなかで、ますます基礎的研究たる価値を失わない。

 アンソニー・ブラント 1907年、イギリスに生まれる。『イタリアの美術1450―1600』『ニコラ・プーサン』『ピカソ〈ゲルニカ〉の誕生』などの著書で知られるように、美術史家としての視野はヨーロッパ全域に及ぶ。33年の長きにわたって英国王室美術鑑定官をつとめたイギリス有数の美術史家である。
 「ブレイク研究は抑制を忘れた熱狂によって混乱させられてきた。私の希望は、美術史の通常の方法をブレイクに適用し、彼の芸術に対する入門書を提供することであった。」



目次:

感謝のことば
序文

1 初期のブレイク
2 ブレイクと崇高なるもの
3 ブレイクの絵画における夢想と制作
4 最初の彩飾本
5 聖書とミルトンの挿絵
6 最終段階――『イエルサレム』、ヨブ記、ダンテ

原注

付録A 『ピット』と『ネルスン』の意味
付録Aの原注
付録B トマス・バッツのためにブレイクが制作した聖書画の主題

図版説明
訳者あとがき
書誌
索引



ブラント ウィリアムブレイクの芸術 02



◆本書より◆


「この問いに答えるためには、ブレイクが絵画において何を目差していたかを思い出すことが重要である。すなわち、それは、フォルムと色彩を通じて、特別な宗教的真理に関する彼なりの想像的概念を伝達することである。したがって、彼は宗教画家という大きな一群に属しているわけだが、(中略)過去の偉大な宗教芸術家たち――シャルトル大聖堂の彫刻家たち、インドやエジプトの神殿の建造者たち、一三〇〇年代(トレチェント)のイタリアの画家たち――と比較した場合のブレイクの位置の特殊な点は、前者が自分たちが生きていた社会一般に容認されていた思想を表現したのに対し、ブレイクは孤独のうちに仕事をしたことである。
 進歩的思想が理性と科学の戦車に繋がれていた時代に、ブレイクは想像力と、霊感で得た信念を支持したのである。こうした抵抗という点では、彼はロマン派の人々や、唯物主義に反抗していたすべての人々と一致していた。しかし、理性に対する彼の同時代人たちの反応は、多くの場合、汎神論や、個人的なキリスト教的神がほとんど役割を果たさないある種の信念に結びついた。ブレイクは、同時代の英国の文学者の中では、哲学の基礎をもっぱらキリスト教に置くという点で独特であった。教義に関する彼の解釈は特異で、個人的なものであっても、福音書の信条に対する彼の信念は、彼の生涯と思想全体の基盤であった。」
「世界に敢然と挑戦した彼の勇気は、彼の思想と芸術の非常に際立った特徴となっている活力と、妥協すること、すなわち思想やフォルムの刃を鈍らせることに対する拒否となって現われていて、この点が詩と絵画における彼の傑作をただちに興味を引くものにしている。(中略)ブレイクはますます内攻していった。(中略)彼は自分の思想を、ますます個人的に、ますます他人には理解しがたくなるフォルムで、ますます強烈に展開していった。バルザックの『知られざる傑作』の主人公の場合のように、他人がどのように考えているかを無視した、理想の正確な表現への探求は、(中略)絵画における異常性をもたらす結果になったのである。」

「生涯の終りに書かれた次のような文章に述べられている、芸術の本質と機能に関する彼の信条(中略)はほとんど彼の知的遺言とみなすことができる。

  詩人、画家、音楽家、建築家。男女の別なくこれに該当しない人はキリスト教徒ではない。
  芸術の妨害になるなら、両親も家も土地も捨てなければならない。
  祈りは芸術の勉強である。
  賞賛は芸術の営みである。
  断食などはすべて芸術に関係がある。
  外面的儀式はキリスト教に反する。
  人間の永遠の肉体は想像力、すなわち神そのもの、聖なる肉体、イエスである。われわれはその器官なのである。
  人間のその永遠の肉体は、神の芸術作品となって顕現する。(永遠において、すべては夢想である)」





こちらもご参照下さい:

William Blake 『Songs of Innocence』 (Color Facsimile of the First Edition)









































































































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