『ヘシオドス 神統記』 廣川洋一 訳 (岩波文庫)

『ヘシオドス 
神統記』 
廣川洋一 訳
 
岩波文庫 赤/32-107-1 

岩波書店
1984年1月17日 第1刷発行
200p 索引13p
文庫判 並装
定価300円



HΣIOΔOY ΘEOΓONIA


ヘシオドス 神統記


帯文:

「ホメロスと並ぶギリシア最古の叙事詩人ヘシオドスが唱いあげる太古の神々の系譜。ギリシア神話・宇宙論のもっとも基本的な原典。」


目次:

凡例

神統記

訳注
解説
『神統記』系譜図
神・人名索引




◆本書より◆


「というのも 大地から 曖々(あいあい)たるタルタロスまではそれほど遠く隔たっているのだ。
すなわち 青銅の鉄床(かなとこ)が天から 九日九夜も落ちつづけて
やっと十日目に大地にとどくだろうから。
〔大地から曖々たるタルタロスまでは また同じほど隔っているのだ〕
さらにまた 青銅の鉄床は 大地から九日九夜も落ちつづけて
十日目にようやくタルタロスにとどくだろうからである。
タルタロスのまわりには 青銅の牆(かき)がめぐり
夜が三重の層をなして その喉もとのあたりに 吹き流されている。
また 上方には 大地と不毛の海の根が伸びている。
ここ 曖々たる暗闇の下に ティタンの神々は
隠されているのだ 雲を集めるゼウスの御意向のままに。
巨大な大地の涯(はて) 陰湿な場所に。
彼らは ここから 出て行くことはできない ポセイドンがその上に 青銅の門を
設けており 牆が(門の)両側をめぐっているからである。
そこに ギュゲス コットス 胆(きも)太いブリアレオスが棲(す)んでいる
神楯(アイギス)もつゼウスの忠実な見張りとして。
そこに 陰鬱な大地と曖々たるタルタロスと
不毛の海と星散乱(ちりば)える天の すなわち
すべてのものの源泉と終端が 順序よく 並んでいる。
忌わしく陰湿なこれらのものに 神々さえも 怖気(おぞけ)を振われるのだ。
それは 巨大な深穴(カスマ)で ひとたびその門に入ったら
まるまる一年かかっても その底に着けはしないだろう
凄まじい嵐につづく嵐が その者を かなたこなたへ運ぶだろう。
不死の神々にとってさえ 怖るべきものなのだ
この怪しいもの(カスマ)は。暗い夜(ニュクス)の 怖ろしい館が
そこに 建っている 陰々(いんいん)たる雲に包まれて。
その前では イアペトスの息子(アトラス)が 頭と 疲れを知らぬ両の手で
広い天をしっかりと支えている 立ったまま浮動の姿勢で。
そこでは 夜(ニュクス)と昼(ヘメレ)が 近づいてきて たがいに挨拶をかわすのだ
(入れ替りに)大きな青銅の敷居を跨(また)ぎ越すときに。
一方が 館の内に入るとき 他方は 戸口から出て来る。
その館は 彼女たちを 二人とも(一時に)なかに留めておきはしないのだ。
いつも 一方が館から出て
大地の上を巡り回る間 他方は 館の内に留まって
相手が到着するまで 自分の旅立ちの時期を待つ。」





こちらもご参照下さい:

久保正彰 『ギリシァ思想の素地 ― ヘシオドスと叙事詩』 (岩波新書)
『ヘーシオドス 仕事と日』 松平千秋 訳 (岩波文庫)



































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