呉茂一 『ギリシア神話 上巻』 (新潮文庫)

呉茂一 
『ギリシア神話 
上巻』
 
新潮文庫 2512/草 224 A

新潮社 
昭和54年10月15日 印刷
昭和54年10月25日 発行
456p 「文字づかいについて」1p
地図(巻頭折込)
文庫判 並装 カバー
定価400円
カバー: 田淵裕一
カラー写真: 野中昭夫
本文写真: 平川嗣朗/野中昭夫



本文中図版(モノクロ)11点。
全二冊。


呉茂一 ギリシア神話 上 01


目次:

はしがき (昭和44年11月)

第一章 オリュンポス以前の世界
 第一節 天地生成と世界の始め
  一、ギリシア神話の成り立ち
  二、大地ガイアの子たち、ティーターンと「夜」の子たち/ネーレウスと「海」ポントスの裔
  三、クロノスの叛逆とその統治/アプロディーテーの誕生/クロノスの子たち、ティーターンとの戦い
 第二節 ティーターンの一族
  一、黄金時代、オーケアノス(大洋神)とその娘たち/プロメーテウス兄弟/アトラースの娘たちと昴星の由来
  二、太陽神ヘーリオスとパエトーンの物語/月の女神セレーネーと暁の女神エーオース
 第三節 プロメーテウスと人間の始まり
  一、人類の起源と「地生人」/人間の五世代
  二、プロメーテウス、人間に火を与えること/文化の始まり、プロメーテウスの処罰
 第四節 女の創造と大洪水
  一、パンドーラーの手筐/『縛られているプロメーテウス』
  二、デウカリオーンの大洪水/石から生れた人間とイオーンの物語
 第五節 巨人族ギガンテスとの戦い
  一、巨人・ギガンテスとプレグラーの戦い
  二、怪物テューポーン/恐るべき子らオートスとエピアルテース

第二章 オリュンポスの神々(一)
 第一節 ゼウス大神
  一、至高神ゼウス、ゼウスの職能と祭典/オリュンピア競技とドードーネーの社殿
  二、ゼウスの配偶と家族/ザグレウスの一生、レーダーと双子神
  三、ゼウスの幼時、牝山羊アマルテイア/クーレーテスと神人ダクテュロイ
  四、オリュンピアの社と祭とについて
 第二節 女神ヘーラー
  一、神妃ヘーラーと「聖婚」
  二、その職能、お産と寡婦との守護神/お産の神エイレイテュイアと青春ヘーベー
 第三節 女神アテーナー
  一、都城の守護神/エレクテウス王とケクロプスの娘たち
  二、職能と祭儀、「処女神宮(パルテノーン)」/アテーナーの梟/少女アラクネーの物語
 第四節 アポローン神
  一、母神レートーの由来、銀弓神、防疫と予言との神
  二、デルポイと「ピューティア」、デーロス、その他の聖地
  三、ヒュアキントスとカルネイアの祭/極北人の伝説、医療の神パイエーオーン
  四、アスクレーピオスの伝説/馬人ケイローンとアドメートス
  五、ダフネーの物語/キュパリッソス
  六、ヒュアキントスの物語/キュプロス王キニュラース
  七、マルペーッサの物語その他/マルシュアースの笛
 第五節 女神アルテミス
  一、カリストーの伝説、大熊星座の由来/野山の女神、エペソスのアルテミス
  二、童貞ヒッポリュトスの物語、ブリトマルティス/ヘカテー/王女イーピゲネイア
 第六節 アプロディテー
  一、女神の生誕、その由来/「春の女神」とコリントスの遊女
  二、美少年アドーニスの物語/ズミュルナの恋/キニュラースとパエトーン
  三、アンキーセースの物語、パリスとヘレネー/典雅の神女カリテスとホーライ
 第七節 愛神エロースについて
  一、エロースの由来、「アンテロース」
  二、『愛とこころ』/ピレータースの教訓
 第八節 ヘルメースとその眷属
  一、その職能や風態/牛盗みの話
  二、牝牛になった少女イーオー/「亡魂の案内者」と民間説話
  三、カベイロイ神、牧神パーン/『ダフニスとクロエー』/半陰陽(ヘルマプロディートス)/サルマキスの泉のニンフとプリアーポス神
 第九節 その他の神々
  一、武神アレース、ローマのマールス
  二、アレースとその眷属/争いの女神エリス、ミニュアースの一族
  三、鍛冶の神ヘーパイストス/単眼鬼キュクロープス、ウォルカーヌス
  四、女神ヘスティアー、ウェスタ
  五、芸神ムーサイについて/楽人オルペウスとエウリュディケー

第三章 オリュンポスの神々(二)
 第一節 女神デーメーテールとコレー
  一、穀神デーメーテール(ケレース)エレウシースの秘儀/『ペルセポネーの誘拐』
  二、幼児デーモポーン、レバディアの鵞鳥/アスカラボス少年とトリプトレモス
  三、イーアシオーンとエリュシクトーンの話/牝馬としての女神
 第二節 ディオニューソス神とその眷属
  一、「ゼウスの子」、女神セメロー/カドモスの娘セメレー/リュコエルゴスの伝説
  二、テーバイ王ペンテウスの伝説/プロイトスの娘たちとメランプース/海豚になった海賊
  三、王女アリアドネーとの恋/神人イーカリオスとエーリゴネーの死
  四、ディオニューソスと演劇/バッコスおよび Bacchai/ザグレウスの物語
  五、サテュロスとシーレーノス/ミダース王の物語
  六、牧神パーンについて/ニンフ・シューリンクス(笙)とピテュス(松)/木精エーコーの物語/パーンの予言と死
  七、大母神キュベレーとコリュバンテス/アッティスの物語、サバジオス神
 第三節 地下の神々
  一、プルートーン、ディース(ハーデース)/神妃ペルセポネーと番犬ケルベロス
  二、冥界の河々、渡守カローン/判官ミーノースたち
  三、奈落タルタロスの住人たち/極楽/エーリュシオンと幸福の島(マカローンネーソイ)
  四、女神ヘカテー、死と眠りの神々
  五、復讐の女神エリーニュース
 第四節 水域の神々
  一、ポセイドーンと馬、パンイオーニア祭/妃アンピトリーテー、トリートーン
  二、キーオネーの物語、テューローの物語/メラニッペー、アロペーとその子
  三、巨人アローアダイ、オーリーオーン星座の由来/メドゥーサと天馬ペーガソス
  四、河の神々と「海原」ポントス/ネーレウスの娘ネーレイデス/アキスとガラテイアの物語
  五、虹の女神イーリス、怪鳥ハルピュイアイ/ピーネウス王の物語、ポルキュースとケートー
  六、海の老人プローテウス/カストールとポリュデウケース、レウコテアー/海坊主グラウコスとスキュラの物語、セイレーネス

第四章 諸王家の伝説
 第一節 アイオロスの一族
  一、ヘレーンの子孫、テューローの物語/予言者メランプースの物語
  二、アドメートスとアルケースティス
  三、アタマースの子たち/金毛の牡羊/シーシュポスの悪知恵、アウトリュコスとグラウコス
  四、英雄ベレロポーンの伝説/英雄サルペードーン/テュンダレオースの娘たち
  五、エンデュミオーンの物語/マルペーッサの婿えらび/英雄メレアグロスの功業/大猪狩、アタランテーの物語
  六、プローテシラーオス、死を越える愛の物語
  七、義人アイアコスとその一族/ペーレウスとテティスの婚礼/アイアースの物語/アステュダメイアの邪恋
 第二節 タンタロスの一族
  一、タンタロスの驕りと処罰/ペロプスと王女ヒッポダメイア/アトレウスとテュエステース、復讐の饗宴
  二、アガメムノーンの説話、王女エーレクトラー、オレステースとイーピゲネイア



呉茂一 ギリシア神話 上 02



◆本書より◆


「第二章 オリュンポスの神々(一)」より:

「また密教の一種であるオルペウス教徒の神話によると、ゼウスは自分の娘であるこのペルセポネーを熱愛して、ついに蛇形をかりて思いを遂げた(蛇は大地の精である)。その結果生れたのがザグレウスという神だという。ところが、例によって嫉(ねた)み深い神妃ヘーラーは、何とかしてこの子に仇(あだ)をしようと、地下に籠(こも)るティーターンらをそそのかして、ついにこの幼児をいろんな玩具でつり出し、殺害した上ばらばらに手足を裂いて食ってしまわせた。ところがアテーナー女神が早くもそれに気づいて、凶漢どもを追い散らし、かろうじて残っていた心臓をゼウスのもとへもたらして次第を訴えた。
 木石ならぬゼウスはもとより烈火のごとくに憤って、すなわち雷火をもってティーターンたちを焼き滅ぼしてしまった。そのティーターンたちの灰からして人間は造られたのであった(もともと人類というのは灰に縁が深いということを我々は忘れてはならない)。ところでティーターンは、神として最も神聖なザグレウスの四肢を食っていたので、その肉も灰も、したがって神的な要素を含んでいた。それ故、それからできた人類も、ティーターンらの、極悪非道な性(さが)のうちにも、ある神的なものを潜めている、というわけであった。」

「このエレクテウスは、別人とされているエリクトニオスとおそらく同一人で、共にエリ(はなはだしく、大いに)とクトーン(「土壌、地」の義で、ラテン語の humus スラブ系の Zem- ギリシア語にも 'Cham-ai 「地に」がある)との合成語と見られ、「豊饒(ほうじょう)な大地(の子、男、神)」を意味し、しばしば「まさに(その)土地(の子)(アウトクドーン)」と呼ばれるようにたぶんは地神に属しよう。ポセイドーンも大地と縁の深い神であるから、彼がその子と称せられるのも故のないことではない。それをアテーナー女神は一つの筐(はこ)に納め、アテーナイ王ケクロプス(伝説の古王で、大地から生れ下半身は蛇形と伝えられる。蛇が大地の象徴であるのは前にも述べた)の三人の娘アグラウロス、ヘルセー、パンドロソスに託して養育させた。この筐は、けっして覗(のぞ)き見してはならないということであった。ある言い伝えでは、娘たちは禁ぜられたもので、いっそう見たくてたまらず、とうとう女神の隙をうかがい、そっと開いて見ると、嬰児(えいじ)をとり巻いて蛇が籠(こも)っていた、あるいは嬰児の足が、ケクロプス王と同じく、蛇になっていた、ともいう。そして彼らは女神の罰で気がふれ、アクロポリスの崖(がけ)から投身して死んだという。
 しかし本当は、この三人の娘は「輝かしい微風」「露」「すべての湿(うるお)い」という名の、精霊ないしは女神であるに違いない。そして彼らがこの「大地の豊饒さ」エリクトニオスを、育てあげるのである。」






呉茂一 『ギリシア神話 下巻』 (新潮文庫)










































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