『増補 ギリシア抒情詩選』 呉茂一 訳 (岩波文庫)

「はつかなれども花さうび」
(メレアグロス)


『増補 
ギリシア抒情詩選』 
呉茂一 訳
 
岩波文庫 赤/32-101-1 

岩波書店
1952年6月25日 第1刷発行
1987年11月5日 第7刷発行
283p
文庫判 並装
定価500円



本書「小序」より:

「こゝに譯出した六十餘篇は、勿論その滿天の星のごとき多數に比べれば、九牛の一毛にも足らないものである。然も國語に移されたそれらは、不幸にも天界を逐はれて、地上に墜下した隕石のやうに黝く固く、むかしの輝きはそのいづこに求むべくもないであらう。それをもとの輝きにかへすのは、時空を超えた想像の力に俟つばかりである。それを私は讀者に期待してもよいであらうか。」


正字・正かな。


呉茂一 ギリシア抒情詩選


目次:

小序 (一九三八・八・一〇)
增補改版に際して (一九五〇・一〇・一〇)

アルクマアン
アルカイオス
サッポオ
イビュコス
アナクレオン
アナクレオンテア
シモーニデース
ピンダロス
テオクリトス
ギリシア詞華集
 Ⅰ 戲詩及び時詠
 Ⅱ 戀愛詩
 Ⅲ 悼詩及び碑銘
 Ⅳ 諷刺詩

解註




◆本書より◆


「アルクマアン」より:

「眠るは山の嶺
  かひの峡間(はざま)
またつゞく尾根
  たぎつ瀨々
また地を爬ふものは
  か黑の土の育(はご)くむところ
山に臥すけだもの
  蜜蜂の族
また紫の潮のおくどに
  濳む異形(いぎやう)の類、
眠るは翅ながの
  鳥のうから。」



「アルカイオス」より:

「…………あるかでぃあの 里人は
椎の實喰ひで あつたげな…………」



「サッポオ」より:

「夕星(ゆふづつ)は、
かゞやく朝が八方に
ちらしたものを、
みな もとへ
つれかへす
羊をかへし、
山羊をかへし、
母の手に
子をつれかへす」

「月は入り
  すばるも落ちて
夜はいま
  丑滿の
時はすぎ
  うつろひ行くを
我のみは
  ひとりしねむる」



「シモーニデース」より:

「行く人よ、
ラケダイモンの  國びとに
ゆき傳へてよ

この里に
御身らが  言(こと)のまにまに
われら死にきと」



「ギリシア詞華集」より:

「アンティパトロス

  コリント懐古

仰ぎ見し汝が美しさ そもいづこぞや ドーリスのコリント、
  いづこぞ堂塔のかざしは、そのかみの財寶は。
いづこぞ神々のやしろ、高き宮居は、シシュポス族の女らは、
  ありし日のよろづの民は。
いまその跡すらも絶えてなし、さだめいと拙(つた)なき都よ、
  ありとあるものみな 戰ひに 一掃しつくされぬ。
たゞひとり我らネーレイドの、海神(オーケアノス)の娘のみ なほ殲(つ)きずして
  汝が嘆きの翡翠(かはせみ)と   いまにのこるを。」

「プラトオン

星を眺める
   わたしの星彦(アステール)、
えい 大空ともなつて
   たくさんな眼で、
お前をふりさけ
   見たいもの。」

「グラウコス

   海に死せる者の碑

灰ならず、はつかなる石の重みならず、エラシッポスの
  墓は見たまふかぎりの 海原すべて――
舟のむた死にたれば。 その骨は いづこにか何時(いつ)か
  朽ちてあらむ、語るを知るは たゞ鴎(かもめ)のみ。」

「カルリマコス

「太陽よ、さらば」と言ひすてアンブラキアの人
            クレオンブロトスは
高い壁がこひから飛び下りて
            冥途へ赴つた。
別に死ぬほどひどい不幸にあつた
            ともなく、ただプラトオンの
靈魂についての本一冊を
            讀んだばかりに。」

「讀人しらず

花さうび、
花のさかりは
ひとときか

すぎされば、
尋ぬとも
花はなく、
あるは茨のみ。」




◆本書収録詩人◆


アルクマアン 4篇
アルカイオス 17篇
サッポオ 25篇
イビュコス 5篇
アナクレオン 14篇
アナクレオンテア(アナクレオン風歌謡) 6篇
シモーニデース 33篇
ピンダロス 「ピューティア祝勝歌」より
テオクリトス 「ヒュラース」、「ヘレナアの婚禮歌」より、「テュルシスの歌」の一部

メレアグロス 11篇
プラトオン 7篇
カルリマコス 7篇
アスクレーピアデース 7篇
タラースのレオーニダース 2篇
ニーキアース 2篇
マルクス・アルゲンタリウス 2篇
シドンのアンティパトロス 2篇
ポンペイオス・ネオーテロス 1篇
アニュテエ 1篇
アンティパトロス 1篇
トゥーキューディデース 1篇
ノッシス 1篇
エジプトの太守ユーリアーノス 1篇
アガティアース 1篇
バッキュリデース 1篇
ヘルモクレオーン 1篇
ダーモカレース・グランマティコス 1篇
グラウコス 1篇
ルーキアーノス 1篇
メレアグロス 1篇
ディオティーモス 1篇
テッサリアのエリューキオス 1篇
マケドオンのアンティパトロス 1篇
クリーナゴラース 1篇
フィロデーモス 1篇
ストラトオン 1篇
テッサロニーケーのアンティパトロス 1篇
ディオニュシオス・ソピステース 1篇
マケドーニオス 1篇
ルフィーヌス 1篇
読人しらず 12篇




こちらもご参照下さい:

『ギリシア・ローマ抒情詩選 ― 花冠』 呉茂一 訳 (岩波文庫)
























































































































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