『アリストテレース 動物誌 (下)』 島崎三郎 訳 (岩波文庫)

「こういった生物は物に固着していて、多くは引き離されると死んでしまうからで、たとえば、タイラギは物に固着しているし、マテガイは穴から引き出されると生きていられなくなる。」
(アリストテレース 『動物誌』 より)


『アリストテレース 
動物誌 (下)』 
島崎三郎 訳
 
岩波文庫 青/33-604-11

岩波書店
1999年2月16日 第1刷発行
381p 索引72p
文庫判 並装 カバー
定価760円+税



本書「凡例」より:

「本書は、アリストテレースの『動物誌』(Peri ta zōia historiai, Historia animalium)の後半(第七巻―第十巻)の訳である。」


そういうわけで、他人とは思えない貝はマテガイ、身につまされる動物はヒツジであります。


アリストテレース 動物誌 下


カバー文:

「本書ではヒトの発生論(第7巻)、動物生態学および心理学(8、9巻)からヒトの不妊症の問題(10巻)までを扱う。アリストテレースの動物学書は、彼の学問的立場が本質的には生物学を基礎としていることから、自然科学のみならず哲学的論文の理解のためにも重要なものであり、西洋の科学文明の礎石とも言うべき書である。索引付。」


目次:

凡例

第七巻
 第一章 男女の思春期の徴候
 第二章 月経
 第三章 妊娠の徴候 下り物と流産
 第四章 妊娠 双生児および多生児
 第五章 授乳 出産期
 第六章 妊娠期間 生殖と出産の個体差 奇形の遺伝 両親との類似
 第七章 受胎 胎児の発育
 第八章 胎児
 第九章 陣痛
 第十章 分娩 新生児
 第十一章 乳 乳房の疾患
 第十二章 幼児の疾病
第八巻
 第一章 動物の心理学 生物界の段階における連続性の原理 植物と動物の定義 
 第二章 陸上動物と水生動物 イルカ 胚体の微小な変化が発生に影響する 水生動物の習性と食物 ウナギとその漁法
 第三章 鳥類の食物と習性
 第四章 卵生四足類とヘビ類の食物と習性
 第五章 胎生四足類の食物と習性
 第六章 胎生四足類の飲み水 ブタの食物と肥育法
 第七章 ウシの食物と肥育法 ウシの品種
 第八章 ウマ、ラバおよびロバの食物 家畜の飲み水
 第九章 ゾウの食物 ゾウとラクダの寿命
 第十章 ヒツジとヤギの食物
 第十一章 有節類(昆虫類)の食物
 第十二章 鳥類の移動
 第十三章 鳥類の習性と移動
 第十四章 有節類(昆虫類)の越冬
 第十五章 魚類の越冬
 第十六章 鳥類の越冬
 第十七章 胎生四足類の越冬 ヘビ類、有節類および軟殻類の脱皮
 第十八章 鳥類その他の動物に及ぼす季節や天候、乾燥や湿潤の影響 鳥類の病気
 第十九章 魚類に及ぼす上記の影響 魚類の寄生虫
 第二十章 魚類の病気 海のシラミ 毒物その他による魚の漁法 貝類に及ぼす雨や乾燥、暑さや寒さの影響
 第二十一章 ブタの病気
 第二十二章 イヌ、ラクダおよびゾウの病気
 第二十三章 ウシの病気
 第二十四章 ウマの病気
 第二十五章 ロバの病気
 第二十六章 ゾウの病気
 第二十七章 有節類(昆虫類)について ミツバチの巣の寄生虫
 第二十八章 動物の生息地の相違 動物の形態に及ぼす気候の影響
 第二十九章 動物の習性に及ぼす気候の影響 ある地方の有毒動物
 第三十章 魚類その他の海産動物の季節的健康状態
第九巻
 第一章 動物の心理学 両性の心理的相違 種々の動物の相互間の友好関係と敵対関係 ゾウの習性
 第二章 群遊魚について 魚類における敵対関係
 第三章 ヒツジやヤギの習性と知能
 第四章 ウシやウマの習性と知能
 第五章 シカの習性と知能
 第六章 種々の動物の習性 野生動物の治療薬 ハリネズミやテンの悪賢さ
 第七章 ツバメの造巣 ハトやヤマウズラの交尾、産卵および育雛
 第八章 ウズラやヤマウズラの交尾、産卵および育雛(続き)
 第九章 キツツキについて
 第十章 ツルの知能 ペリカンについて
 第十一章 ワシとハゲワシについて ミソサザイやその他の鳥類について
 第十二章 ハクチョウについて カルキスまたはキュミンディスについて その他の鳥類について
 第十三章 カケスについて コウノトリとハチクイの親子の情愛 ニクケイドリについて
 第十四章 カワセミとその巣
 第十五章 ヤツガシラやその他の鳥類について
 第十六章 ヨシキリについて
 第十七章 クイナについて ゴジュウカラについて キバシリについて
 第十八章 サギについて
 第十九章 クロウタドリについて ライオスについて
 第二十章 ツグミについて
 第二十一章 アオイトリについて
 第二十二章 オーリオールについて
 第二十三章 バルダロスとコルリュリオーンについて
 第二十四章 コクマルガラスの種類について
 第二十五章 ヒバリについて
 第二十六章 ヤマシギについて
 第二十七章 エジプトのイービスについて
 第二十八章 コノハズクについて
 第二十九章 カッコウについて
 第三十章 キュプセロスについて ヨタカについて
 第三十一章 オオガラスについて
 第三十二章 ワシについて
 第三十三章 スキュティアの大きな鳥について
 第三十四章 ヒゲワシについて
 第三十五章 ケッポスについて
 第三十六章 タカについて トラーキアのタカ狩り マイオーティス湖畔のオオカミ
 第三十七章 アンコウ、シビレエイその他の魚類の習性 コウイカやフネダコについて
 第三十八章 勤勉な有節類(昆虫類) アリについて
 第三十九章 クモとクモの巣
 第四十章 ハチの種類 ミツバチの生活
 第四十一章 スズメバチについて
 第四十二章 アントレーネーと称するハチについて
 第四十三章 マルハナバチについて
 第四十四章 ライオンやその他の動物の気性
 第四十五章 メッサピオン山のヤギュウ
 第四十六章 ゾウについて
 第四十七章 ラクダについて スキュティア王の雌ウマ
 第四十八章 イルカの愛情深い性質
 第四十九章 雄ドリのようになった雌ドリ
 第五十章 去勢の影響 反芻について
 第四十九B章 鳥類の変態 ヤツガシラについて 水浴びする鳥と砂浴びする鳥
第十巻
 第一章 ヒトの不妊症の原因は子宮や月経にある
 第二章 月経および子宮頚部の検査
 第三章 子宮の正常態と異常態
 第四章 不妊症のその他の原因――子宮の痙攣と腫瘍など
 第五章 不妊症の原因(続き)――男女両性の射精の不一致 射精量 子宮内部の解剖
 第六章 生殖における雌(女)性の役割
 第七章 奇胎について

訳注
解説
あとがき
索引




◆本書より◆


「第8巻 第1章」より:

「このように、自然界は無生物から動物にいたるまでわずかづつ移り変わって行くので、この連続性のゆえに、両者の境界もはっきりしないし、両者の中間のものがそのどちらに属するのか分からなくなる。すなわち、無生物の類の次には、まず植物の類が続き、植物のうちの各々は、生命を分与されていると思われる程度の差によって互いに異なるが、植物の類全体としては、他の〔生命のない〕物体に対してはほとんど生物のようであり、動物の類に対しては無生物のように見えるのである。いま述べたように、植物から動物への移り変わりは連続的である。現に、海産の生物には、動物なのか植物なのかよく分からないようなものがある。なぜなら、こういった生物は物に固着していて、多くは引き離されると死んでしまうからで、たとえば、タイラギは物に固着しているし、マテガイは穴から引き出されると生きていられなくなる。一般に、殻皮類〔貝類〕は全体として、移動性の動物に比べると、植物に似ている。また、感覚という点では、こういう生物のうちのあるものは、持っている証拠を何も示さないし、あるものは、示すにしても、あまりはっきりしない。あるものは、たとえば、「ホヤ」と称するものやイソギンチャクの類のように、身体の構成が肉質であるが、カイメンとなると、植物にそっくりである。また、動物間では、一つ一つがわずかの差異をもって、だんだんに生命と運動性を増して行く。」


「第8巻 第28章」より:

「動物は、場所によっても違いがある。すなわち、ある場所にはある動物はまったくいないし、また、ある場所にはいることはいても、数が少なくて、短命で、繁栄しない。また、ときにはすぐ近くの場所でこういった違いがある。たとえば、ミレートス地方の、隣り合わせの場所の、一方にはセミがいるが、もう一方にはいないし、ケパレーニアは川で二分され、一方の側にはセミがいるが、もう一方の側にはいないのである。」


「第9巻 第3章」より:

「ヒツジの性格は愚直で低脳といわれている。現に、ヒツジは四足類の中で最も劣悪であって、何の当てもなく荒野へ迷い込んで行く。また、しばしば冬に小屋の外へ出て行き、吹雪に襲われても、羊飼いが動かさなければ立ち去ろうとせず、羊飼いたちが雄ヒツジを連れ去れば、後についてくるが、連れ去らなければ、そのまま居残って死ぬ。」


「第9巻 第35章」:

「ケッポスは水の泡で捕えられる。というのは、泡に食いつくからで、それゆえ泡の立った海水をひっかけて捕えるのである。この鳥の他の部分の肉は良い香りがするが、尻の部分だけは海藻の臭いがする。よく肥える鳥である。」


「第9巻 第49章」:

「ちょうど、あらゆる動物の行動がその性状に応じて行なわれているように、性格も行動に応じて変わり、身体のある部分も、たとえば、鳥類で見られるように、変わる。現に、ニワトリの雌ドリも雄ドリに勝つと、雄ドリのまねをして時を作ったり、雌ドリに交尾を仕掛けたりするし、そのとさかや尾羽も高く上がるので、雌ドリであることを識別するのは容易でなくなる。場合によっては、一種の小さなけづめが出てくることもある。すでに、雄ドリでも、雌ドリが死ぬと、自ら雌ドリに代わって雛の世話をしたという例があり、あまりよく雛を導いたり育てたりするので、もはや時を作ったり、交尾を仕掛けたりしなくなったくらいである。鳥の雄の中には、生まれつき雌のような性質で、交尾を仕掛けてくる雄に身を任せるほどのものもいる。」




こちらもご参照ください:

『アリストテレース 動物誌 (上)』 島崎三郎 訳 (岩波文庫)
ホルヘ・ルイス・ボルヘス/マルガリータ・ゲレロ 『幻獣辞典』 柳瀬尚紀 訳
Michel Butor 『Herbier lunaire』











































































































































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