荒俣宏 編著 『Fantastic Dozen 第8巻 昆虫の劇場』

「なぜなら、蝶は西洋にあっては、霊または魂のシンボルであり、この世のものではない属性をもつ生きものだからである。」
(荒俣宏 「蝶の舞――18世紀の三大蝶譜について」 より)


荒俣宏 編著 
『Fantastic Dozen 
第8巻 
昆虫の劇場』

INSECT THEATRES

リブロポート
1991年10月20日
144p 口絵1葉
B5判 角背紙装上製本 カバー
定価2,060円(本体2,000円)
装丁: 鈴木成一



本書「出典解説」より:

「エーレト、G. D. 『花蝶珍種図録』
Ehret, George Dionysius. "Plantae et Papiliones Rariores."
London, 1748-62
植物絵師として有名なエーレトが、生前自分の名を冠してロンドンで刊行した唯一の図譜。(中略)このうちチョウが描き加えられて花蝶図となっているのは8図。その美しい図版を、分類学者リンネも絶賛した。」

「メーリアン、M.S. 『スリナム産昆虫の変態』
Merian, Maria Sibylla. "Dissertatio de generatione et metamorphosibus insectorum Surinamensium." Hagae, 1726.
ドイツ人女性メーリアンが、1699年から1701年まで足かけ3年間滞在した南米のオランダ領スリナム産の昆虫類を描いたもの。初版は1705年(中略)。本書には、図版が追加されて72葉を収録する第3版(1726)を用いた。」

「ハリス、M. 『オーレリアン』
Harris, Moses. "The Aurelian; or, Natural History of English Insects; namely Moths and Butterflies. Together with the Plates on which they feed; A faithful Account of their respective changes; their usual Haunts when in the winged State; and their standard Names, as given and established by the worthy and ingenius Society of Aurelians." London, 1778.
イギリス蝶類図譜の最高傑作。初版は1766年に発行されたが、本書では、収録図がもっとも多い版とされる第2版(1778)から図を採録した。ハリス自身が観察して描いた手彩色図版45図を収める。」



荒俣宏コレクション「ファンタスティク12(ダズン)」第8巻は昆虫編であります。
カラー図版125点、解説中モノクロ図版5点。口絵図版(カラー)1葉。


荒俣宏 昆虫の劇場 01


目次:

蝶の舞――18世紀の三大蝶譜について
 1 南米スリナムに渡った虫めずる姫君――マリア・シビラ・メーリアン
 2 博物図鑑の至宝――メーリアン『スリナム産昆虫の変態』
 3 植物画家が描いた蝶の図鑑――エーレト『花蝶珍種図録』
 4 イギリス最高の蝶類図譜――ハリス『オーレリアン』

出典解説

エーレト『花蝶珍種図録』
メーリアン『スリナム産昆虫の変態』
ハリス『オーレリアン』




◆本書より◆


エーレト『花蝶珍種図録』より:


荒俣宏 昆虫の劇場 06


「これらは装飾的なものであるが、それでも蝶そのもののリアリティと、盛り花の周囲に飛ぶ姿の愛らしさとには、見るべきものがある。」


メーリアン『スリナム産昆虫の変態』より:


荒俣宏 昆虫の劇場 08


荒俣宏 昆虫の劇場 07


荒俣宏 昆虫の劇場 02


荒俣宏 昆虫の劇場 03


「実は、彼女は幼少の頃から青虫や毛虫――すなわち鱗翅類の幼虫を観察することを好んだ。すでに三〇歳で『ヨーロッパ産鱗翅類――その変態と食草』(一六七九―八三)を刊行し、おそらく西洋で最も早く昆虫の変態という概念をあきらかにしたほどの、〈虫めずる姫君〉であった。」
「生涯、熱心なクリスチャンであった彼女は、自然を、神の奇蹟が無限に発見できる聖なる現場である、とみなしていた。そして蝶たちの変態は、まさに人間の死と再生とを暗示する宗教的シンボルである、と考えていたからである。」



ハリス『オーレリアン』より:


荒俣宏 昆虫の劇場 04


荒俣宏 昆虫の劇場 05


「この欧州めいた味わいは、あふれかえる熱帯の異国趣味から時間経過までも画面にもりこんだメーリアンの異様さとは、一線を画する。かといって、エーレトの装飾的図版にはない〈生態学〉へのまなざしもある。その意味でモーゼス・ハリスは、野生状態でもなく標本状態でもない、飼育下での蝶を描いたといえるだろう。これを、ペット感覚と呼んでもいい。」
「参考までに、オーレリアンという題名の由来も記しておこう。オーレリアンとは、イギリスで一般に蝶の愛好家をあらわすことばである。黄金を意味するギリシア語から生じた用語であり、〈黄金の蛹の愛好者〉とでも直訳すべき名称である。(中略)なにが黄金かといえば、(中略)多くの蝶が黄金色に輝く蛹をつくるからである。(中略)それにしても、黄金の愛好家とは、蝶を愛する人々にふさわしい名称ではあるまいか。なぜなら、蝶は西洋にあっては、霊または魂のシンボルであり、この世のものではない属性をもつ生きものだからである。」





こちらもご参照ください:

Maria Sibylla Merian 『Insects of Surinam』 (Taschen)

























































































































































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