『モンス・デジデリオ画集』 (ピナコテーカ・トレヴィル・シリーズ 1)

「その「地獄」はまぎれもなく彼自身のものであった。モンス・デジデリオが時代と流派を超越しえたのも、おそらくはその「地獄」ゆえであったろう。」
(谷川渥 「モンス・デジデリオ、あるいは建築の狂気」 より)


『モンス・デジデリオ画集』 
ピナコテーカ・トレヴィル・シリーズ 1
解説・監修: 谷川渥

発行: トレヴィル
発売: リブロポート
1995年9月25日 初版発行
91p(うちカラー図版80p)
B5判 角背紙装上製本 
ビニールカバー
定価3,605円(本体3,500円)
ブック・デザイン: 竹智淳



解説中参考図版(モノクロ)3点。


モンスデジデリオ画集 01


帯文:

「日本人の知らない衝撃の画家、ついにベールを脱ぐ! ピナコテーカ・トレヴィル・シリーズ第一弾!
モンス・デジデリオ画集
亡霊のように浮び上がる廃墟、蒼白の彫像群、爆裂する聖堂、そのなかで虚しく展開する人間たちの没落のドラマ……。
モンス・デジデリオの名のもとに伝説的に語り継がれてきた崩壊と破局の画家の謎の作品群が、今初めて明らかにされる!」



モンスデジデリオ画集 02


内容:

1. バベルの塔
2. 聖女の殉教
3. 夜の殺人と空想的建築群
4. 聖女の殉教
5. 偶像を破壊するユダ王国のアサ王(聖堂の倒壊)
6. 油釜に投じられた福音書記者聖ヨハネ
7. 聖パウロと聖ステパノ
8. ヘブライ王サウルに聖油を注ぐサムエル
9. 幻想的建築群
10. 聖人の殉教
11. 海辺の聖アウグスティヌス(又は、聖ヤヌアリウスの生涯の一場面)
12. 聖アウグスティヌスと子供のいる幻想的廃墟
13. 沈黙
14. ヨナと怪魚
15. 十字架降下のあるイェルサレムの空想的風景画
16. 聖アガタの殉教
17. 壮麗な円柱
18. 宮殿の景観
19. 大聖堂での聖母の結婚
20. 聖ゲオルギウスの竜退治伝説のある幻想的建築
21. ローマ遺跡の風景
22. 東洋人のいる廃墟とアーケード
23. 空想上の教会の内部
24. 聖堂のダヴィデ
25. スザンナと長老たち
26. 宮殿の襲撃
27. 建築的綺想
28. 空想上の建築群
29. 炎上する廃墟
30. ソドムの町から逃れるロトとその家族
31. トロイアの炎上とアエネアスの逃亡
32. トロイアの崩壊
33. トロイアの炎上
34. ソドムとゴモラの崩壊
35. 地獄

モンス・デジデリオ、あるいは建築の狂気 (谷川渥)
図版目録



モンスデジデリオ画集 03



◆本書より◆


「モンス・デジデリオ、あるいは建築の狂気」より:

「闇のなかに亡霊のように浮かびあがる繊麗な建物、黄褐色に輝く列柱、蒼白の彫像群、崩壊の予感をはらみ、あるいは映画の一シーンのように爆裂する聖堂、散乱する石塊、そこで繰り広げられる小さな人間たちの死のドラマ……。モンス・デジデリオの名のもとにわれわれの前に現われるのは、なによりもまずそうした悪夢のような光景である。決して実在しない建築と都市の、それも崩壊と破局ばかりを描いた、幻想建築の画家、破局の画家、世界の終わりの画家。西洋美術史上、いやおそらくは世界の美術史上、比類のない画家といって過言ではないこのモンス・デジデリオとはいったい何者なのか。」

「建物の「狂気」は、画家の周到な技法(マニエラ)に裏打ちされている。建築や都市の「狂気」は、しかしとりもなおさず画家自身の「狂気」なのではないだろうか。精神分析学者たるスリュイは、空間を埋めつくすその装飾過剰性、同一のテーマとモティーフの反復、壁や石柱の上に立つ女神像の意匠に見られるようなある種のシンボリズムといった特徴から、モンス・デジデリオすなわちフランソワ・ド・ノームを最終的に精神分裂病者と断じている。ばらばらの建築様式の並置も、分裂病特有の断片化の特徴を示しているというのだ。しかもスリュイは、あの名前の多様性、不安定性を、彼が罪を犯したことのコンプレックスゆえではないかとさえ推測している。(中略)彼がきわめて繊細な、病的といってもいい幻視者(ヴィジョネール)であったことだけは確かだろう。正真正銘の故郷喪失者たる彼は、危機の時代にあって、みずからの意識にぽっかりと口をあけた、ひょっとしたらあの《地獄》のような虚無を見つめていたのかもしれない。かりに彼の作品が、同時代のジャック・カロやマニャスコや(中略)、今世紀のデ・キリコやマックス・エルンストやイヴ・タンギーやファブリツィオ・クレリチとの親近性を多少とも感じさせるにしても、その「地獄」はまぎれもなく彼自身のものであった。モンス・デジデリオが時代と流派を超越しえたのも、おそらくはその「地獄」ゆえであったろう。」



モンスデジデリオ画集 04


モンスデジデリオ画集 05





こちらもご参照ください:

マルグリット・ユルスナール 『ピラネージの黒い脳髄』 多田智満子 訳 (白水社アートコレクション)
谷口江里也 編 『画集 ジャック・カロ』










































































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本