柏木如亭 著/揖斐高 校注 『訳注聯珠詩格』 (岩波文庫)

柏木如亭 著 
『訳注聯珠詩格』 
揖斐高 校注
 
岩波文庫 黄/30-280-2

岩波書店
2008年7月16日 第1刷発行
310p
文庫判 並装 カバー
定価760円+税



本書「解説」より:

「『聯珠詩格』は宋末・元初の于済(うせい)が三巻本として原撰し、同じ宋末・元初の蔡正孫(さいせいそん)が増訂・附注し二十巻本として元の大徳四年(一三〇〇年)に刊行した選詩集である。それを江戸時代後期の詩人柏木如亭(かしわぎじょてい)(一七六三~一八一九)が抄訳し、『訳注聯珠詩格』と題して享和元年(一八〇一)に四巻二冊として出版したものが本書である。」


本書「凡例」より:

「底本には享和元年(一八〇一)刊の版本を用いた。」
「詩には便宜的に通し番号を振った。」
「詩には新たに読み下しを付けた。」
「訳注部分は、底本では漢字片仮名まじりで表記され、振り仮名も片仮名だが、読みやすさを考慮してすべて平仮名に改めた。」
「語注は簡便を旨とした。」



如亭 訳注聯珠詩格


カバー文:

「杜甫・李白・蘇軾などの漢詩を、江戸時代後期の漢詩人柏木如亭が当時の話し言葉をつかって訳した漢詩集。原詩に忠実に「訳」し、同時に初学者の理解をたすけるための「注」を付ける、という難題を解決。見事なできばえのこなれた「訳注」を完成させた。従来の訓読とはひと味もふた味も違う、清新な味わいの“現代語訳”。」


目次:

凡例

刪定訳注聯珠詩格序 (市河寛斎)

晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之一
1 漫興 (杜甫)
2 渓陰堂 (蘇軾)
3 高侍郎に上る (高蟾)
4 杜家亭に宿す (賈島)
5 土牀 (張載)
6 鄭山人の居を過ぐ (劉長卿)
7 巴陵の夜別 (賈至)
8 春を傷む (何応龍)
9 懶起吟 (邵雍)
10 行邁 (黄庭堅)
11 梅 (劉克荘)
12 秋声 (余林塘)
13 秋思 (杜荀鶴)
14 劉景文に贈る (蘇軾)
15 約有り (趙師秀)
16 湧金門に泊す (林鴻)
17 牋を寄せらる (于革)
18 巫山の旅別 (崔塗)
19 詔せられて都に赴く (柳宗元)
20 暁行 (張良臣)
21 梅を訪ふ (劉克荘)
22 白牡丹 (韋荘)
23 青奴 (黄庭堅)
24 天津の感事 (邵雍)
25 薔薇 (張祐)
26 画睡鴨 (黄庭堅)

晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之二
27 漫興 (杜甫)
28 湖陰の壁に書す (王安石)
29 絶句 (僧志南)
30 秋風 (劉克荘)
31 梅花 (蔡正孫)
32 笋 (王禹偁)
33 退筆 (林逋)
34 西湖 (蘇軾)
35 初夏 (司馬光)
36 雪後 (譚知柔)
37 酔後 (劉商)
38 贈別 (杜牧)
39 杏花 (羅隠)
40 雪中に妓を観る (王氏)
41 夜雪 (蘇軾)
42 方池 (銭昭度)
43 蜂媒 (劉克荘)
44 西湖、雨に値ふ (葉苔磯)
45 野外 (蔡淵)
46 梅花 (方岳)
47 吉祥に花を探る (蔡襄)
48 闌に凭る (蔡王孫)
49 晴景 (王駕)
50 牡丹を賞す (蘇軾)
51 花を惜しむ
52 亀児が詩を詠ずるを聞く (白居易)
53 翁霊舒に遇ふ (戴復古)
54 乱後の曲江 (王駕)
55 山中の僧 (陸亀蒙)
56 絶句 (僧顕万)
57 君来らず (方干)
58 客亭、月に対す (李洞)
59 閨怨、鵑を聞く (舒蓀墅)

晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之三
60 張書記に寄す (杜荀鶴)
61 山中 (盧仝)
62 別墅より兄に寄す (竇鞏)
63 夜直 (王安石)
64 秋暁 (陳月窓)
65 水月台に遊ぶ (李渉)
66 華清宮 (崔魯)
67 元渓道中 (韓偓)
68 宮詞 (劉媛)
69 武夷山 (方岳)
70 履道の居 (白居易)
71 金縷衣の曲 (杜秋娘)
72 梅辺 (方岳)
73 野梅 (謝春卿)
74 廬山、月に歩す (周登)
75 賀蘭山主に勘会す (王安石)
76 魏梅墅に寄訊す (蔡王孫)
77 山中の人に答ふ (李白)
78 漁郎 (劉克荘)
79 清明 (杜牧)
80 壬戌の帰 (呉融)
81 孤山に渡を喚ぶ (潘湖隠)
82 桑乾を渡る (賈島)
83 月篷に贈る (朱聖錫)
84 祁師を送る (翁逢年)
85 再び洛陽に到る (邵雍)
86 夜坐 (鄭会)
87 梅月屏 (許子文)
88 梅辺、月に酌む (蔡王孫)

晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之四
89 誠斎に答ふ (朱熹)
90 別れを悵む (杜牧)
91 少年行 (令孤楚)
92 朱陳村の図 (蘇軾)
93 施栄甫に答ふ (趙蕃)
94 故人に逢ふ (陳葵窓)
95 鶴林寺に題す (李渉)
96 雪霄る (戎昱)
97 無題 (僧凌原)
98 江亭 (鄒花嵒)
99 晩歩 (蕭雲麓)
100 浪淘沙の詞 (劉禹錫)
101 首夏 (王安石)
102 夜雨 (王節卿)
103 李秋堂を送る (朱静佳)
104 友に遇ひて復た別る (張国香)
105 処士亭 (杜牧)
106 硯屏 (林子来)
107 寒林の図 (周南峰)
108 白牡丹 (蘇軾)
109 梅影 (周南峰)
110 秋意 (劉参玄)
111 梅を詠ず (蔡王孫)
112 春日客舎 (李頻)
113 駅程記 (趙聞礼)
114 榴花 (韓愈)
115 岳王墓 (馬子才)
116 水南 (張遂初)
117 水仙花 (黄庭堅)
118 元二を送る (王維)
119 鸚鵡 (羅隠)
120 梅楼 (鄭碩)
121 松下 (趙竹居)
122 江行 (趙葵)
123 晩春湖上 (周端臣)
124 西湖晩帰 (張良臣)
125 常楽寺に題す (唐求)
126 春暮 (蔡王孫)
127 江雨 (項雲庵)
128 五更の寒 (周南峰)

解説 (揖斐高)
作者索引




◆本書より◆


「5 土牀   土牀(どしやう) 張横渠(ちやうわうきよ)

土牀烟足紬衾煖   土牀 烟(けむり)足りて紬衾(ちうきん)煖(あたた)かに
瓦釜泉甘豆粥新   瓦釜(ぐわふ) 泉(いづみ)甘うして豆粥(とうしゆく)新たなり
万事不求温飽外   万事温飽(をんぱう)の外を求めず
漫然清世一閑人   漫然たり 清世の一閑人

烟(ひの)足(たんと)な土牀(こたつやうのもの)に紬(つむぎ)の衾(ふとん)をかけたれば煖(あたたか)だ
甘泉(よいみづ)をくんで瓦釜(どなべ)でにた豆の粥も新(めづら)しい
万事(さまざまのわけ)は温(さむくない)と飽(ひだるくない)との外は不求(いらぬ)などゝ
漫然(これがほん)の清世(たいへい)の一閑人(くひつぶし)といふものさ

○土牀 土を塗り重ねて造った炬燵のような暖房。
○たんとな たくさんの。十分な。
○ひだるくない 「ひだるい」は、「ひもじい」の意。
○ほんの ちょっとした。
○清世一閑人 「増注」に「性理群書の註に、横渠自ら言ふ、我は清明の世に於いて一の幽閑無事の人に過ぎざるのみと」。
○くひつぶし 遊び暮して財産をなくす人。」


「77 答山中人   山中の人に答ふ (太白(たいはく))
問余何意棲碧山   余に問ふ 何の意ぞ碧山(へきざん)に棲むと
笑而不答心自閑   笑ひて答へず 心自(おのづか)ら閑なり
桃花流水杳然去   桃花流水杳然(えうぜん)として去る
別有天地非人間   別に天地の人間(じんかん)に非ざる有り

何意(どういふき)で碧山(やまおく)に棲(すむ)と余(おれ)に問(きく)から
笑而(にこにこもの)で不答(あいさつもせ)ぬぐるみ心が自(しぜん)と閑(ひま)
桃の花が流水(ながれ)へちつて杳然(とほく)へ去(いく)ところ
別な天地(せかい)が有て人間(うきよ)とは非(ちがつ)たものさ

○碧山 樹木が青々と茂った山。
○にこにこもの 思わずにこにこしたくなるほどうれしい様子。
○ぐるみ 接尾語。……とひっくるめて、いっしょに。……のままに。
○桃花流水 陶潜の「桃花源記」が意識されている。
○杳然 はるかに遠いさま。
○人間 人間世界。俗世間。」





こちらもご参照ください:

柏木如亭 著/揖斐高 校注 『詩本草』 (岩波文庫)













































































































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