『唐宋伝奇集 (上)  南柯の一夢 他十一篇』  今村与志雄 訳  (岩波文庫)

「「彼女は人間ではなかった」」
(「妖女任氏の物語」 より)


『唐宋伝奇集 (上) 
南柯の一夢 
他十一篇』 
今村与志雄 訳
 
岩波文庫 赤/32-038-1 

岩波書店
1988年7月18日 第1刷発行
300p
文庫判 並装 カバー
定価500円



本書「凡例」より:

「この『唐宋伝奇集』は、中国でいう「古小説(こしょうせつ)」のうち、唐、宋の、いわゆる「伝奇」(伝奇物語)から選択して翻訳し、注をつけたものである。」
「上、下の二分冊から成る。」
「上には、唐代初期から唐代中期の、元稹(げんしん)、白居易(はくきょい)が活躍したころまでの代表的な作品を収めた。」
「訳注では、冒頭の注に、その作品の作者小伝、作品解題、版本を記し、最後の注に先行する作品との関連、後世への影響、作品の評価などを記した。」



本文中図版9点、「訳注」に参考図版6点。


唐宋伝奇集 上 01


カバー文:

「『南柯の一夢』の主人公は官僚を嘲笑する自由人である。そういう男が役人になって栄達の限りをつくし、得意と失意をたっぷりと味わう。味わったところで夢からさめ、槐の根もとを掘るとどうだろ、夢みたとおりの小さな蟻の王国があったのだ。唐代伝奇の面白さは、幻想を追っているようで実は深く現実の人間の本質をついているところにある。(全2冊)」


目次:

凡例

1 白い猿の妖怪――補江総白猿伝(ほこうそうはくえんでん) (無名氏)
2 倩娘(せんじょう)の魂――離魂記 (陳玄祐(ちんげんゆう))
3 邯鄲(かんたん)夢の枕――枕中記(ちんちゅうき) (沈既済(しんきせい))
4 妖女任(じん)氏の物語――任氏伝 (沈既済)
5 竜王の娘――柳毅(りゅうき) (李朝威(りちょうい))
6 紫玉の釵(かんざし)――霍小玉伝(かくしょうぎょくでん) (蔣防(しょうぼう))
7 南柯(なんか)の一夢――南柯太守伝 (李公佐(りこうさ))
8 敵討(かたきう)ち――謝小娥伝(しゃしょうがでん) (李公佐)
9 鳴珂曲(めいかきょく)の美女――李娃伝(りあでん) (白行簡(はくこうかん))
10 夢(ゆめ)三題――三夢記 (白行簡)
11 長恨歌(ちょうごんか)物語――長恨歌伝 (陳鴻(ちんこう))
12 鶯鶯(おうおう)との夜――鶯鶯伝 (元稹(げんしん))

訳注



唐宋伝奇集 上 02



◆本書より◆


「倩娘の魂」より:

「そのまま夫妻は同行して衡州へ帰った。
 到着すると、王宙がひとり、さきに張鎰の家に行き、勝手に結婚した事を打明けてわびた。
 だが、張は不思議がった。
 「倩娘は、この数年、部屋で病床に臥したままだ。なぜとんでもない嘘を言うのか!」
 「いま、船に乗っています」
 張は、大変驚き、急ぎ人をやってたしかめさせた。その言葉どおり、倩娘が船に乗っており、にこやかな顔をして、使者に訊ねた。
 「お父様はお変りありません?」
 使用人は不思議な事だと思って、とんで帰って張に報告した。
 部屋の中にいた娘は、その話を聞くと、うれしそうに起きあがり、化粧をして衣服をあらため、笑顔を見せたが、無言のまま、外に出て迎えた……二人の倩娘は、たちまち合体して一つの身体になったが、その衣裳は、一つにならずに二重にかさなっていた。」



































































































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