オルネッラ・カザッツァ 『マザッチョ』 松浦弘明 訳 (イタリア・ルネサンスの巨匠たち)

「彼はたいそう風変わりで無頓着な男だった。自らの魂と意志をすべて芸術に捧げ、自身や他人のことについて、ほとんど気にかけることがなかった。また彼は世間の出来事にも、ましてや自分の着る服になどまったく関心を示さなかったし、よほど困らないかぎりは、貸した金を取り立てたりすることもなかった。」
(ヴァザーリ)


オルネッラ・カザッツァ 
『マザッチョ』 
松浦弘明 訳
 
イタリア・ルネサンスの巨匠たち 3 フィレンツェ絵画の先駆者

東京書籍
1994年5月25日 第1版第1刷発行
80p
28×21cm 並装 カバー
定価2,000円(本体1,942円)



Ornella Casazza: MASACCIO e la Cappella Brancacci, 1990 (I grandi maestri dell'arte)
図版82点。


マザッチョ 01


カバーそで文:

「マザッチョ(サン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ 1401―ローマ28年)
マザッチョはわずか27才の若さで世を去ったため、彼の残した作品は数少ない。が、それらはいずれも偉大さと先進性を示す重要なものである。とくに、マゾリーノと共に制作され、後にフィリッピーノ・リッピによって完成されたブランカッチ礼拝堂の壁画は、15世紀フィレンツェ派の画家たちにとって、遠近法や空間表現を学ぶ格好の場であった。本著は、近年の修復で本来の色彩が蘇ったブランカッチ礼拝堂の壁画を、他のマザッチョの真作とともに収録したものである。」



目次:

サン・ジョヴェナーレ三翼祭壇画
サーグラ(聖祭式)
聖母子と聖アンナ
ブランカッチ礼拝堂
 楽園追放
 貢ぎの銭
 説教する聖ペテロ
 改宗者の洗礼
 足萎えの治癒とタビタの蘇生
 原罪
 牢獄を訪ねる聖パウロ
 テオフィルスの息子の蘇生と教座の聖ペテロ
 影で病を治す聖ペテロ
 共有財産の分配とアナニアの死
 魔術師シモンとの議論と聖ペテロの磔刑
 牢獄より解放される聖ペテロ
 近年の発見
ピサ多翼祭壇画
ゲッセマネの祈りと聖ヒエロニムスの聖体拝領
聖母子
聖ユリアヌスの物語
三位一体
ベルリンのトンド
サンタ・マリア・マッジョーレ多翼祭壇画

主要文献
ブランカッチ礼拝堂壁画配置図




◆本書より◆


「「彼はたいそう風変わりで無頓着な男だった。自らの魂と意志をすべて芸術に捧げ、自身や他人のことについて、ほとんど気にかけることがなかった。また彼は世間の出来事にも、ましてや自分の着る服になどまったく関心を示さなかったし、よほど困らないかぎりは、貸した金を取り立てたりすることもなかった。それゆえ、本名トンマーゾではなく、マザッチョというトンマーゾの蔑称で呼ばれていた。それは彼の性格が悪いからではなく(それどころかたいそう善良だった)、あまりにのんきであったためである。彼はこうしたことを気にとめることもなく、他人に尽くし、人を喜ばせようと愛想よく振舞ったので、誰も彼にそれ以上は望まなかった」。
 16世紀の伝記作家ヴァザーリ(1511―74年)はマザッチョについて、以上のように記している。」



マザッチョ 02


マゾリーノ「足萎えの治癒とタビタの蘇生(部分)」(フィレンツェ、ブランカッチ礼拝堂)。


「この壁画「使徒行伝」に記された二つの事件が描かれている。ひとつはエルサレムでの足萎えの治癒(3章1―10節)であり、もうひとつはヨッパでのタビタの蘇生(9章1―10節)である。マゾリーノはこの異なる場所、異なる時間で起きた二つの事件を、同一画面上の同じ街に表した。
 画面中央には2人の男が優雅な衣装を身につけて広場を歩いているが、彼らは二つの奇跡の物語を分割すると同時に、両者を結びつける役割を果たしている。また彼らの存在は、背景の家の前に描かれた人物たちとともに、この事件があたかもフィレンツェの広場での日常生活のなかで展開しているような効果を与えている。」



マザッチョ 03


マゾリーノ「原罪」(ブランカッチ礼拝堂)。


「《原罪》において、マゾリーノはこの時代にもっとも普及していた伝統的な図像を採用した。アダムとエヴァのしぐさや表情には、優美で気品のある雰囲気が漂う。それは向かい側の壁に描かれたマザッチョの《楽園追放》とは対照的である。というのもマザッチョの壁画では、新しい文化や形態、さらに精神的な調和や革新的な技術が、強く押し出されているからである。」


マザッチョ 04


マザッチオの壁画にフィリッピーノ・リッピが約半世紀後に手入れをした「テオフィルスの息子の蘇生と教座の聖ペテロ(部分)」(ブランカッチ礼拝堂)。


マザッチョ 05


「魔術師シモンとの議論と聖ペテロの磔刑(部分)」(ブランカッチ礼拝堂)。


「十字架の右側に立つ3人の人物のうち、こちら側を見ている男はサンドロ・ボッティチェリである。」


マザッチョ 06




こちらもご参照ください:

佐々木英也 『マザッチオ ― ルネサンス絵画の創始者』



















































































































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