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西岡兄妹 『カフカ』

「いいえ、」少女は眼を挙げて答えた。「兄さんが死んだので、私たちは幸福になりました。」
 
太宰治「花火」より。
 


 
 
西岡兄妹:構成・作画
フランツ・カフカ:著/池内紀:訳
『カフカ』

モンキーブックス/株式会社ヴィレッジブックス 2010年4月20日初版第1刷発行
175p A5判 カバー 定価1,300円+税

 
 
nishioka brosis - kafka1
 
 
・家父の気がかり
・変身
・バケツの騎士
・ジャッカルとアラビア人
・兄弟殺し
・禿鷹
・田舎医者
・断食芸人
・流刑地にて
・あとがき「変身」について(西岡智)
 
「モンキービジネス」Vols. 1~8(2008年4月~2010年1月刊)に連載。「変身」は描き下ろし。翻訳の文字テキストの底本は池内紀訳『カフカ・コレクション』(白水Uブックス)。
 
 
nishioka brosis - kafka2
 
「田舎医者」より。
 
 
本書は、カフカの短篇小説を、池内紀の翻訳を元に、漫画化したものですが、漫画化といってよいのか、池内訳の文章を、セリフの代りに使用して、漫画風にコマ割した絵本という印象ですが、それはいつも通りの西岡兄妹の作風なので、結局、西岡兄妹による、池内カフカの漫画化といっていいと思います。ただ、今回はいつもより文字が多いです。「変身」「ジャッカルとアラビア人」「田舎医者」「断食芸人」「流刑地にて」は、長いので、物語が成立する最小限の文章を原作から引用しています。
「変身」は、虫になったグレーゴルの姿を描かずに処理しています。凡庸な漫画家なら省いてしまうかもしれないラストのザムザ一家の散歩の場面も、三ページも費やして描かれています(西岡氏による「あとがき」より:「「まだまだ子供」だったグレーテの、たった数ヶ月での急速な成長は、あたかもグレーゴルの命を吸い取ったかのように見える」)。
「家父の気がかり」は、オドラデクを含めたほとんどの要素を図案化することによって、オドラデクのイメージの具象化を避けています。
個人的には、氷の山に消えていく「バケツの騎士」の、晴れやかな絶望感が心地良かったです。
 
 
西岡氏による「あとがき」より:
 
「グレーゴルは思う。「獣だからこそ、それで音楽がこんなに身にしみるのか? ひそかに求めている未知の食べ物への道が示されたような気がした」(中略)。誤解を恐れずに言うなら、これは「変身」の物語ではなく「食欲」の、グレーテを隠れた主人公とする「愛と食欲」の物語なのだ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
  
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

 
 
 
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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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