北原白秋 『思ひ出』 東雲堂書店版 (復刻)

「夜は黑…………時計の數字の奇異(ふしぎ)な黑。
血潮のしたたる
生(なま)じろい鋏を持つて
生膽取(いきぎもとり)のさしのぞく夜。」

(北原白秋 「夜」 より)


北原白秋 
『思ひ出』 
東雲堂書店版

新選 名著複刻全集 近代文学館

刊行: 日本近代文学館
発売: ほるぷ
昭和51年3月20日 印刷
昭和51年4月1日 発行(第14刷)
lxvii 346p
15.2×10.2cm 
丸背紙装上製本 カバー 
機械函



本書はイラスト入りの小型本なのでオブジェとして飾っておくのにもよいです。


北原白秋 思い出 01


カバー表。


北原白秋 思い出 02


本体表紙。


北原白秋 思い出 03


カバー背。


北原白秋 思い出 04


扉ページ。


北原白秋 思い出 05


目次:

序詩
骨牌の女王
 金の入日に繻子の黑
 骨牌の女王の手に持てる花
 燒栗のにほひ
 黑い小猫
 足くび
 小兒と娘
 靑い小鳥
 みなし兒
 秋の日
 人形つくり
 くろんぼ

斷章 六十一
 一、今日もかなしと思ひしか
 二、ああかなしあはれかなし
 三、ああかなしあえかにもうらわかき
 四、あはれわが君おもふ
 五、暮れてゆく雨の日の
 六、あはれ友よわかき日の友よ
 七、見るとなく涙ながれぬ
 八、女子よ汝はかなし
 九、あはれ日のかりそめのものなやみ
 十、あはれあはれ色薄きかなしみの葉かげに
 十一、酒を注ぐ君のひとみの
 十二、女汝はなにか欲りする
 十三、惱ましき晩夏の日に
 十四、わが友よ
 十五、あはれ君我をそのごと
 十六、哀知る女子のために
 十七、口にな入れそ
 十八、われは思ふかの夕ありし音色を
 十九、ああさみしあはれさみし
 二十、大空に入日のこり
 二十一、いとけなき女の兒に
 二十二、わが友はいづこにありや
 二十三、彌古りて大理石は
 二十四、泣かまほしさにわれひとり
 二十五、柔かきかゝる日の
 二十六、蝉も鳴くひと日ひねもす
 二十七、そを思へばほのかにゆかし
 二十八、あはれあはれすみれの花よ
 二十九、梅の果に金の日光り
 三十、あはれさはうち鄙びたる
 三十一、いまもなほワグネルの調に
 三十二、わが友は
 三十三、あはれ去年病みて失せにし
 三十四、あああはれ靑にぶき救世軍の
 三十五、縁日の見世ものの
 三十六、鄙びたる鋭き呼子
 三十七、あはれあはれ色靑き幻燈を
 三十八、瓦斯の火のひそかにも
 三十九、忘れたる忘れたるにはあらねども
 四十、つねのごと街をながめて
 四十一、かかるかなしき手つきして
 四十二、あかき實は草に落ち
 四十三、葬のかへさにか
 四十四、顏の色蒼ざめて
 四十五、長き日の光に倦みて
 四十六、かなしかりにし昨日さへ
 四十七、癈れたる園のみどりに
 四十八、なにゆゑに汝は泣く
 四十九、あはれ人妻
 五十、いかにせむ
 五十一、色あかき三日月
 五十二、柔らかなる日ざしに
 五十三、われは怖る
 五十四、いそがしき葬儀屋のとなり
 五十五、明日こそは面もあかめず
 五十六、色あかきデカメロンの
 五十七、あはれ鐵雄
 五十八、ほの靑く色ある硝子
 五十九、薄靑き齒科醫の屋に
 六十、あはれあはれ灰色の線路にそひ
 六十一、新詩社にありしそのかみ

過ぎし日
 泪芙藍
 銀笛
 凾
 陰影
 淡い粉雪
 穀倉のほめき
 初戀
 泣きにしは
 薊の花
 カステラ
 散歩
 隣の屋根
 見果てぬゆめ
 高機
 歌ひ時計
 朝の水面
 靑いソフトに
 意氣なホテルの
 霜
 時は逝く

おもひで
 紅き實
 車上
 身熱
 梨
 鷄頭
 椎の花
 男の顏
 水ヒアシンス
 鵞鳥と桃
 胡瓜
 源平將棋
 朝
 人生
 靑き甕
 赤足袋
 挨拶
 あかき林檎
 恐怖
 乳母の墓

生の芽生
 石竹のおもひで
 幽靈
 願人坊
 あかんぼ
 ロンドン
 接吻
 汽車のにほひ
 どんぐり
 赤い木太刀
 糸ぐるま
 水面
 毛蟲
 かりそめのなやみ
 道ぐさ
 螢
 靑いとんぼ
 猫
 おたまじやくし
 銀のやんま
 にくしみ
 白粉花
 水蟲の列
 いさかひのあと
 爪紅
 夕日
 紙きり蟲
 わが部屋
 監獄のあと
 午後
 アラビヤンナイト物語
 敵
 たそがれどき
 赤い椿
 二人
 たはむれ
 苅麥のにほひ
 靑い鳥

TONKA JOHN の悲哀
 春のめざめ
 秘密
 太陽
 夜
 感覺
 晝のゆめ
 朱欒のかげ
 幻燈のにほひ
 雨のふる日
 ボール
 尿する阿蘭陀人
 水中のをどり
 怪しき思
 金縞の蜘蛛
 兄弟
 思
 水銀の玉
 接吻の後
 たんぽぽ

柳河風俗詩
 柳河
 櫨の實
 立秋
 酒の黴
  一、金の酒をつくるは
  二、からしの花の實になる
  三、酒袋を干すとて
  四、酛すり唄のこころは
  五、麥の穗づらにさす日か
  六、人の生るるもとすら
  七、からしの花も實となり
  八、櫨の實採の來る日に
  九、ところも日をも知らねど
  十、足をそろへて磨ぐ米
  十一、ひねりもちのにほひは
  十二、かすかに消えゆくゆめあり
  十三、さかづきあまたならべて
  十四、その酒のその色のにほひの
  十五、酒を釀すはわかうど
  十六、ほのかに忘れがたきは
  十七、酒屋の倉のひさしに
  十八、カンカンに身を載せて
  十九、悲しきものは刺あり
  二十、目さまし時計の鳴る夜に
  二十一、わが寢る倉のほとりに
  二十二、倉の隅にさす日は
  二十三、靑葱とりてゆく子を
  二十四、銀の釜に酒を湧かし
  二十五、夜ふけてかへるふしどに
  酒の精
  紺屋のおろく
  沈丁花
  NOSKAI
  かきつばた
  AIVAN の歌
  曼珠沙華
  牡丹
  氣まぐれ
  道ゆき
  目くばせ
  あひびき
  水門の水は
  六騎
  梅雨の晴れ間
  韮の葉
  旅役者
  ふるさと

挿畫
 幼年の日
 死んだ乳母と John と
 生膽取
欄畫
 Pierrot の思ひ出
 John
 Gonshan
 舌出人形と黑猫
冩眞版
 司馬江漢銅版畫
 郷里「柳河沖ノ端」



北原白秋 思い出 06



◆本書より◆


「たそがれどき」:

「たそがれどきはけうとやな、
傀儡師(くぐつまはし)の手に踊る
華魁(おいらん)の首生(なま)じろく、
かつくかつくと目が動く………

たそがれどきはけうとやな、
瀉に墮(おと)した黑猫の
足音もなく歸るころ、
人靈(ひとだま)もゆく、家(や)の上を。

たそがれどきはけうとやな、
馬に載せたる鮪(しび)の腹
薄く光つて滅(き)え去れば、
店の時計がチンと鳴る。

たそがれどきはけうとやな、
日さへ暮るれば、そつと來て
生膽取(いきぎもとり)の靑き眼が
泣く兒欲(ほ)しやと戸を覗(のぞ)く…………

たそがれどきはけうとやな。」



北原白秋 思い出 07


北原白秋 思い出 08


北原白秋 思い出 09



















































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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