『e/m ブックス⑧ ビクトル・エリセ』

「『マルメロの陽光』でわたしが最も関心があったことの一つは、最も客観的な言語――ドキュメンタリーの言語――と最もひそやかな言語、すなわち夢の表現とを結び合わせることでした。」
(ヴィクトル・エリセ 「描かれる陽光」 より)


『e/m ブックス⑧ 
ビクトル・エリセ』

E/M BOOKS Vol. 8 Víctor Erice
監修: 金谷重朗
編集: 遠山純生

エスクァイア マガジン ジャパン
2000年3月29日 初版第1刷発行
191p
A5判 並装 カバー 
定価2,000円+税
アート・ディレクション: 岡本明彦(レスポンス)
デザイン: 阿部素子(レスポンス)



図版(カラー/モノクロ)多数。
本文中、アントニオ・ロペスの図版のある16頁分がアート紙になっています。


ビクトルエリセ emブックス 01


帯文:

「――映像を記憶する――e/m ブックス⑧
ビクトル・エリセ
夢の縁、現実の縁。
沈黙の声を聴き、言葉にすることなく語る。
慎ましい表現から喚起される豊かな想像力。
多彩なインタヴューと論考から探る孤高の映画詩人エリセの、静かで奥深い世界。
◆本書独占エリセ・インタヴュー掲載。」



目次:

ビクトル・エリセ略歴 金谷重朗

ビクトル・エリセ オリジナル・インタヴュー (訳: 金谷重朗)

関連作品解説 金谷重朗
 『対決』 金谷重朗
 『ミツバチのささやき』 金谷重朗
 『精霊の足跡』 金谷重朗
 『エル・スール』 金谷重朗
 『マルメロの陽光』 金谷重朗
 エリセについてのプロポ――エリセとの撮影の思い出(『黄昏に問う』) 宮岡秀行
 脚本作品『秋になれば』『八月の暗い夢』 金谷重朗

ビクトル・エリセとの対話(84年・聞き手: ビセンテ・モリーナ・フォイクス/翻訳: 野村正人)

カラーグラビア

論考
 スペイン内戦から見た『ミツバチのささやき』と『エル・スール』 若松隆
 沈黙の言語、視線の言語 斉藤綾子
 アデライダとビクトル――『エル・スール』の家をめぐって 杉浦勉
 ビクトル・エリセの映画における目に見えない力 細川晋
 アントニオ・ロペス・ガルシアと『マルメロの陽光』 木下亮

ビクトル・エリセとの対話(92~93年)
 ものの姿を再現することの可能性(聞き手: トマス・ペレス・トゥレント/翻訳: 野村正人)
 描かれる陽光(聞き手: リッキ・モーガン/翻訳: 篠儀直子)

論考 ささやきと恍惚――エリセ映画における政治と芸術 ポール・ジュリアン・スミス (翻訳: 篠儀直子)

書誌
フィルモグラフィ



ビクトルエリセ emブックス 02



◆本書より◆


「ビクトル・エリセ オリジナル・インタヴュー」より:

「私のなかで、十年間で映画を一本だけ撮ろうという意志が働いたことなどは一度もありません。私にはこれまでの間に、多大な努力を費やしたあとになって残念ながら実現させられなかった企画がいくつかありました。私は常々、この経験は痛ましい損失のようだと言っています。(中略)私にとって、自分が映画を撮っていない時間は、たとえ映画を撮っていなくてもシネアストの基準で自分の周りで推移する生活を観察し続けている時間なのです。私は映画を見に行く時だけでなく、常にシネアストであり続けているのです。街を散歩する時も、人と話しをする時も、映画を撮っていないにせよ。もし平静さを保って生活することが出来るならば、その待ち時間すら非生産的ではありません。それゆえ、私はいつもこう言うようにしています。私が最終的に撮ることの出来た映画はまた、それまでに撮ることが出来なかった映画によってもたらされたものであると。」


「ものの姿を再現することの可能性」より:

「画家は、ある光の効果のもとに置かれた果実を、自分の作品の中に定着しようとするだけではありません。ある瞬間、つまりおそらくその輝きが頂点にある時の果実をもキャンバスに定着させようとするのです。しかし、樹木は、画家の目的とは関係なく、自然の法則に従うしかありません。果実は最盛期に達したあと、凋んでしまい、ついには落ちてしまうのです。そこから、とりわけ正確さを基本にして仕事をする芸術家にとって、ひとつの葛藤が生まれます。絶えず変化し続けている生きた素材をもとにして、キャンバスになんとか時間を定着しようとすることは、空想的であるほかなく、失敗を運命づけられているのです。アントニオ・ロペスは、大げさな感情を全く抜きにしてどこまでも自然体でこれを体験したわけですが、そのやり方をじっくり観察できたことがすばらしかったと思います。彼は、自分の人生と作品の中にこの種の運命を組み込みながら、それを心の中で受け入れていると感じました。だから彼にとって結果はどうでもいいことである、そう断言できます。彼がなによりもまず望んでいるのは、その樹木の側にいるということです。それが彼の教えなのです。」
















































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本