由水常雄 『鏡の魔術』 (中公文庫)

由水常雄 
『鏡の魔術』
 
中公文庫 よ-12-4 

中央公論社 
1991年10月25日 印刷
1991年11月10日 発行
224p 口絵(モノクロ)8p
文庫判 並装 カバー
定価520円(本体505円)



口絵モノクロ図版8点、本文中モノクロ図版136点。
本書の親本は鹿島出版会「SD選書」の一冊として1978年に刊行された『鏡――虚構の空間』であります。


由水常雄 鏡の魔術


カバー裏文:

「鏡は本来、呪力を具えた神器であり、富と権力を象徴する宝物であった。古代の金属鏡に始まる鏡の歴史を、豊富な図版によって分り易く紹介しあんがら、文学、美術、建築等において重要な要素として扱われてきた鏡の妖しく不思議な魅力を探る。」


目次:

まえがき

一 鏡の起源
 ナルキッソスの神話
 鏡の語源
 金属鏡の起源とその展開
 凸面鏡と円鏡の発明
 中国の金属鏡

二 ガラス鏡のはじまり
 ガラス鏡の誕生
 ローマ時代のガラス鏡の実用性
 古代東洋に伝えられたガラス鏡

三 ヴェネチアの鏡
 中世からルネッサンスへ
 ヴェネチアの鏡
 鏡の値段は名画の三倍
 天正少年使節の持ち帰ったヴェネチア鏡

四 鏡の製造
 コルベールの国策鏡工場の設立
 板ガラス工場の乱立と倒産
 鏡用板ガラスの製造法

五 ガラス鏡の展開
 手鏡からはじまる
 鏡の枠の変遷
 ルイ十四世の贈りもの
 ロココ鏡
 各国の鏡師たち

六 建築と鏡
 空間イメージの変革
 東大寺三月堂の鏡の天井
 古代中国の鏡殿
 イメージの展開
 ヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊
 鏡の間の流行
 ヴュルテンブルグのラ・ファヴォリット邸
 ルドウィッヒスブルグ宮殿の鏡の間
 バイロイト離宮の鏡の間
 鏡張りの浴室
 鏡の聖堂
 鏡の宮殿・クェレス王宮
 西ヨーロッパに現存する鏡の間

七 芸術と鏡
 レオナルド・ダ・ヴィンチの『絵画論』とヴェネチアの鏡
 人と鏡と絵画
 近代絵画の中の鏡
 鏡の中の別世界

文庫版あとがき




◆本書より◆


「六 建築と鏡」より:

「カテリーナ・デ・メディッチによって、豪奢を誇示するために室内の壁面一杯に飾りつけられた壁鏡は、意外にも空間の変容を生みだすことになり、建築空間の認識に、従来になかったまったく新しい要素をつけ加えることになった。四角い部屋の向かい合った壁に張りこまれた壁面鏡は、永遠にその映像を反響し合って、夢幻的な世界を現出する。四面の鏡は、たがいにその境界を消しあって、どこまでもどこまでも拡がってゆく不思議な非現実の空間を作りだしてゆく。しかしそれは、非現実でありながら、現実の人間の肉眼によって、はっきり認識することができる世界である。一個の花瓶はこだまし合って、幾百、幾千もの映像を生みだし、一灯の燭台は、永遠の深奥にまで、その輝きをともしてゆく。
 現存する鏡の間のもっとも古い例は、あのヴェルサイユの鏡の回廊を設計したマンサールが、それに先だつこと二十数年前に完成したセーヌ・エ・トワズのルネ・ロンゲイユ邸の鏡の間である。ちょうど、ヴェルサイユの鏡の回廊に似た、半円アーチの高い一種の偽窓式の鏡壁が、円形のホールを囲むように張りめぐらされている。それぞれに角度を変えたその鏡壁は、いくつもの反対面の鏡壁と反響しあって、窓と柱の原生林を構成してゆく。
 十七世紀に大型鏡の製造に成功したフランスには、次々に鏡工場が誕生して、大量に需要を満たしていったが、その消費の大半は、こうした鏡の間に使われたのであった。」





こちらもご参照下さい:

ラフカディオ・ヘルン 『東の国から』 平井呈一 訳 (岩波文庫) 全二冊
多田智満子 『鏡のテオーリア』
宮川淳 『鏡・空間・イマージュ』
川崎寿彦 『鏡のマニエリスム』 (研究社選書)
谷川渥 『鏡と皮膚 ― 芸術のミュトロギア』

















































































































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