リチャード・バーバー 『アーサー王 ― その歴史と伝説』 高宮利行 訳

リチャード・バーバー 
『アーサー王
― その歴史と伝説』 
高宮利行 訳


東京書籍 
昭和58年10月8日 第1刷発行
322p 
カラー口絵16p モノクロ口絵16p
四六判 丸背紙装上製本 カバー
定価2,400円
装幀: 東京書籍AD



本書「解説」より:

「本書はリチャード・バーバーの英語による原著 King Arthur in Legend and History (The Boydell Press, 1973) の日本語訳である。翻訳のほかに、我が国の読者の便宜を考えて、地図や人名対照表などを加えてみた。」


口絵カラー図版30点、口絵モノクロ図版30点、本文中図版(モノクロ)2点。


バーバー アーサー王 01


カバーそで文:

「アーサー王伝説は、ヨーロッパ文学の永遠の古典であり、ヨーロッパ人の心の原郷(ふるさと)である。中世から現代に至るまで、各国の吟遊詩人、年代記作者、文学者たちの手により、建国神話、騎士道、宮廷風恋愛、キリスト教精神の象徴である聖杯など、さまざまなテーマがうたわれ、絢爛豪華な世界が形成されてきた。
本書は、歴史と伝説の間にアーサー王の実像をとらえ、彼を中心にさまざまなロマンスが生まれ、伝えられた過程を、考古学・地理学・文献学等の成果をもとに平易に語る。騎士道の精華たるアーサーと円卓の騎士たちの世界を、本格的に紹介した本邦初の翻訳書である。」



目次:

日本語版へ序文

1章 無名の指揮官
 謎の正体
 ベイドン山の戦い
 アーサーの登場
 アーサーを無視したギルダス
 困難な地名研究
 ネンニウスの創作意図
 『カンブリア年代記』と『コロンバ伝』
 ギルダスとネンニウスの立場
 ウェールズの英雄像

2章 現実から幻想へ
 曖昧な人物像
 伝説化の方向
 「三題詩」による多様化
 伝説の定着
 「魚市場入口」の謎の彫刻
 ブレトン人の役割

3章 帝王アーサー
 ジェフリ・オブ・モンマスの生涯
 『マーリンの予言』の名声
 『ブリテン列王史』の成り立ち
 アーサー王の栄光
 ジェフリの執筆方法
 英雄皇帝の創造
 『列王史』の多大な影響
 ヴァース師の『ブリュ物語』
 ラヤモンの『ブルート』
 頭韻詩『アーサーの死』
 ジェフリの功罪

4章 アーサーとアヴァロン
 アーサーの復活信仰
 アーサーの墓の発見
 二つの資料の奇妙な混乱
 「うつろな樫の木」の謎
 僧侶の捏造
 眠れる戦士たち

5章 ブリテンの話材――フランス語のロマンス
 クレティアン・ド・トロワの登場
 『エレック』、『クリジェズ』
 『ランスロ』、『イヴァン』
 『ペルスヴァル』
 『トリスタンとイゾルト』
 アイルハルト、ベルール、トマの相違点
 「流布本物語」の発展
 ランスロットの主役化
 聖杯探求の主題
 『ペルルスヴォー』、『散文のトリスタン』
 アーサー王ロマンスの伝統

6章 トリスタンとパルチヴァール――ドイツ語のロマンス
 ハルトマンの手法
 ヴォルフラムの執筆姿勢
 『パルチヴァール』
 理想の愛の姿
 魂の成長
 ゴットフリートの『トリスタン』
 「情熱」の発明
 傑出したヴォルフラムとゴットフリート
 ヨーロッパ文学としてのアーサー王伝説

7章 英語のロマンス
 逆輸入された伝説
 『ガレスのパースヴァル卿』
 英語ロマンスの独創性
 ガウェインを主人公とするロマンス群
 『ガウェイン卿と緑の騎士』
 「首斬り」と「誘惑」
 優れた自然描写
 完全の追求
 ガウェインの地位の向上
 フランス語からの翻案作品 
 ガウェイン像の変遷

8章 騎士道の華
 謎多き作者、トマス・マロリー
 『アーサーの死』の執筆意図
 フランス語原典の利用と展開
 縦横な個性の発揮
 高い精神性への到達
 鮮やかな人物造型
 騎士の尊厳と威光

9章 不朽の名声
 テューダー王朝の政治利用
 アーサーの歴史的調査
 大衆文学化傾向
 スペンサーの『妖精の女王』
 ミルトン、ドライデン、ブラックモアの試み
 一時的衰退期
 ワーグナーの楽劇
 スコットの『トリストレム卿』
 リットンとアーノルドの作品化
 テニスンの傾倒
 象徴としての登場人物
 理想と寓意
 ヴィクトリア朝絵画の主題
 スウィンバーンの『ライオネスのトリストラム』
 アーサー王伝説の戯曲
 ロビンソンの『トリストラム』
 メイスフィールドの『真夏の夜と韻文物語集』
 「ログレス王国」の地理
 罪による王国の破滅
 ホワイトのコメディ
 結語

図版一覧
原注
訳注
解説
訳者あとがき
参考文献
アーサー王文学年表
事項索引
人名索引



バーバー アーサー王 02



◆本書より◆


「日本語版への序文」より:

「アーサーの物語を決定づける要素は二つあり、(中略)もうひとつの要素はもっと古く、いわくいいがたい感情に訴えかける主題で、偉大な英雄が抑圧された人々を救いに帰ってくるという思想である。アーサーはアヴァロンという神秘的な場所で生き続けているといわれてきた。ウェールズ伝承に関連した物語に現れるアーサーと結びつけられたこの主題は、故国を追われたため、見込みがないのに再び故国を奪還したいと望む人々には、強い魅力となったにちがいない。」


「帝王アーサー」より:

「アーサーのもつ英雄的な性格と一見矛盾するような要素は、ラヤモンが導入に成功した妖精の概念である。妖精の登場は、聴衆になじみのある多くの物語のありふれた場面の中に、神秘的で大いなる隠された霊力が働いていることを思わせる。アーサーの誕生と死には、それぞれ超自然的な存在が登場している。(中略)彼らはアーサーを生涯守り続けてきたようであるし、女王アルガンテは彼の死に際して彼を運び去る。」


「アーサーとアヴァロン」より:

「一四〇〇年より後でさえ、アーサー帰還の信仰はなお回想される。しかしそれは民間伝承の世界に入ってしまった。アーサーを鳥の姿、普通はコーンウォルの べにはしがらす か わたりがらす となってさまよっていると説明する物語もある。これらの物語のほとんどは、ひとつの決まったパターンに従っている。すなわち、眠れる戦士がある日、魔法がとけて指導者として再び現れるという型である。」
「ブリテンでは、二つの重要な物語があり、最もよく知られているものは、スノードン近くのクレイグ・イ・ディナスや、他のウェールズの洞穴と関連づけられている。ロンドン橋で、はしばみの杖をもつウェールズ人が見知らぬ者に、その杖を切った木の下に、宝が隠されていると教えられた。彼らは一緒にウェールズへ戻り、木とその木の下にある洞穴を見つける。洞穴に通じる道に鐘が吊り下がっていて、そこを通る者はどんなことがあっても触れなければならない。洞穴にはアーサーも含めて戦士たちが、ウェールズ人を昔の栄光に導くため待機しているのだが、もし鐘が鳴れば、彼らは目覚めて「夜は明けたか」と問うだろう。答えは「いや、もう少しおやすみ下さい」でなくてはならない。この問答が現実に起こる。しかし正しい答だったので、そのウェールズ人は財宝の一部を入手できる。」
「いまひとつの物語はローマ軍の城壁にあるシュインシールズとヨークシャのリッチモンドで見出される。訪問者は、アーサー、グィネヴィアと廷臣たちが、靴下留め、剣と角笛が置かれた卓の傍で、眠っているのをみつける。靴下留めを切り、角笛を吹かなければならない。そうすると、アーサーは起き上がって、ブリトン人を勝利に導くであろう。しかし、その訪問者は靴下留めを切ることだけである。するとアーサーは目を覚ますが、また眠ってしまう。」




こちらもご参照下さい:

リチャード・キャヴェンディッシュ 『アーサー王伝説』 高市順一郎 訳
Richard Barber 『Bestiary』 (MS Bodley 764)

















































































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