アンリ・ダヴァンソン 『トゥルバドゥール』 新倉俊一 訳 (筑摩叢書)

アンリ・ダヴァンソン 
『トゥルバドゥール
― 幻想の愛』 
新倉俊一 訳
 
筑摩叢書 198 

筑摩書房 
1972年12月20日 初版第1刷発行
1985年5月30日 初版第3刷発行
286p 口絵(モノクロ)16p 
目次3p 文献・註・索引xxix 
巻末折込地図1葉
四六判 並装 カバー
定価1,600円
装幀: 原弘



本書「訳者あとがき」より:

「本書は Henri davenson, Les troubadours, Coll. 《Le Temps qui court》, 23, Ed. du Seuil 1961 の翻訳である。但し、訳稿完成後の一九七一年秋に、本名の Henri-Irenee Marrou の名で改訂増補版が出たので、著者の諒承のもとに、改訂増補された部分については、校正の段階で必要な手直しをほどこしてある。」


口絵図版32点、巻末地図3点。


ダヴァンソン トゥルバドゥール


目次:

告白
〔「言葉のロマンチックな意味で……〕
ジョングルールとトゥルバドゥール
十二世紀のルネサンス
この封建の世紀……
宮廷風の生活
トゥルバドゥールの詩
〔読者へのすすめ〕
トゥルバドゥールの音楽
愛、この十二世紀の発明
アラブ仮説
アンダルシヤの「ザジャル」からアキテーヌの「ヴェルスス」へ
「起源」に関する謎
トゥルバドゥールとカタール派
宮廷風恋愛
トゥルバドゥールとキリスト教
この愛の挫折
トゥルバドゥールの影響

訳者あとがき

参考文献
原註・出典指示
解説索引

口絵
地図




◆本書より◆


「始めるに当って、正規の概念を蔑ろにした言葉の使い方を、注意深く避けることにしたい。「トゥルバドゥール」 troubadour と「ジョングルール」 jongleur の両者を区別することを知らねばならぬ。厳密な意味では(中略)、前者と後者の関係は対照的であって、作者と演奏家のそれであった。すなわち、トゥルバドゥールとは、作者、作曲家であり、一方ジョングルールは、作者が《trobar, trouver》〔作詞作曲する〕したものを演じるのである。旅廻りの、しばしば貧窮の芸人という紋切り型のイメージが、まだしも当てはまるのはジョングルール――joglar, joglador――のほうである。「メネストレル」 ménestrel (このような概念範疇では、この語は本来的に北フランスに属する)について言えば、これは宮廷ないし領主に侍って「奉仕」 ministerium する、安定した任務を得たジョングルールのことである。歌手としての才能は、ジョングルール(及びジョングルレス〔女芸人〕)が行使した、多種多様の職務の一つに過ぎなかった。ラテン語無言劇(ミーム)の直系の後継者たる彼らは、何でもござれの語り手、おそらく楽士でもあったろうが、同時に香具師、曲芸師、離れ業や力業の使い手、人形使い、芸を覚えた動物使い(中略)でもあった。それはローマの原型と同じく、善男善女から、先ずは公教会関係者から貶められ、辱しめられた職業――各身分に固有の罪過を列挙するに当り、皇帝や王侯から始めて、貴族、騎士等々と、階層秩序を順に下っていった告誡聴問僧の手引書によって判断する限り、これは最下級の職業であった。」
「おそらく、二つの概念の間にあった境界線は、越えることのできないものではなかった。シェイクスピア一座以来、我々は多くの俳優が、彼等の役割と劇作家としての役割を兼ねてきたのを見ているからだ。同様に、ジョングルールの何人かは、詩的創造の分野における才能に恵まれていたため、トゥルバドゥールの中に――それも時には最も高名なものの中に数えられたのであった。(中略)その逆に、トゥルバドゥールが、時には、自ら自作の詩を歌う羽目になったこともあるが、これは、諷刺詩の言い分を信ずるならば、必ずしも余り成功したわけではなかった。」





こちらもご参照下さい:

『フランス中世文学集 1 信仰と愛と』 新倉・神沢・天沢 訳





























































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