『藤原定家歌集 附 年譜』 佐佐木信綱 校訂 (岩波文庫)

「しばしとて出でにし庭もあれにけり蓬の枯葉すみれまじりに」
(藤原定家 「閑居百首」 より)


『藤原定家歌集 
附 年譜』 
佐佐木信綱 校訂
 
岩波文庫 黄/30-102-1

岩波書店
1931年5月5日 第1刷発行
1999年2月5日 第7刷発行
357p
文庫判 並装 カバー
定価700円+税



本書「附言」より:

「藤原定家は、歌人として一代の名家であるから、早くから、岩波文庫のうちにその集を收めたいと思つてゐたが、流布の六家集本はここかしこに誤があるので、躊躇して居つた。然るに、近く、宇治山田市の舊家來田親明君の藏本を借覽するを得たので、それを底本とし、その疑はしいところは、家藏の傳正徹自筆本(上卷を缺いた二冊本)竝に、細川幽齋の手澤本で烏丸家を經へ中山家に傳はつた寫本(四冊本)を參照して、刊行することにした。」



藤原定家歌集 01


カバーそで文:

「新古今」の代表歌人として一時代を画し、中世和歌のみならず日本詩歌史上に不滅の足跡を遺した藤原定家の歌集。年譜を付す。」


目次:

拾遺愚草 上 (百首歌)
 初學百首
 二見浦百首
 皇后宮太輔百首
 閑居百首
 早卒百首
 後早卒百首
 花月百首
 十題百首
 歌合百首
 院初度百首
 院再度百首
 内大臣家百首
 内裏百首
 應制百首
 左大臣家百首

拾遺愚草 中
 韻歌百廿八首
 仁和寺宮五十首
 院五十首
 院句題五十首
 女御入内御屏風歌
 入道九十賀算屏風歌
 最勝四天王院名所御障子歌
 院二十首
 詠花鳥和歌
 仁和寺宮五十首
 權大納言家三十首
 女御入内御屏風和歌

拾遺愚草 下 (部類歌)
 春
 夏
 秋
 冬
 賀
 戀
 旅
 述懷
 無常
 神祇
 釋教
 
員外雜歌
 一字百首
 一句百首
 伊呂波四十七首
 同 二度
 文字鋂歌廿首
 秋は猶の歌
 今こむとの歌
 十五首歌
 南無妙法の歌
 文集百首
 四季題百首
 韻字四季歌
 堀河院題百首
 藤川百首

 來田本奧書

附 定家年譜 (佐佐木信綱 編)
定家歌集附言 (佐佐木信綱)



藤原定家歌集 02



◆本書より◆


「詠四十七首和歌(伊呂波四十七首)」より:

     春十首
いつしかとかすめる空の氣色かなたゞ夜の程の春のあけぼの
樓の上のあきののぞみは月のほど春は千里の日ぐらしのそら
春來ても谷のこほりはまだ解けずさは思ひわく鳥の音もがな
匂ひ來ぬまたこの宿のうめの花人あくがらすはるのあけくれ
ほのぼのとかすめる山の嶺つゞき同じきゞすのこゑぞ恨むる
へて見ばや瀧の白糸いはこえて花ちりまじるはるのやまざと
ときはなるみどりの松の一入はにほはぬ花のにほひなりけり
散りまがふ花に山路は埋れぬたれかき分けてけさをとふらむ
龍門のたきにふりこし雪ばかり雨にまがひてちるさくらかな
脱ぎかへむあすの衣の色もをしいたくは馴れじ花のにほひに
     夏十首
るりの地に夏のいろをばかへてけり山のみどりをうつす池水
をの山やまだ冬ごもる雪とみてうの花分くるたにのほそみち
忘られぬこぞの古聲こひこひて猶めづらしきほとゝぎすかな
かざしもて賴をかくるあふひ草てる日のかげに幾世なるらむ
寄せかへる波のひゞきに秋かけて夏はかよはぬいそのまつ風
れいよりも今夜涼しきあらしかな秋まつかげの山の井のみづ
袖かろき蝉のはごろもなれなれて秋のはつかぜ立ち別れなむ
つもりける夏の日かずをいとひつゝおもへば年の半すぎぬる
寢ぬにのみあけし夜頃のはかなさもたゞけふはつる水無月の暮
     秋十首
何となくものぞ悲しき秋風のやどかりそむるにはのおぎはら
らいしおかむたゞ秋萩の一枝もほとけのたねは結ぶとぞ聞く
むらさきの露に匂へる花よりも色むつまじきをみなへしかな
うづら鳴くまくずが原のつゆわけて袖にくだくる秋の夕ぐれ
ゐな山の山のしづくも色づきてしぐれも待たず更くる秋かな
後にまた誰か來て見む谷川やむすぶしづくにもみぢちるやま
をりごとに哀もよほすまがきかな秋のすゑ葉のきくの白つゆ
くれにけりをしむかひなく行く秋もまだ見ぬ程の長つきの月
やきに燒く秋のいり日のこずゑかな夕くれなゐを分くる山風
または見じ秋をかぎりの立田山もみぢの上にしぐれふるころ
     冬十首
けぶりさへ目に立つけさの住居かなこずゑあらはにはるゝ山里
冬來ぬとつげの枕のしたさえてまづ霜こほるうたゝねのそで
越の山またこの頃のいかならむなべての嶺にそゝぐはつゆき
江の南わか葉の草もみどりにて春のかげなるかみなづきかな
寺々におなじくひゞく鐘のおとにことしも冬の先づ聞ゆらむ
跡たえて落ちしこのはに雪ふりぬ誰ばかりはと待つ人もなし
さほ河のせゞの岩波ふみしだきこほりにふくるさ夜千鳥かな
雉子なくかりばの雪にかりねせむうだのふし柴しばし宿かせ
雪おもる松のひゞきを友として山路もふゆもふかきやどかな
めぐりあふほどなきけふは數多へぬさて幾年を迎ふべき身ぞ
     戀七首
水莖のはかなき跡をしるべにてけふせきかぬる袖のしがらみ
しきたへの枕の下にみなぎりてやがてもくたすなみだ川かな
ゑにかける鳥ともさらにみなれじな羽をならぶる契ならねば
久しくもなりにけるかな假初と契りしまゝの世のはかなさは
諸共にしぼる涙のいろなれてたれかおくるゝそでもくたさむ
せめて思ふ今ひとたびのあふ事は渡らむ河やちぎりなるべき
捨てやらずなほ立ち歸るこゝろまで思へばつらき世々の契を















































































































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ひとでなしの猫

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難破した人々の為に。

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趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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