塚本邦雄  『十二神将変』 (河出文庫)

「現代社会では心を病んでゐない者こそ異常者なのだ。一番危険なのは健康といふ名の宿痾に侵されることだ」
(塚本邦雄 『十二神将変』 より)


塚本邦雄 
『十二神将変』

河出文庫 つ 2-1

河出書房新社 
1997年4月22日 初版印刷
1997年5月2日 初版発行
269p 
文庫判 並装 カバー 
定価672円(本体640円) 
デザイン、フォーマット: 粟津潔
カバー装幀: 間村俊一


「本書は、昭和四十九年(一九七四)五月、人文書院より、旧字旧カナで単行本として刊行されました。」



長編小説。新字・正かな。


塚本邦雄 十二神将変 河出文庫


帯文:

「甦る幻の名作ミステリー!
十二神将像と阿片の香をめぐる死の謎……
現代短歌の巨匠が絢爛と繰広げる推理絵巻」



カバー裏文:

「ホテルの一室で一人の若い男が死んでいた。そのかたわらには十二神将像の一体が転がり……
精神病理学者、サンスクリット学者、茶道宗匠、とある山麓に魔方陣をかたどった九星花苑をつくり、秘かに罌粟を栽培する秘密結社。彼らが織りなすこの世ならぬ秩序と悦楽の世界……
現代短歌界に聳え立つ巨匠が、23年昔書き下ろした絢爛豪華な幻の名作ミステリーが文庫に!」



目次:

第一部 翡翠篇
第二部 雄黄篇
第三部 臙脂篇
第四部 白毫篇
第五部 瑠璃篇
第六部 玄鳥篇
第七部 水精篇

巻末エッセイ――天球の方陣花苑 (中野美代子)
解説 (島内景二)




◆本書より◆


「だが、型は秩序、この世を斎(いは)ひ人を鎮める唯一のよすがぢやないだらうか。(中略)茶の湯も発生当時からさまざまの矛盾は孕んでゐるさ。道と呼ばれた時から頽廃は始まつてゐる。別に茶道だけの問題ぢやないよな。おれも茶禅一如がどうのかうのなんて鵜呑みにして有難がつてるわけぢやない。君の言つた紹鴎、織部、遠州にしろその道の達人であることだけなら何も魅力は感じない。茶をメディアとして、あるひは楯として時の権力に拮抗したことに、拮抗するだけの絶対的な今一つの世界を築き上げたことに満腔(まんかう)の敬意を表するのさ。」

「をかしいのはそこなの。どうしてそんなお芝居をするのか知ら。別次元で、私達の手の届かない世界で生きてゐるのをひた隠しにしようと思ふリアクションだわ。私達の知らないいま一つの世界で何かが起つてゐるのよ。もう大分以前から。」

「午近い陽射しの斜に入る牀の茶掛を沙果子はしげしげと見た。銀泥地に白緑で沖の小島、淡い青墨の賛は「竹島の竹よりも人露しや」と読めた。初五座五に別れて咲く二輪の「けし」。まことに、芭蕉、杜国ならずとも白罌粟は彼我、正反の両世界の半(なから)に立つ別れの花であつた。」

「罌粟栽培の顛末を知つたとて何の足しになる。方陣花苑と宝石の、さらには十二神将像との深い繋がりを微に入り細を穿つて説明したとて何の益するところがあらう。彼等には所詮縁のない逆様の世界の儀式と事件、たまたま明るみに出た今日の葛藤を横目で見てゐてくれればいいのだ。」





こちらもご参照下さい:

塚本邦雄 『十二神将変』





















































































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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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