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唐十郎 『戯曲 吸血姫 他一篇』 (角川文庫)

さと子 どんな人が住んでるの?
肥後 まともに働いている人だよ。
さと子 ろくでもない奴が住んでいるのね。」

(唐十郎 「吸血姫」 より)


唐十郎 
『戯曲 吸血姫 
他一篇』
 
角川文庫 3440/緑 352-4

角川書店
昭和50年7月30日 初版発行
230p
文庫判 並装 カバー
定価260円
カバー: 合田佐和子



本書は真っ赤な装幀の函入り単行本も持っていたのですがどこかへいってしまいました。角川文庫版の背表紙が紫色の唐十郎作品もぜんぶそろっていたのですが本書を残してどこかへ行ってしまいました。ちなみにいうと角川文庫版「少女仮面」の背表紙は最初白でしたが後で紫になりました。両方とももっていたのですがどこかへ行ってしまいました。そういうものなのでしょう。


唐十郎 吸血姫 01


カバーそで文:

「白衣の天使隊に囲まれた悲恋の歌姫高石かつえのデビューから、幕が開く。ヒロインかつえは、謎の引越し看護婦海之ほおずきに、またあるときは少女歌手古賀さと子に、と変身する。
 無限に増殖するイメージ、意表をつく展開、千変万化、万華鏡の如き絢爛さと衝撃。〈状況劇場〉の鬼才が、懐しのメロドラマを素材にえがいた表題作戯曲“唐版・愛染かつら”。
 他に、戯曲「愛の乞食」を併録。」



目次:

吸血姫 (三幕)
 一幕 お世話の都
 二幕 夕方色の肉
 幕間 海底病院
 三幕 死の森

愛の乞食 (三幕)
 一幕 キャバレー豆満江(ズマンコー)
 二幕
  一場 豆満江の赤いリラ
  二場 愛の満州おろし
 三幕 花の幽霊船

解説 (種村季弘)



唐十郎 吸血姫 02



◆本書より◆


「愛の乞食」より:

 でも義務教育が――。
ミドリ そんなもの、やめちまえ、バカヤロー。
 でも、世間はそんなこと――。
ミドリ 認めないと言うのかい? そんな世間、お前が認めなきゃいいじゃねえか。」

尼蔵 シルバーなんていたのかい?
馬田 え?
尼蔵 俺たちの手にかかったら、誰でもシルバーと言えるだろうよ。登場の仕方によっちゃ、誰でもシルバーになれるのよ。(中略)お前にしたって――。
馬田 (大谷に)お前にしたって――。
大谷 (尼蔵に)お前もな。
尼蔵 世間の、いや、俺たちのはみ出し野郎はいつだってシルバーよ。」

馬田 お前には、この世間の顔が見えなくなってるんだな、尼蔵。満州なんかありゃしねえ、船なんか来やしねえよ。
尼蔵 どうやら、今度はこの俺がお前ら世間のはみ出し野郎になりそうだな。だが、馬田、これだけは言っとこう。登場の仕方によっちゃ、誰でもシルバーになれるように、退場の仕方によってもシルバーになれるんだ。船はきっと来る。
馬田 お前の船出は死の船出よ。もうろくしやがって、目がかすんでやがるんだ。
尼蔵 俺にはよく見えるよ、あの北海が――。
馬田 北海なんかありゃしねえ。満州なんかありゃしねえよ。満州の水先も忘れちまったくせに。
尼蔵 まもなく、あの娘が目を覚ます。水先案内人は、あの万寿シャゲよ。
馬田 時間の迷い子か。どこへでも行きやがれ。」

少女 (中略)あたし、あの人と船に乗らなくちゃ。
 あんたの首を絞めた男とかい?
少女 本気じゃないの、あの人。きっと何かを思い出しているのね。(立ちあがり)さようなら、保険屋さん、あたし、あの人の杖になって、あの人の知らない海を案内してあげなくてはならないの。あたし、あの人をあなたの国から奪ってゆくのよ。」

「海賊の行進、花道をよぎる。
海のざわめきで、もう、世界はひとたまりもない。」














































































































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ひとでなしの猫

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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。
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