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小笠原豊樹 訳 『プレヴェール詩集』 (岩波文庫)

「わたしはわたしよ もともとこんなよ
しかたがないわね しかたがないでしょ」

(プレヴェール 「わたしはわたしよ」 より)


小笠原豊樹 訳 
『プレヴェール詩集』
 
岩波文庫 赤N/37-517-1 

岩波書店
2017年8月18日 第1刷発行
293p 編集付記1p
文庫判 並装 カバー
定価840円+税



「編集付記」より:

「本書は小笠原豊樹訳『プレヴェール詩集』(ユリイカ、一九五六年/河出書房、一九六七年/マガジンハウス、一九九一年)所収のすべての詩篇と、『唄のくさぐさ』(昭森社、一九五八年)所収の七篇に、シャンソン「枯葉」を追加して、文庫化したものである。(中略)マガジンハウス社版所収の訳者による解説と、谷川俊太郎氏の「ほれた弱味」(初出「ユリイカ」一九五九年八月)を収録した。」


マガジンハウス版は出たときに古本屋でみかけたもののうっかり買い忘れていたので今回岩波文庫で出たので買ってみました。


プレヴェール詩集


カバー文:

「「天井桟敷の人々」「切の波止場」など恋愛映画の名脚本家であり、シャンソン「枯葉」の作詞家でもある、フランスの国民的詩人ジャック・プレヴェール(1900―77)。恋人たちの歓喜と悲哀、戦争や日々の暮らしのありさまを、ユーモアと諷刺につつんでうたいあげた、ことばの魔術師のエッセンス。」


目次:

●――『ことば』より
くじら釣り
美しい季節
われらの父よ
セーヌ通り
劣等生
帰郷
演奏会は失敗だった
葬式に行くカタツムリの唄
朝寝坊
景色が変る
血まみれの唄
こども狩り
家族の唄
わたしはわたしよ
手回しオルガン
朝の食事
絶望がベンチにこしかけている
はがねのむすめ
鳥さしの唄
まっすぐな道
結構な家系
主顕節
脱穀機
自由な町筋
大きな赤い

花屋で
そして祭はつづく
日曜日

夜のパリ
花束
バルバラ
鳥への挨拶
なくした時間
天使との戦い

●――『見世物』より
地方色
あかりを消して
ライムハウス
記憶のなかで
戦争
仲良く笑うために
荒涼たるデリカシイ
サンギーヌ
鰯の罐詰を作る女工たちの唄
ひまわり
結構なくらし
恋する二人
水死人
練兵場にて
血と羽根
ピカソのエッチング
闘牛


●――『雨とお天気』より
脳味噌のない小さなあたま
はやくこないかな
雪掻き人夫のクリスマス
イン・メモリアム

●――『ものがたり』より
探険
五月の唄
幼年時代
小川
流れ星
祭(フィエスタ)
猫と小鳥
勘定
ある男
とかげ
銃殺された男
燈台守は鳥が好きで好きで
沖仲仕の心
キスして
あなたが眠るとき
夜の音
へんな星だね
悲しい生きものたち
こどものための冬の唄
学校から出てきたら
駝鳥
羚羊の生活より
キリンのオペラ
島の馬
檻のなかの若いライオン

(シャンソン) 枯葉

解説 (小笠原豊樹)
ほれた弱味 (谷川俊太郎)




◆感想◆


谷川さんは原文が読めなくても翻訳を読んで楽しめばよいと書かれていますが、わたしはちょっと原文にこだわってみたく思います。

「結構なくらし」という詩の最初の二連です。

「動物園には けだものがいる
格子のうしろで 一生すごす
そのけものらと ぼくらはきょうだい

泣いちゃいけない とがめるんだ
無実の罪で つかまったのを
廊下に追い出し 戸外(そと)に蹴り出す
それは世間だ それはくらしだ」


原文だと「LA BELLE VIE」。

「Dans les ménageries
Il y a des animaux
Qui passent toute leur vie
Derrière des barreaux
Et nous on est des frères
De ces pauvres bestiaux

On n'est pas à plaindre
On est à blâmer
On s'est laissé prendre
Qu'est-ce qu'on avait fait
Enfants des corridors
Enfants des courants d'air
Le monde nous a foutus dehors
La vie nous a foutus en l'air」

まず一見してわかるのは行数の違いです。原文は全34行ですが訳詩は全17行、原文の二行分を一行に訳しています。

「泣いちゃいけない とがめるんだ
無実の罪で つかまったのを
廊下に追い出し 戸外(そと)に蹴り出す
それは世間だ それはくらしだ」


の部分ですが、原文を敷衍しつつ訳すと、「檻に閉じ込められたわれわれ(動物や子ども)は同情され憐れまれるどころか、動物や子どもであることを咎められ非難される。捕まってしまったけれど、われわれがいったい何をしたというのか。檻=教室からも追い出され廊下に立たされた落ちこぼれの子どもたち(Enfants des corridors)は、そのうち世間からも締め出されて路頭に迷う(Enfants des courants d'air)ことになる。世間がわれわれを外に追いやってアウトサイダーにし(Le monde nous a foutus dehors)、生活(la vie)がわれわれを足場のない虚空に放り出す(La vie nous a foutus en l'air)。全く結構極まりない人生(la belle vie 反語)じゃないか」ということになるのではないでしょうか。

また、「練兵場にて」の、

「ぼくはどうせ規格はずれ
のたれ死になど性に合わない
ぼくにあるのはパイプだけさ」


の訳注に「フランス語で「のたれ死に」と「パイプ」(中略)は、(中略)おなじことば。」とありますが、正確には「パイプを壊す」(casser sa pipe、プレヴェールの原文では le casse-pipe)が「死ぬこと」を意味します。

















































































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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

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好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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