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G・K・チェスタトン 『ブラウン神父の醜聞』 中村保男 訳 (創元推理文庫)

「いつもわたしは、自分の言おうとしていることをはっきり言おうと努めているのですが、ほかの人たちがわたしの言おうとしていることに盛り沢山の意味をつけてしまうのです」
(G・K・チェスタトン 「手早いやつ」 より)


G・K・チェスタトン 
『ブラウン神父の醜聞』 
中村保男 訳
 
創元推理文庫 110-5

東京創元社
1982年10月29日 初版
1984年8月10日 3版
307p
文庫判 並装 カバー
定価360円
カバー: 長谷川並一



Gilbert Keith Chesterton: The Scandal of Father Brown, 1935


チェスタトン ブラウン神父の醜聞


扉文:

「奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモア、独特の逆説と警句、シャーロック・ホームズものと双璧をなす短編推理小説の宝庫ブラウン神父譚。作者チェスタトンは、トリック創案にかけては古今の推理作家中でも卓越した存在である。まん丸な童顔には、澄んだ目がぱちくりしている。不恰好な小柄なからだに大きな帽子と蝙蝠傘(こうもりがさ)といういでたち。どこから見ても質朴で能のない貧相な坊さんにすぎないのだが、ひとたび事件が起きるや、ブラウン神父の探偵ぶりの鮮やかさ。快刀乱麻をたつように難事件を解決する!」


目次:


ブラウン神父の醜聞
手早いやつ
古書の呪い
緑の人
《ブルー》氏の追跡
共産主義者の犯罪
ピンの意味
とけない問題
村の吸血鬼

ブラウン神父の世界 (中村保男)




◆本書より◆


「村の吸血鬼」より:

「「ええ」と博士は深刻そうに答えた。「その大スキャンダルの起こりはこうなんですよ。グレンジと呼ばれる家が森(グローヴ)のいちばんはずれにあるんですが、そこに婦人がひとり暮らしています。孤独なる女、というわけです。自分ではマルトラヴァース夫人と称して、わたしどももそう呼んでいますが、この女がやって来たのは一年か二年前で、だれもこの女のことは何も知っていない有様です。《どうしてこんな所に住みたがるのか、さっぱりわからないわ》とミス・カーステアーズ・キャルーは言ってましたよ。《だれもあのひとの所へは訪ねて行かないんですもの》」
 「それだからこそ、そこに住みたがるのかも知れませんね」とブラウン神父。
 「どうもあの女のひっそりとしたひとり暮らしは、怪しいということになっているのです。大変な美人だし、それによきスタイルというやつさえもっているので、周囲の人たちにけむたがられているんです。若い男たちはみんな、あの女は妖婦(ヴァンプ)だから気をつけろと言われている始末です」
 「すっかり慈愛の心をなくした民衆というものは、すべての論理性を失うわけだ」とブラウン神父は評した。「その女性が自分ひとりで閉じこもっているということにとやかくけちをつけ、お次に、その女性は村の男衆をたぶらかす妖婦であるなどときめつけるのは、どうもむちゃな話です」」
「「さて、その女性が牧師のせがれをたぶらかしたということになっているんですね」
 「ええ、それがあの爺さん牧師にはとてもおそろしい問題に思えているんです。あの女は後家さんだということになっていますのでね」
 ブラウン神父の顔は珍しく赤味を帯び、痙攣(けいれん)して、いら立っていることを示していた。「その女性は、後家さんだということになっているって。それだって、牧師のせがれが牧師のせがれだということになっていたり、あんたが医者だということになっているのと同じでしょう。一体、どうしてその女性が後家さんであってはいけないのです?」」

「「わたし自身はイギリスの田舎者です。少なくとも、ほかの野暮な連中とエセックスで育ちました。いったい、イギリスの農夫が昔のギリシャの都市国家の市民みたいに自分の村を理想化したり、擬人化したりしたあげく、その聖なる旗じるしのために、さながら中世イタリアの都市共和国の住民のように剣を抜いて立つなんてことが想像できるでしょうか? 陽気な田舎者が《ポタース・ポンドの紋章につけられた汚点を拭いうるものは血あるのみ》などとふれまわっているのを、いったいどこで聞けるでしょうか?」」





こちらもご参照ください:

G・K・チェスタトン 『新ナポレオン奇譚』 高橋康也・成田久美子 訳 (ちくま文庫)





















































































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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