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Charles Simic 『Scribbled in the Dark』

「O lone streetlight,
( . . . )
Stay with me,
As I push further and further
Into the dark.」

(Charles Simic 「At Tender Mercy」 より)


Charles Simic 
『Scribbled in the Dark』


Ecco, An Imprint of HarperCollins Publishers, New York, 2017
xv, 72pp+1p, 23.5x16cm, hardcover, dust jacket
Designed by Suet Yee Chong
Jacket design by Allison Saltzman
Jacket illustration: Jeff Östberg
Printed in the United States of America



「暗闇のなぐり書き」。巻末に著者紹介1p。
チャールズ・シミックの今のところ最新の詩集のハードカバー版(紙装継表紙)がアマゾンマケプレのアウトレット書店で売られていたので(1,200円+送料)注文しておいたのが届いたのでよんでみました。


simic - scribbled in the dark


Contents:

Acknowledgments

I
Dark Night's Fly Catcher
Seeing Things
At the Vacancy Sign
That Elusive Something
Fair-Weather Friends
Uninvited Guest
All Gone Into the Dark
The Week
To Boredom
Fish Out of Water
Illegible Scribble
History
Signs of the Times
In the Courtroom
Missed Chance

II
January
In Wonder
In the Snow
Ancient Combatant
The Night and the Cold
All Things in Precipitous Decline
The Cricket on My Pillow
Winter Fly
Bare Trees
Roadhouse
Stray Hen
The White Cat
The One Who Disappeared
The Message
Birds Know

III
The Movie
Belladonna
On Cloud Nine
Swept Away
My Goddess
The Lucky Couple
Dead Sure
The Lover
The Saint
The Art of Happiness
In Someone's Backyard
Cherry Pie
A Day Came
Haunted House
The Blizzard

IV
The Infinite
Last Bet for the Night
Description
Mystery Theater
Shadow on the Wall
Looking for a Place to Hide
Scribbled in the Dark
In the Greek Church
The Masque
Many a Holy Man
The Lifeboat
Past the Cemetery
Star Atlas
Night Owls
At Tender Mercy




◆本書より◆


「Seeing Things」:

「I came here in my youth,
A wind toy on a string. 
Saw a street in hell and one in paradise. 
Saw a room with a light in it so ailing 
It could've been leaning on a cane. 
Saw an old man in a tailor shop 
Kneel before a bride with pins between his lips. 
Saw the President swear on the Bible 
 while snow fell around him. 
Saw a pair of lovers kiss in an empty church 
And a naked man run out of a building 
 waving a gun and sobbing. 
Saw kids wearing Halloween masks 
Jump from one roof to another at sunset. 
Saw a van full of stray dogs look back at me. 
Saw a homeless woman berating God 
And a blind man with a guitar singing: 
"Oh Lord remember me, 
When these chains are broken set my body free."」


(わたしは若いころここに来た、
糸で繋がれた風の玩具(=凧)。
※ユーゴスラヴィア生まれのシミックは1954年、16歳のときにシカゴに移住しました。シカゴの愛称は「風の町(Windy City)」です。
地獄の街を見た 天国の街も。
杖にすがっているように苦しげな
灯りのともった部屋を見た。
花嫁の前にひざまずく
ピンをくわえた仕立屋の老人を見た。
雪が降りしきる中で
大統領が聖書に手を置いて宣誓するのを見た。
誰もいない教会で恋人たちがキスするのを見た。
裸の男が銃をふりまわして
泣きながら建物から走り出るのを見た。
ハロウィンの仮面をかぶった子どもたちが
日暮れ時に屋根から屋根へと跳び移るのを見た。
こっちを振り向く野良犬を
たくさん積み込んだトラックを見た。
ホームレスの女が神をののしるのを見た。
そして目の見えない男がギターを弾きながら歌うのを。
「主よ、わたしを思いだしてください
この鎖がこわれる時、わたしを解き放ってください」
※「Lord remember me」はブルース歌手ルーシー・フォスター(Ruthie Foster)の曲。)



◆感想◆


ロレンス・スターンの『トリストラム・シャンディ』に登場するトゥビー叔父は、部屋に迷い込んだハエを逃がしてやりつつ「この世の中にはおまえとおれを両方とも入れるだけの広さはたしかにあるはずだ」と語りかけますが、これなどはたいへんシミック的なのではないでしょうか(※)。本書にもハエが登場する詩が何篇かあります。「冬のハエ」(Winter Fly)などという詩もあって、これなどはたいへん梶井基次郎的かもしれません。
そういうわけで、シミックもだいぶ老境にさしかかって枯れてきたのか、公園のベンチでスズメにパン屑を与える孤独な老人を描いた表紙絵そのままに、淡泊な印象の詩集です。とはいうものの、厭世観と能天気、終末観と幼年期の無時間が同居する独特の詩的世界は健在です。「Many a Holy Man」(たくさんの聖人がかわるがわる、欲望を捨てよ、くよくよ思い悩むな、変えようがないものには抗うな、と彼に促した)のような一見すると諦観したような詩もありますが、たくさんの聖人が入れ代わり立ち代わり説得しなければならないということは、「彼」が決して改心せず、くよくよ思い悩むのをやめなかったということでありましょう。ありがたい「内なる光」よりも、巣を修復するクモに光を投げかけてやる頼りなげな街灯を頼りにしてしまうあたりがシミックの真骨頂なのではないでしょうか。

※とはいうものの、本書に登場する現代の「聖者」(The saint)である孤独な女の人は夜中に泣きながら靴でネズミをたたいたりします。































































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うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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