FC2ブログ

藤本康雄 『ヴィラール・ド・オヌクールの画帖』 (SD選書)

藤本康雄 
『ヴィラール・ド・オヌクールの画帖』
 
SD選書 72 

鹿島出版会
昭和47年10月30日 発行
223p
四六判 並装 機械函
定価780円
装幀: 田辺輝男



本書はヤフオクで350円(+送料164円)で出品されていたのを落札しておいたのが届いたのでよんでみました。
「アルバム」図版66点、参考図版79点。図版はすべてモノクロです。


藤本康雄 ヴィラールドオヌクールの画帖 01


目次:

はじめに

ヴィラール・ド・オヌクールのアルバムについて
 アルバムの体裁
 アルバムの作者と年代
 アルバムの沿革

ヴィラール・ド・オヌクールのアルバム
 図版一~一〇
 ペリカン、みみずく、かささぎ。
  一二使徒像、サロメ。
  戦士、カタツムリ。
  十字架のキリスト。
  十字架。
  傲慢と謙譲。
  クマ、白鳥。
  教会の勝利像。
  永久運動装置。
  木の葉模様の顔と迫石。
 図版一一~二〇
  古代祭壇。
  時計の家とドラゴン図案。
  朗読台。
  バッタ、ネコ、ザリガニ、シャルトルの迷路。
  十字架祭壇飾り。
  騎士闘争図。
  さいころばくち、手あぶり器、タンタラスの盃。
  ランの塔平面。
  同立面。
  聖母子図とランスの窓。
 図版二一~三〇
  キリスト像、ドラゴン。
  祭壇と裸の男。
  婦人像。
  王侯と司教像。
  王と随臣達。
  キリスト降架図。
  タカ狩りの男女。
  力士、カンブレ平面。
  創作平面、モー平面。
  床舗装とシャルトルのバラ窓。
 図版三一~四〇
  ローザンヌのバラ窓。
  栄光のキリスト。
  ヴォーセル平面図と伏せる人物。
  木造小屋組と手提げ灯。
  鬚男とポルトレィチュール。
  ポルトレィチュールの各種。
  石工、測量技術。
  要石の割り出し法、その他。
 図版四一~五〇
  石工技術。
  運命の輪。
  二人の裸の男。
  各種機械。
  床組。
  うずくまる男、騎士図。
  ライオンの調教。
  ライオン。
  王侯図。
  使徒と兵士。
 図版五一~六四
  オウム、楽師と犬。
  闘獅士。
  殉教図。
  長いす図案と使徒。
  使徒と予言者。
  キリスト受難図。
  長いすの唐草模様。
  クラミスの男。
  トレビュシェ。
  ランス祭室立面。
  同身廊立面。
  同柱断面。
  同後陣飛梁部断面。
  脱毛膏薬と花色保存法。

おわりに
付記




◆本書より◆


「はじめに」より:

「北フランスもベルギーとの国境にほど近い所に、カンブレという町がある。そこの静かな住宅街の一角、小さい公園の片隅に、木々に囲まれてひっそりと一つの石像が立っている。ものさびた石の台座に刻まれた銘は、こう読める。

ヴィラール・ド・オヌクール
一二三〇年から一二四六年にかけて建てられた、ノートル・ダム大聖堂旧内陣の建築家。

(中略)しかし、像の人物の名は、カンブレ大聖堂の建築家としてよりも、ゴシック建築に関するかの有名なアルバム(スケッチブック・画帖)の作者として、知る人の心をとらえるのである。
ヴィラール・ド・オヌクールのアルバム。それは、綴じ合わされた三三葉の羊皮紙からなる手書き本で、現在、パリの国立図書館に保存されている。各葉の表・裏六六面にはさまざまな図柄が描かれ、随所に文字が書き記される。人物像や動物画、建物の平・立面から、家具や道具、からくり・機械装置に至るまで、図柄の内容は多岐にわたる。それらはすべて、何らかの意味で、中世の建築ならびに建築家の技術に関するものであり、その点、これ程まとまった記録は他に類例を見ない。特に、当時の建築家自身の手になる記録では、現存する唯一最古の資料として、重要視されているのである。」
「今回、本書にアルバムの全図版を収録し、注釈を施して内容の概説を試みることとなった。」



「ヴィラール・ド・オヌクールのアルバム」より:

「以下に示す各図版の順序は、原本の通りになっている。もとの感じを少しでもよく伝えるために、各葉の表・裏の関係も原本に合わせてある。(中略)図版の縦・横の長さは、実物を約三分の二程度に縮めたものに相当する。」


藤本康雄 ヴィラールドオヌクールの画帖 07


「一四a バッタあるいはイナゴ
胸や腹の部分が実際の通りでなく、頭部に耳がつくなど、仮想的な要素が強い。バッタやイナゴは、帰依した異教徒のシンボルとされる。黙示録にも異教徒の大軍として出て来る。

一四b 猫
眉や後肢が不自然だが、ヴィラールの描く動物画の中では、かなり実際に近いものの一つである。」

「一四c ハエあるいはアブ

一四d トンボ

一四e ザリガニ
腹部の節の数が多過ぎる(実際は尾を入れて七節)。しかし全体にかなり写実的である。悪魔の化身、南海に住む怪物として、しばしば描かれた。」

「一四g 迷路(ラビリント)
シャルトル大聖堂の床に、大理石でモザイクされているものを写したと見られている。」
「迷路はアミアンやランスの大聖堂にも見られる。中世の人々は、これをキリストが登ったカルヴァリオの道になぞらえて、祈りを捧げながら膝で辿ったのである。」



藤本康雄 ヴィラールドオヌクールの画帖 02


「三八a 逆卍型に図案化された、四人の石工
たがねを持ち、金槌を振り上げた四人の石工が、十文字に組み合わされて描かれる。片膝を地につき、一方の膝を立て、反対側の人物の足先を刻んでいる形である。互いに隣りの人物と片足ずつを共有しているので、脚は全部で四本しかない。この種の回転模様は、中世を通じてさかんに行なわれ、ヴォールト要石の彫刻や、ミニアチュールの飾り字に用いられた。

三八b 頭部を共有する三匹の魚
円弧三角形の頭を中心に、これを共有して、三方に拡がって魚の形が描かれる。前図柄と同様の用い方をされた図案であろう。やや手法は異なるが、ウサギをあしらった三つ巴模様を、ローザンヌ大聖堂に残るヴォールト要石に見ることができる。」



藤本康雄 ヴィラールドオヌクールの画帖 06


「四三c 木の葉模様の顔」
「異教徒を示すものとして、ヴォールトの要石などに刻まれたことはすでに述べた。」



藤本康雄 ヴィラールドオヌクールの画帖 03


「四四a 自動のこぎり」
「四四b 大弓」
「四四c 錘による時計装置」
「四四d ウィンチ」
「四四e ワシと時計装置」
「ワシの外形と、内部の仕掛けが同じ図に示されている。ワシの首の中に一本の縦軸があり、これに紐が巻きつけられている。紐の一端は、横の滑車を介して錘に結ばれ、他端は、尾の部分にある滑車を経て、鳥の体外に導かれていると見える。紐の操作で、ワシの頭の部分が回転するのである。」



藤本康雄 ヴィラールドオヌクールの画帖 04


「四八a ライオン」
「四八b ヤマアラシ」



藤本康雄 ヴィラールドオヌクールの画帖 05


「図版五五」
「二人の人物立像、使徒と予言者」




本書「おわりに」より:

「アルバムは、一三世紀の建築家があらゆるものに関心を持っていたことを示している。(中略)ヴィラール達は、さまざまな分野に通ずる技能・識見を持ち、全的な人格でもって、中世という総合の時代の建築創造に当たったのである。
彼らは、まず設計家だった。聖堂の平面を考え、立面を匠み、構造を決定した。その準備にモデルプランを集め、仲間と討論をかわして、理想的な計画を立てたのである。工事に際しては、測角器や、相似三角形を用いての測量に当たり、敷地に縄張りを施す現場技師となった。石工長として、スケアを用い、迫石、要石、迫持受け等の割り出し法を心得ていた。同時に、小屋組を考え、短材で床組を工夫するなど、大工長としての役割をも果たした。ステンドグラスやトレサリー、その他の建築の部分から、家具調度の部品に至るまでの意匠をこらす、デザイナーでもあった。また、常にすぐれた彫刻家、画家として、神、聖者、人物、動物、その他、あらゆるものの下絵を描き、その造形を追求した。その際、ポルトレィチュールと称し、単純な幾何図形を用いてする略画、転写、拡大比例の方法を採用したのである。一方、土木技師として架橋法を案じたり、機械技術者として、起重機や自動のこぎり、大型投石器、大弓などを工夫し、また、時計装置、その他さまざまなからくりを考案した。そして、最後には、脱毛膏薬や水薬の製法、生花の保存法まで考えているのである。
このように、ヴィラール達の技術・能力は、およそものを作るという仕事の、ほとんど全分野に及んでいるといってもよい。」

「すなわち彼ら中世の建築家達は、すべてを彼らが「至高」とするものへ向けて、描き、作り、考えたのであろうということである。(中略)より「すぐれて美しいもの」は、彼らにとって、感動であり、理想だった。この「至高」への志向、それが、彼らの技術を進めた「向上心」だったと思われるのである。」

「ここには明らかに中世があるはずなのだ。至高を求め、しかも現実に徹し、社会にあって個人を自覚し、伝統を保ちつつ、自由に創造する。独善と協調、高貴と卑俗、機械と手仕事、そして神と人間。すべてが渾然一体となって生き生きと動いていたであろう、ゴシックの世界が、ここに。」





ヴィラール・ド・オヌクール(ウィキペディア)
























































































関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本