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吉岡実 『神秘的な時代の詩』 (書肆山田)

「わたしはネコを抱く疑問符の人
すべてのものを満喫したくない」

(吉岡実 「夏から秋まで」 より)


吉岡実 
『神秘的な時代の詩』


発行: 書肆山田
発売: 牧神社
昭和51年8月15日発行
111p 初出一覧1p
22×13cm フランス装 函
定価1,800円
装幀: 著者



本書「覚書」より:

「今から二年前に、この詩集は湯川書房から刊行されている。しかし七百部の限定本であって、広く読まれることもなく、埋れてしまった。だがこのたび、(中略)再び世に出ることになったのは、私にとっては望外の喜びである。とはいえ、新しい詩境を求めている時、この詩集の試行錯誤にみちた詩篇は、いっそ陰匿してしまいたいという、矛盾した気持にもなっている。」


本書はヤフオクで1,000円+送料205円で出品されていたのを落札しておいたのが届いたのでよんでみました。


吉岡実 神秘的な時代の詩 01


帯文:

「吉岡実
1967~72年詩集
「マクロコスモス」「三重奏」「コレラ」等収録」



目次 (初出):

マクロコスモス (「三田新聞」 1967)
夏から秋まで (「文学者」 1967)
立体 (「現代詩手帖」 1967)
色彩の内部 (「ハイスクールライフ」 1968)
少女 (「血と薔薇」 1969)
青い柱はどこにあるか? (「土方巽舞踏公演チラシ」「現代詩手帖」 1967)
フォークソング (「同時代」 1968)
崑崙 (「南北」 1968)
雨 (「現代詩手帖」 1969)
聖少女 (「小説新潮」 1969)
神秘的な時代の詩 (「季刊芸術」 1968)
蜜はなぜ黄色なのか? (「郵政」 1969)
夏の家 (「ユリイカ」 1969)
低音 (「風景」 1970)
弟子 (「無限」 1972)
わが馬ニコルスの思い出 (「現代詩手帖」 1969)
三重奏 (「本の手帖」 1969)
コレラ (「都市」 1969)

覚書 (1976・6・17)
神秘的な時代の詩作品初出一覧



吉岡実 神秘的な時代の詩 02



◆本書より◆


「マクロコスモス」より:

「印刷された死体の極彩色
明くれば涼しい風景を眺めよ!
ぼくらの豊饒な草むら・枯むぐら
粘菌性のマクロコスモス
千紫万紅の高千穂の峯をふりかえり
鳥肌の世界を反省する」



「立体」より:

「ずるずるひろがる
暗い網の底から
錯誤の未来性」

「彼らは紳士だから
フロックコートの正装のまま
存在するために
共同幻想体として
スイートな金魚鉢を支える」



「少女」より:

「言葉を犯罪的に使って
紅色の闇へ
イタリア貂を狩りに出る
ぼくたちにとって死はとりとめもなく
自動ドアを入る
肉をラセン巻きにするガードルに沿って
まばゆい丘の上に出ると
馬の交尾」



「青い柱はどこにあるか?」より:

「闇夜が好き
母が好き
つとに死んだカンガルーの
吊り袋のなかをのぞけ
テル・テルの子供
ニッポンの死装束が白ならばなおさら
青い柱を負って歩き給え」



「フォークソング」より:

「国家治安のために
母親たちがたれながしのまま
双生児をうむ
ながれる舟のなかに
発泡状の球体群
空は暗い菱形に見え
バロック風な鍋から
立ち上る
雄鶏」

「復讐とは
ねじること
それぞれの夕闇へ
コウモリをとばさんとする」



「崑崙」より:

「そうしてうずまき模様の
ののののの
のたれ死を承認せよ
ノオ」



「蜜はなぜ黄色なのか?」より:

「かくてモノトーンの夜を
なまめかしい水槽で
恋する幽霊」



「わが馬ニコルスの思い出」より:

「すえながく生きつづける仮想の敵」
「潜在的世界には
犯罪的な言葉が屹立する」



「三重奏」より:

「女友だちが手をひく
娘のような妹は悪霊だな!」



「コレラ」より:

「ぼくの胸の上で灰色の猫がこうばこする
サクランボが七・八個赤い台所を通り
反自動的な書き方による詩の試み
愛の不在をたしかめ
手は手袋をはめ罠をはめ針金の上の骨をつまむ
それは流れそれは口をあける
その毛織物の下で
生まれる鉱物」



吉岡実 神秘的な時代の詩 03
















































































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プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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