『ジェームズ・アンソール展』 (神奈川県立近代美術館 1972年)

「彼はわれわれの誰かの同類になるよりも、酔っぱらいになる方を好んだのだ」


神奈川県立近代美術館
『ジェームズ・アンソール展』

Tentoonstelling James Ensor

発行: 東京新聞/制作: 日動出版 1972年
195p(うち図版90p)
24×25.5cm 並装
デザイン: 原弘 
編集委員: 土方定一/原弘/安井源治/匠秀夫/大塚信雄/夏目十郎

ジェームズ・アンソール展
1972年9月2日―10月10日
神奈川県立近代美術館



出品作: カラー図版12点、モノクロ図版132点。
その他モノクロ図版多数。

 
アンソール展(1972)1


「(註) ジェームズ・アンソール James Ensor は、ベルギーでは、いうまでもなく、ジェームズ・エンソール、またはエンソルと発音する。日本ではアンソールと一般に呼ばれ親しまれているので、変更せずに置いた。その他の人名、地名などの発音は、主として、ベルギー大使館のマルク・ヴァン・クラーヌ氏によっている。」


アンソール展(1972)2


目次:

主催者あいさつ
メッセージ (フランス・ヴァン・メレヘン/アルベルト・ファペルツ/大平正芳/安達健三)

評論
 James Ensor (Frank Patrick Edebau)
 ジェームズ・アンソール (フランク・パトリック・エドボー/西澤信彌 訳)
 アンソールと死 (フランシーヌ=クレール・ルグラン/安井源治 訳)
 ジェームズ・アンソールの版画作品 (オーギュスト・タベルニール/匠秀夫 訳)
 回想のジェームズ・アンソール――仮面と骸骨について (土方定一)

図版
 油彩
  1 鼻がそりかえっている女
  2 嵐のあと
  3 ブルジョワのサロン
  4 フランドル街の軍楽隊 (カラー)
  5 オーステンドの午後
  6 緑衣の女
  7 キャベツと野菜
  8 牡蠣をたべている女 (カラー)
  9 不面目な仮面 (カラー)
  10 花飾りをつけた帽子をかぶっている自画像 (カラー)
  11 オーステンドの屋根
  12 海
  13 化粧室の少女 (カラー)
  14 雷にうたれ墜落する反逆の天使 (カラー)
  15 仮面劇
  16 陰謀
  17 仮面、ワウスの驚き (カラー)
  18 画架に向かっているアンソール
  19 ルマン将軍と絵画論をたたかわすアンソール
  20 エビやカニを眺める仮面
  21 首をくくられた男の死体を奪いあう骸骨たち
  22 支那陶器のある静物
  23 悲嘆にくれる男
  24 嵐を鎮めるキリスト (カラー)
  25 憲兵たち (カラー)
  26 われらの慰めなる聖母マリア
  27 鱏(えい) (カラー)
  28 花と野菜
  29 花と支那の花瓶 (カラー)
  30 花、果物、仮面
  31 仮面と死神
  32 仮面たちにかこまれた自画像
  33 骨董屋
  34 麦藁帽子をかぶった女
  35 母の死顔
  36 異様な舞踏会
  37 グロテスクな喫煙者 (カラー)
  38 悪名高い解剖者、あるいは皮はぎ男
  39 貝殻
  40 庭の子供
 版画
  41 自画像
  42 辱しめをうけるキリスト
  43 果樹園
  44 嵐を鎮めるキリスト
  45 ダリウスの便器を験べるイストンとプファマトゥス
  46 大伽藍
  47 地獄の行列
  48 エルネスト・ルッソーの肖像
  49 マリアケルク(教会)の遠望
  50 防波堤
  51 ブリュッセルのボン・スクール街
  52 貧乏人デジルとリソルの争い
  53 ブリュッセルのアンスパフラーン大通
  54 街灯
  55 幽霊の現れる家具
  56 天使や大天使たちを打ちすえる悪魔たち
  57 一本マストの帆船
  58 幻想的な音楽家たち
  59 樹々の群らがり
  60 東オーステンドの眺望
  61 オーステンド港の眺望
  62 闇討ち
  63 ノアの洪水
  64 1960年のわたしの肖像
  65 見知らぬ町の占領
  66 ニューポールトの眺め
  67 アウドナールドの市庁
  68 フルーネンダールの森
  69 カエザルのほどこし
  70 愛の園
  71 キリストの誘惑
  72 羊飼の礼拝
  73 皮をはがれた男
  74 憲兵たち
  75 疾風にのる魔女
  76 難破船
  77 フルーネンダールの小径
  78 淫蕩
  79 森に吹きつける疾風
  80 オーステンドの船渠(ドック)
  81 オーステンドの森のはずれ
  82 幽霊
  83 風車小屋の前の村祭り
  84 森のなかの橋
  85 ポプラのある池
  86 異様な舞踏会
  87 田舎の橋
  88 天使、諸人をうちこらす
  89 骸骨としての自画像
  90 オーステンドのイゼゲム大通
  91 氷滑りをする人たち
  92 蒸汽船
  93 ローマの凱旋式
  94 フランドル街の軍楽隊
  95 スレーケンスの風車
  96 キリスト、魚をふやし給う
  97 公園の集い
  98 異端者の火刑
  99 良き裁判官
  100 漁船
  101 悪魔ジェッチとイアノックス、キリストを地獄に導く
  102 私を責めさいなむ悪魔ども
  103 賭博者
  104 悪魔に悩まされるキリスト
  105 騎士の戦い
  106 悪しき医者
  107 不面目な仮面
  108 キリストと乞食
  109 キリスト、地獄に降り給う
  110 死、諸人をおそう
  111 さらば、ナポレオン
  112 ホップ=フロッグの復讐
  113 キリスト、ブリュッセル市に入る
  114 ホップ=フロッグの復讐
  115 オーステンドの海水浴
  116 王妃パリサティス
  117 怠惰
  118 オーステンドの屋根
  119 上も、下も、いたるところがペスト
  120 羨望
 水彩、デッサン
  121 人物のいるデッサン
  122 ランプ
  123 自画像
  124 日傘
  125 寺院から商人を追い出すキリスト
  126 瀕死のキリスト
  127 キリストを地獄に導く悪魔たち
  128 フルーニンゲの戦いに出陣するまえ、祖国を守るフランドルの戦士
  129 騎士の戦い
  130 本を読む母
  131 玉突きに興ずる骸骨たち
  132 小品5点連作: 玉突きに興ずる人たち
  133 キモノを着た若い女と骸骨
  134 亡き父の肖像
  135 母と妹のエスキース
  136 身体をあたためる病める放浪者
  137 総(ふさ)と装飾ランプ
  138 はなサフラン
  139 暖炉の上の時計
  140 エッチングによる慰め
  141 眠っている母
  142 自画像
  143 病める母
  144 ドン・キホーテ 

作品目録
ジェームズ・アンソール年譜 (匠秀夫 編)
資料
 アンソール作・作曲 人形芝居(バレ・パントミーム)――愛の調べ (足立朗 訳)
 『著作集』より (西澤信彌 訳編)
 オクターヴ・マウスへの手紙 (西澤信彌 訳編)
 アンドレ・ド・リデルへの手紙 (大澤寛三 訳編)
参考文献

エッセー
 仮面と髑髏との間には何があるのか? (渡邊一夫)
 アンソールの国ベルギー (堀米庸三)
 アンソールの仮面 (柳宗玄)
 世紀末芸術とアンソール (高階秀爾)
 仮面は仮面ならず (澤野久雄)

アンソール展組織委員会名簿

 

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◆本書より◆


「ジェームズ・アンソール」(フランク・パトリック・エドボー)より:

「事実ジェームズ・アンソールは、どの流派にも属したことがなかった。ひたすら自己の内的自我、内的生命と夢想の声に従ったのである。」

「彼の生涯は幻滅に満たされていたのである。たんに頑強に手厳しく認めるのを拒まれたばかりではなく、その孤立的態度と芸術上の誠実さをすら非難され続けた。仲間の画家たちに排斥されたのみならず、のちには狭量な小市民(プチブル)たちに半気ちがい扱いされたために、アンソールはつねに血の出る思いをしたのであった。」

「当初からアンソールは、同時代の画家たちが疑わしい眼でそう見なしたように、場違いの闖入者であったように思われる。」

「アンソールはその芸術的感受性を父から受けついだと認めてもよいであろう。だが幼年時代以後、個性を自分のものにできるような衝動をもったこの息子を受け入れたのは、父親であった。父は息子自身の欲求、渇望、能力と特徴の観点に立って、わが子を理解し、このため息子は個性的な自己のイメージを次第に築きえたのである。人間は自分が何ものかで、何かをなしうると感ずることから、自己の正体を把握することが出来るようになるものである。」
「外国人であったため父は相応な職業をみつけえず、財政的には妻に頼るというきわめて痛ましい境遇にあった。この偽りなき人物はついにはアルコール中毒に陥り、1887年に世を去った。息子はのちに、「彼は本当にすぐれた人間であった」と証言し、またヴェルレーヌを語ったクローデルの文章を引いている――「彼はわれわれの誰かの同類になるよりも、酔っぱらいになる方を好んだのだ」と。」



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ジェームズ・アンソール「著作集」序文(1921年)より:

「偏狭な心の持主(中略)ある種の品定め検閲官たち(中略)これらあわれな生きものは、讃えるべき幻想、薔薇色の天上の花、創造的画家を鼓舞するものが芸術のプログラムから厳しく追放されることを要求するのだ……
 然り、わたし以前に画家は自己の幻想に留意しなかったのだ。」



ジェームズ・アンソール「パリのジュー・デュ・ポーム美術館におけるアンソール展のスピーチ」(1932年)より:

「すべからくわたしの絵は、どことも知らぬところ――おそらくは海から生れてきたのであります。
 ずっと以前にわたしは、こう述べもし、書きもしたのであります――
 「追跡者たちに追いまわされ、わたしは狂暴な、光り、輝く顔をした仮面たちの君臨する孤独な国へ、喜々として閉じこもった」と。 そして仮面は、わたしにこう叫ぶのであります――
 鮮やかな色彩、鋭い表現、豪奢な装飾、思いがけない大きな動作、無原則の動き、高雅な擾乱を、と。」



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アンソール作曲「愛の調べ」楽譜。


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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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