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辻惟雄 『若冲』 (講談社学術文庫)

辻惟雄 
『若冲』
 
講談社学術文庫 2323 

講談社
2015年10月9日 第1刷発行
2016年4月28日 第5刷発行
349p
文庫判 並装 カバー
定価1,500円(税別)
カバーデザイン: 蟹江征治



本書「学術文庫版あとがき」より:

「この本は、昭和四十九年(一九七四)、美術出版社から発売された『若冲』(中略)の文庫版である。」


本書はまだよんでいなかったのでヤフオクに出品されていたのを落札しておいたのが届いたのでよんでみました。710円(+送料164円)でした。
異端こそが正統であるという著者の考え方はよいです。あと博物学との関連はたいへん興味深いです。


辻惟雄 若冲 01


カバー裏文:

「神に通じるとまで讃えられた、若冲の代名詞ともなっている鮮麗な着色密画。対照的に、一見無雑作なタッチの間に微妙な諧調をもった、闊達澄明な「行草体」の水墨画。見る者の官能を呪縛的なまでにひきつけてやまない若冲の魅力を世に知らしめた第一人者の解説で、豪華図録として刊行された名著を文庫化。動植綵絵全三〇幅など図版一五〇点以上収録。」


目次:

【巻頭三ツ折口絵】
 《動植綵絵》より
 《象と鯨図屏風》
 《釈迦・普賢・文殊像》
【巻頭口絵】
 《動植綵絵》全三〇幅

一 伝記と画歴
 第一期 画風形成時代
 第二期 画風昂揚時代
 第三期 画風円熟時代
 第四期 画風晩成時代
二 若冲画小論
 若冲と明清画
 若冲と写生
 若冲と「奇」
三 印譜解説
四 若冲派について

図版解説

文献
若冲年譜
あとがき
学術文庫版あとがき
図版目次



辻惟雄 若冲 02



◆本書より◆


「一 伝記と画歴」より:

「ともかく、若冲は、二十三歳から四十歳までの間、四代目桝源主人の座に形の上だけでもつきながら、当然持つべき配偶者を拒み、持前の独居癖、隠遁癖に周囲を悩ませつづけたと思われる。そうしたかれの性癖と密接な関連を持つものとして、この間、次第に鮮明に浮び出て来たのが、一つは仏教、とくに禅への傾倒であり、他の一つは絵画への熱中であった。」

「人間嫌いの孤独な性格を、若冲の作風に指摘する向きがある。だが、かれが主観的にそれほど孤独であったとは私には思えない。かれには信心のほか、絵という、他のすべてを忘れて沈潜できる世界があった。その世界は、われわれの日常的視覚からは隔絶して、ひどく異様に映る場合があるかも知れないが、若冲にとっては、たしかな手ざわりを持つ充実した現実そのものであったのだ。」



「二 若冲画小論」より:

「私は以前、若冲の作品の中にも一種の衒気を感じたことがあった。しかしながら今この図録編集の仕事を通じて、そのような認識は誤りであることに気づいた。大典の証言のとおり、若冲は文字通り真摯な画家である。自己顕示欲の充足のために画を描いたのではなく、描くことに生涯憑かれた人というのが実相である。
 前出の『藤景和画記』は、若冲自身が語ったとして、「今ノ所謂画ハ、皆画ヲ画ク者……」につづき、「且ツ技ヲ以テ售(う)レン事ヲ求メ、未ダ能ク技ヨリ進ム者有ラズ、是レ吾ガ人ヨリ畸(こと)ナル所ノミ」という、興味深い言葉を伝えている――今時の画は、どれも画から画をこしらえるもので、物を直接描こうとしたものにまだ会ったことがない。まただれもが自分の画技を世に売り込むことばかり考え、技巧より先の段階にまで進む者はいない。自分が人にくらべ変っているのは、ただこうした点においてである――。自分を奇人扱いする世間への抗議ともとれるこの述懐の裏には、自分は決して「奇」でも「異端」でもない、正統であり、画の本道を進んでいるのだというかれの揺ぎない自信が感じられるのだが、私は今、この言葉を額面通り受け取りたい。かれの作品の、あのふしぎな落着きと説得力は、そうした自信の裏打ちによってはじめて得られたものと思われるからである。これこそまさに「奇人」の言かもしれず、この態度にくらべれば、蕭白にはいくぶん世間の評判を気にしすぎたところがあったようである。」





こちらもご参照ください:

辻惟雄 『奇想の系譜』 (ちくま学芸文庫)
Robert McCracken Peck 『The Natural History of Edward Lear (1812-1888)』













































































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Away with the Fairies

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分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

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