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セルジュ・ユタン 『錬金術』 有田忠郎 訳 (文庫クセジュ)

セルジュ・ユタン 
『錬金術』 
有田忠郎 訳
 
文庫クセジュ 525 

白水社
1972年12月5日 第1刷発行
1983年1月20日 第12刷発行
158p 主要文献v
新書判 並装 カバー
定価650円
装幀: 真鍋博



Serge Hutin: L'Alchimie. (Collection QUE SAIS-JE? No 506)
本文中「図」8点。


ユタン 錬金術 01


目次:

序言
第一章 錬金術とは何か
 1 語源
 2 ヘルメス哲学
 3 錬金術の理論
 4 実際的錬金術、その目的
 5 神秘的錬金術
 6 《アルス・マグナ(大いなる秘法)》
第二章 錬金術師とその象徴体系
 一 錬金術師
  1 中世社会における錬金術師
  2 正統教会と錬金術
  3 錬金術師の専門的養成
  4 大いなる秘儀に達した人々
 二 錬金術文学
  1 秘教
  2 文字で書かれた作品
  3 寓意的象徴図
  4 タロット
  5 錬金術的彫刻
 三 錬金術の象徴体系
  1 記号(シーニュ)
  2 象徴
  3 寓意と神話
  4 暗号
  5 錬金術と宗教
第三章 錬金術の起源
 一 伝説的源泉
  1 呪われた術
  2 ヘルメス・トリスメギストス
 二 心理的源泉
 三 歴史的起源
  1 東洋の錬金術とギリシアの錬金術
  2 エジプト
  3 カルデアとイラン
  4 ヘブライおよびギリシア起源
  5 異教およびキリスト教系のグノーシス諸派
第四章 錬金術発展の諸段階
 一 アレクサンドリアとビザンチウム
  1 ギリシアの錬金術文献
  2 アレクサンドリアの錬金術師
  3 ギリシアの錬金術の収支決算
  4 ビザンチン
 二 アラビア人
  1 アラビアの錬金術
  2 回教徒の錬金術師たち
 三 ヨーロッパの錬金術
  1 アラビア人から西欧への推移
  2 中世のヘルメス思想、『エメラルド板』
  3 十三世紀の錬金術師
  4 十四世紀
  5 ニコラ・フラメルと「王者の術」
  6 十五世紀
  7 バシリウス・ヴァレンティヌス
  8 ルネサンス
  9 パラケルスス
  10 十七世紀前期、薔薇十字団
 四 ヘルメス哲学
  一 概論
   1 その形成と一般的性格
   2 宇宙
   3 神と世界
   4 宇宙の全一性(ユニテ)
   5 「宇宙(コスモス)」の生命
   6 太陽の神学
   7 性的二元論
   8 三つの世界
   9 大宇宙(マクロコスモス)と小宇宙(ミクロコスモス)
   10 堕落と救済
   11 「自然」と「術(アルス)」の平行説
  二 ヘルメス学の宇宙発生論
   1 ヘルメス学の宇宙発生論の特徴
   2 パラケルススの詩想
第六章 錬金術の理論
 1 物質の原一性(ユニテ)
 2 三原質、硫黄・水銀・塩
 3 四元素(四大)
 4 七つの金属
 5 錬金術と化学
第七章 実際的錬金術
 一 「大いなる作業」
  1 予備作業
  2 「大いなる作業」の材料の準備過程
  3 「哲学の卵」の中での材料の加熱
  4 「石」の仕上げ過程
  5 「賢者の石」とその諸性質
 二 ホムンクルス(人造小人)
第八章 神秘的錬金術
 1 錬金術は隠れた意味を持っていたか
 2 禁欲と天啓
 3 錬金術とフリーメーソン
第九章 《アルス・マグナ》
 1 超人
 2 「宇宙(コスモス)」の再生
 3 錬金術の誤った諸形態
 4 錬金術とタントラ教
第十章 錬金術の影響
 1 芸術と文学に対する影響
 2 技術と科学に対する影響
 3 哲学と宗教思想に対する影響
結論
補遺
 一 「大いなる作業」に関する補足
  (a) フィラレテスの《過程》
  (b) 乾いた道
 二 錬金術と占星術
 三 薔薇十字団と薔薇十字会派
 四 化学の歴史に関する覚え書
 五 《達人》なる語のいろいろな意味

訳者あとがき
主要文献



ユタン 錬金術 02



◆本書より◆


「第一章」より:

「その土台となるのは、寓意文学や啓示によって伝えられた古い秘密である。したがって錬金術師は何か新しいものを発見する必要はなく、秘密を再発見(引用者注: 「再発見」に傍点)すればよい。だからこそ錬金術は、幾世紀もの長期にわたってかくも変化せずにすんだのである。(中略)――錬金術は隠秘の術だと私は言ったが、それは同時に呪われた(引用者注: 「呪われた」に傍点)術でもあり、神学者(それ以前には遅ればせのローマ法)によって罪ありとされ、知識の公認の枠外で、ときには公認の枠に敵対して発展したのである。」

「錬金術の最も壮大な概念は「アルス・マグナ」 Ars Magna (大いなる秘法)であった。これはときとして「王者の術」とも呼ばれ、ヨーロッパではとりわけ十五世紀およびそれ以後の著作家たちの中で展開されている。現代におけるその解説者の一人A・サヴォレは「アルス・マグナ」について次のような定義を下している。《真の錬金術、秘伝的錬金術は、人間と自然のうちにある生命の諸法則を認識することであり、また、アダムの失墜によって現世で劣化し、その純潔と輝きと充実と原初の特性とを失った生命がふたたびそれらを取りもどす、その一連の過程を再現することである。要するにそれは、人間の精神に関してはいわゆる贖罪ないし新生、肉体に関してはその再組織、自然に関しては純化と完成、そして最後に、固有な意味での鉱物界に関しては精髄化 quintessenciation (中略)と変成なのである)》。かくて錬金術の狙いは、自然万物の失墜(引用者注: 「失墜」に傍点)・堕落の確認に根拠を置いていた。至高の「変成術」(「神秘の作業」、「絶対への道」、「不死鳥の作業」)とは、人間をその原初の尊厳にかえすことであった。(中略)賢者の石を見いだすことは、すなわち「絶対」を、神羅万象の真の存在理由を発見し、「完全なる知」(グノーシス(引用者注: 「グノーシス」に傍点))を所有することであった。」



「第二章」より:

「錬金術師は、観念をさらにうまく隠すため、字謎(アナグラム)、なぞ、折句(アクロスチッシュ)を用いる。たとえば賢者の石は「アゾート」 Azoth という語で示されるが、これは、どのアルファベットでも等しく最初にくる文字(A)に、ラテン語・ギリシア語・ヘブライ語のそれぞれ最後の文字を加えて作られたものである――その意味するところは、賢者の石があらゆる物体のはじめであり終わりである、ということである。」


「第四章」より:

「十二世紀以来、西欧ではヘルメスの手になるとされる一連の著作があらわれたが、そのうち最もひろく知られているのが、かの有名な『エメラルド板』 la Table d'Emeraude (ラテン語では Tabula smaragdina)で、中世このかた、あらゆる錬金術師がこえに注釈を加えて倦まなかった。本文はごく短く、次はその訳である。
 《こは真実にして偽りなく、確実にしてきわめて真正なり。唯一なるものの奇蹟の成就にあたりては、下なるものは上なるもののごとく、上なるものは下なるもののごとし。》
 《万物が「一者」より来たり存するがごとく、万物はこの唯一なるものより適応によりて生ぜしなり。》
 《「太陽」はその父にして「月」はその母、風はそを己が胎内に宿し、「大地」はその乳母。万象の「テレーム」(テレスマ(引用者注: 「テレスマ」に傍点) Telesma 《意志》)はそこにあり。》
 《その力は「大地」の上に限りなし。》
 《汝は「大地」と「火」を、精妙なるものと粗大なるものを、ゆっくりと巧みに分離すべし。》
 《そは「大地」より「天」へのぼり、たちまちまたくだり、まされるものと劣れるものの力を取り集む。かくて汝は全世界の栄光を我がものとし、ゆえに暗きものはすべて汝より離れ去らん。》
 《そは万物のうち最強のもの。何となれば、そはあらゆる精妙なるものに打ち勝ち、あらゆる固体に滲透せん。》
 《かくて世界は創造されたるなり。》
 《かくのごときが、ここに指摘されし驚くべき適応の源なり。》
 《かくてわれは、「世界智」の三部分を有するがゆえに、ヘルメス・トリスメギストスと呼ばれたり。「太陽」の働きにつきてわが述べしことに、欠けたるところなし。》」



「第五章」より:

「かくて、存在するものは唯一つの「存在者」であり、それが限りなく多様な形を取ってわれわれの前にあらわれるわけである。そして賢者の石が、この宇宙の全一性の象徴そのものとなる。《「哲学者たちの石」は、また植物の石、動物の石、鉱物の石とも呼ばれる。なぜなら、実体としても存在としても、植物・動物・鉱物が誕生したのは「哲学者たちの石」そのものからだからである》。物質の原一性(ユニテ)の理論は、あらゆるヘルメス学の著述家のいわばライトモチーフ(引用者注: 「ライトモチーフ」に傍点)なのである。《「一」は「全」なり、「一」によりて「全」、「一」のために「全」、「一」において「全」》とゾシモスは書いている。」

































































































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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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