FC2ブログ

『タキトゥス ゲルマーニア』 泉井久之助 訳註 (岩波文庫)

『タキトゥス 
ゲルマーニア』 
泉井久之助 訳註
 
岩波文庫 青/33-408-1 

岩波書店
1979年4月16日 改訳第1刷発行
1993年7月5日 第19刷発行
259p 索引12p
文庫判 並装 カバー
定価520円(本体505円)



CORNELII TACITI: DE GERMANIA LIBER
地図1点。


タキトゥス ゲルマーニア


カバー文:

「民族大移動以前の古代ゲルマン民族について誌された最古の記録。古代ローマの歴史家タキトゥス(55頃-120?)は、開化爛熟のはてに頽廃しつつある帝政ローマ対照させながら、いま勃興し、帝国の北辺をおびやかす若い民族の質朴勇健な姿を描きだす。簡潔な筆致のなかに警世の気概があふれる。積年の研究成果を盛った訳書。」


目次:

訳者序
紀元一世紀ゲルマーニア民族地図

第一部 ゲルマーニアの土地・習俗
 一 ゲルマーニアの境域
 二 ゲルマーニアの太古
 三 ゲルマーニアにおけるヘルクレースとウリクセース
 四 ゲルマーニーの体質
 五 ゲルマーニアの地貌・経済
 六 ゲルマーニアの武備・兵制
 七 統帥と戦争
 八 婦人の地位
 九 ゲルマーニアの神々
 一〇 神意の推知
 一一 会議(民会)
 一二 司法
 一三 武装と扈従
 一四 戦時と扈従
 一五 平時の生活
 一六 住地と住居
 一七 服装
 一八 婚嫁
 一九 婦人の生活
 二〇 哺育・眷族・相続
 二一 反目と友交
 二二 日常生活・宴席と談合
 二三 飲料・食料
 二四 社交・遊楽
 二五 奴隷
 二六 金融・農耕
 二七 送葬
第二部 ゲルマーニアの諸族
 二八 ゲルマーニアにおける異部族とレーヌス左岸のゲルマーニー
 二九 ローマに服属するゲルマーニー、十分の一税の土地
 三〇 カッティー
 三一 カッティーの気質
 三二 ウースィピー、テンクテリー
 三三 ブルクテリー、カマーウィー、アングリワリイー
 三四 ドゥルグブニイー、カスアーリイー、フリースィイー
 三五 カウキー
 三六 ケルスキー
 三七 キンブリー
 三八 スエービー
 三九 セムノーネース
 四〇 ランゴバルディーおよびネルトゥス諸族
 四一 ヘルムンドゥーリー
 四二 ナリスティー、マルコマンニー、クァディー
 四三 東方スエービー諸族
 四四 北東スエービー諸族――スイーオネース
 四五 北の海(東海)、アエスティイー、琥珀、スィトネース
 四六 その他東方の諸族

タキトゥスと『ゲルマーニア』 (泉井久之助)
索引




◆本書より◆


「四五 北の海(東海)、アエスティイー、琥珀、スィトネース」より:

「スイーオナエ(スイーオネース)の向う(東と北)に、〔氷のために〕淀んで、ほとんど動かない(または船を動かしがたい)他の海がある。全世界の周囲は、その海の包むところと信じられるのは、すでに没しつつある太陽の最後の光輝が、星の光を鈍らすばかり煌々(こうこう)と、日の出ののちまで打ちつづくがためである。のみならず、水中から登る太陽の〔高熱のために水の沸き返る〕音が聞こえ、〔その神車を索く〕馬たちの姿や〔太陽神の〕頭光がみとめられることも、まことらしく、つけ加えられている。たとえ話はそこまでとしても、噂は真実であって、万界(natura)は要するにここが終端である。
 さて、スエービア海の右岸(東岸)には波に洗われつつ、アエスティイーの諸族がいる。スエービーの祭祀、服装を有し、ことばはブリタンニア(ブリテン)のそれに近い。彼らは神々の母〔なる女〕神を尊信し、信仰の徴(しるし)として野猪の形を身に着ける。この徴(しるし)が武器、およびその他のあらゆる防護の手段に代って、その身、たとえ敵中にありといえども、なお女神の帰依者をして安全たらしめる。刀剣の使用は稀に、多きは棍棒の揮用(きよう)である。彼らは穀物その他の作物を、ゲルマーニア族一般の習いたる怠惰の割には、念を入れて耕作するのみならず、しかもすべての者のうち唯ひとり、海を探り、浅瀬の間、または単に海岸においてさえ、彼ら自身がグレースム(グラエスム)と称する琥珀を採集する。いかなる自然、いかなる理由がこれを生んだかは、さすがに野蛮な彼らの、考究し理解するところではないのみか、われわれ(ローマ)の奢侈が、その名をして著われしめるに至るまで、永いあいだ、海から打ち上げられ〔て顧みられない〕異物にまじって無用に横たわるままであった。彼ら自身には少しも用がなく、ただ生(き)のままを取り集めて不恰好なまま売り渡し、怪しみつつ値(あたい)を受け取るばかり。しかしそれが樹液にすぎないことを諸君はよく知ってもらいたい。地上を匍うある種の動物のみならず、翅のある虫さえ、透きとおって見えることがよくあるからであって、これらは液のなかに巻き込まれたのが、やがてその物質の凝固とともに包み込まれたのである。ゆえにわたくしは、乳香や香膏の滴り落ちる東方幽奥の地におけるがごとく、西方(北ヨーロッパ)島々、土地土地にも、意外に豊饒な森や林がやはり存在するのを信じたく思う。そこでは近づく夏の太陽の光によって惹(ひ)き出された液体(樹液)が、傍(かたわら)の海に沈み、風波の力によって反対の岸に打ち寄せられるのである。もし火を近づけて琥珀の性質を検するならば、松明(たいまつ)のごとく火を引き、色の濃い、匂いのきつい焰をあげ、やがて瀝青や樹脂のごとくに粘る。
 スイーオネースにスィトネースの諸族がつづく。他の点では相似ているが、ただ一つ、女の支配(女の王)を受けている点において前者に異なる。」



































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ねたきり読書日記。

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。


うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本