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河田清史 『ラーマーヤナ ― インド古典物語』 (レグルス文庫) 全二冊

河田清史
『ラーマーヤナ
― インド古典物語 
(上)』
 
レグルス文庫 1

第三文明社 
1971年6月5日 初版第1刷発行
2009年2月10日 初版第17刷発行
204p
新書判 並装 カバー
定価800円+税
カバーデザイン: クリエイティブメッセンジャー
カバー絵・挿絵: 駒井哲郎



河田清史
『ラーマーヤナ
― インド古典物語 
(下)』
 
レグルス文庫 2

第三文明社 
1971年7月10日 初版第1刷発行
2008年6月10日 初版第16刷発行
186p
新書判 並装 カバー
定価800円+税
カバーデザイン: クリエイティブメッセンジャー
カバー絵・挿絵: 駒井哲郎



上巻「この大切な物語りについて」より:

「何千年(なんぜんねん)のむかしからある古典物語(こてんものがた)りというものは、その民族(みんぞく)の心(こころ)を語(かた)っているものです。まして「ラーマーヤナ」という歌物語(うたものがた)りは、大(おお)むかしから現代(げんだい)にいたるまで、なお生(い)きているだけに、この物語(ものがた)りを知(し)ることは、インドや東南(とうなん)アジアの何億(なんおく)という人(ひと)びとの心(こころ)を、なつかしく知(し)ることであります。」
「このように、アジアの何億(なんおく)という人(ひと)びとの胸(むね)に、いまもなおはつらつ(引用者注: 「はつらつ」に傍点)と生(い)きているぼうだい(引用者注: 「ぼうだい」に傍点)な「ラーマーヤナ」の歌物語(うたものがた)りを、少年少女(しょうねんしょうじょ)にしたしみやすく読(よ)みやすいように、詩(し)を散文(さんぶん)にして、童話風(どうわふう)な物語(ものがた)りとしたのが、この本(ほん)です。
 この本(ほん)が、はじめて刊行(かんこう)されたのは、戦時中(せんじちゅう)でした。そして二十二年前(にじゅうにねんまえ)にも再版(さいはん)されました。こんどが三度目(さんどめ)であります。この長(なが)いあいだ、駒井哲郎画伯(こまいてつろうがはく)は挿絵(さしえ)の版木(はんぎ)をだいじにしまっておいてくれました。幸(さいわ)いなことです。」



駒井哲郎による版画35点。


河田清史 ラーマーヤナ 01


上巻 カバー裏文:

「アジアの人の心のふるさと、英雄ラーマの歌物語。悪魔を倒すため、神がみが人間と猿の姿に降誕する

 「ラーマーヤナ」は「マハーバーラタ」と並ぶ、インド二大古典叙事詩で、インド伝説の英雄ラーマを主人公とする歌物語りである。
 何千年来の古典物語というものは、その民族の心を如実に語っているが、「ラーマーヤナ」もその例外ではない。インドの人びとにとって、最も古く、いちばん大切な物語りとされている「ラーマーヤナ」は、アジアの何億という人びとの心のふるさとでもある。
 今日もなお生きつづけている、この美しい歌物語りを、少年少女にも親しみ易く読み易いように、詩を散文にして、童話風な物語りとしたのが本書である。」



下巻 カバー裏文:

「インド伝説の英雄ラーマの歌物語。シータ妃を救いに、猿の大軍が悪魔の都に向かう。

 (「ラーマーヤナ」は)インドの誇る最高の「世界文学」の一つであり、インドの古代文化の波が、四方に影響をあたえたころ、その波にのって「ラーマーヤナ」も、まず東南アジア全域にひろがりました。そしていまでは、それらの国ぐにの芸術・文化の遺産とさえなっています。
 また、インドの文化、ことに仏教がチベット、中国、朝鮮、日本へと渡来したように、中国につたわったにちがいありません。この物語りで活躍したハニュマーンは、おそらく中国の「西遊記」で活躍する、あの孫悟空の先祖といってもよいのではないでしょうか。
 ――「あとがき」より」



上巻 もくじ:

この大切な物語りについて

一の巻
 盗賊 詩人となる
 ラーマの結婚

二の巻
 ラーマの追放
 ダサラタ王のなげき
 ダサラタ王の死
 バーラタの決心
 シータの誕生
 バーラタの捜索隊

三の巻
 ダンダカーの森
 ランカの魔王ラーバナ
 ラーバナの立腹
 金いろの鹿
 シータを探しもとめて

四の巻
 キシキンダーの猿
 猿の王スグリーバ
 猿の捜索隊
 ハニュマーン ランカへとぶ



下巻 もくじ:

五の巻
 ランカ
 シータの発見
 シータの話
 ハニュマーンの活躍
 雨季の黙想
 捜索隊の帰還

六の巻
 猿の大軍
 ランカの包囲
 強敵インドラジット
 クンバーカルナの死
 インドラジットの計略
 インドラジットの死
 インドラジットの葬送
 ラーバナの最期
 ラーバナの葬送
 シータの身のあかし
 凱旋

あとがき




◆本書より◆


「盗賊、詩人となる」より:

「こうしているあいだに、いっぽうではコラサ国(こく)(北インド)の都(みやこ)アヨージャのダサラタ王(おう)の宮殿(きゅうでん)で、三人(さんにん)のお妃(きさき)が四人(よにん)の王子(おうじ)を生(う)みました。一番上(いちばんうえ)の王子(おうじ)をラーマといい、これこそビシヌの神(かみ)の生(う)まれかわりだったのです。」

「神(かみ)さまでいたころは心安(こころやす)らかでいたものの、もう人間(にんげん)となってみれば、悲(かな)しいことに心(こころ)はいらだつばかりです。五歳(ごさい)になったラーマは、ある夕暮(ゆうぐ)れのこと、カウサルヤー妃(ひ)のひざにだかれていました。宮殿(きゅうでん)の屋上(おくじょう)で、いつか日(ひ)の暮(く)れるのを、ひっそりと眺(なが)めていたのです。
 まもなく星(ほし)がきらきらとかがやきはじめ、月(つき)もぐいぐいとのぼってきました。ラーマはこどもだったので、だいだい(引用者注: 「だいだい」に傍点)いろのまりのような月(つき)をほしがりました。」
「「お月(つき)さまを取(と)ってよう――」
 ラーマは小(ちい)さい足(あし)をばたばたさせて、カウサルヤー妃(ひ)のひざで泣(な)きわめきました。国王(こくおう)もこまってしまい、宮殿(きゅうでん)の天文学者(てんもんがくしゃ)をよびにやりました。
 「どうか、王子(おうじ)に空(そら)の月(つき)を取(と)ってやってください」
 国王(こくおう)はそうおたのみになりました。すると、王宮(おうきゅう)の天文学者(てんもんがくしゃ)で、顧問(こもん)で、教授(きょうじゅ)でもあり、えらい学者(がくしゃ)であったバシシタは、白(しろ)いひげをしごきながら、着物(きもの)の下(した)からこっそりと鏡(かがみ)をとりだしました。
 鏡(かがみ)をしずかにラーマの手(て)にもたせ、その使(つか)い方(かた)をゆっくりおしえて、どうやらまりのような月(つき)を鏡(かがみ)に反射(はんしゃ)させてうつしてやりました。鏡(かがみ)のなかの月(つき)をみると、ラーマはきいきいいってよろこびました。」



「ラーマの結婚」より:

「シータがラーマをちらりとみた瞬間(しゅんかん)、ラーマは思(おも)わずはっとして立(た)ちどまりました。
 まえにどこか――天国(てんごく)の都(みやこ)ででもみかけたことがあったのでしょうか。いいえ、そうではありません。ラーマは自分(じぶん)の半身(はんしん)がラーマとなって生(う)まれかわり、もうひとつの半身(はんしん)がミシラー国王(こくおう)の王女(おうじょ)シータとなって生(う)まれかわっていたことを、すこしもしらなかったのです。シータはもともとラーマと一体(いったい)の神(かみ)だったのです。」

「あたりにはエメラルドいろのともしびがぼんやりともっていました。」

「この明(あ)けがたに笛(ふえ)をならす古(ふる)い習慣(しゅうかん)は、いまでもインドの古(ふる)い町(まち)まちにのこっています。
 町(まち)の人(ひと)たちはあらあらしい、いやな物音(ものおと)やさけびごえで目(め)がさめるのではなく、うつくしい音色(ねいろ)でおきるのです。するどい、がさがさした物音(ものおと)で目(め)がさめたりしたら、人(ひと)の心(こころ)はびっくりして、精神(せいしん)は狂(くる)ってしまいます。」



「猿の大軍」より:

「猿(さる)たちはそっとそれぞれのテントにひきさがって、ねてしまいましたが、ただふたりの人間(にんげん)がそこにのこりました。いうまでもなく、ラーマはラクシマナにあいずして、黙想(もくそう)にはいったのです。
 ふたりの王子(おうじ)は足(あし)をくみ、静座(せいざ)してお祈(いの)りしながら黙想(もくそう)をつづけました。星(ほし)は大空(おおぞら)をわたり、まもなく消(き)えていきました。ジャングルの猛獣(もうじゅう)は猿(さる)が寝(ね)ているあいだ、さかんにうなってさわいでいました。ふたりは天(てん)に助(たす)けをもとめ、すべての四足動物(よつあしどうぶつ)に助力(じょりょく)をこい、また鳥(とり)にも力(ちから)をかしてくれるように、と祈(いの)りました。それからまた、太陽(たいよう)や月(つき)や四季(しき)の季節(きせつ)にまでも助(たす)けをもとめました。
 ねむっていた鳥(とり)や動物(どうぶつ)は、つぎつぎと、これにこたえていいました。
 「承知しました。お助(たす)けしますとも」
 天体(てんたい)もまたこれに応(おう)じました。
 「ラーマ、おっしゃるとおり、お助(たす)けにいきますよ」
 世界中(せかいじゅう)が寝(ね)ているあいだに、目(め)ざめている魂(たましい)はみんなそろって、ラーマの部下(ぶか)になりましょう、とちかいをたてました。
 ――お祈(いの)りをし、黙想(もくそう)をつづけると、このような力(ちから)もわくものなのです! ラーマが、ただ自分(じぶん)の妻(つま)のシータを救(すく)うためにたたかうのではなく、生(い)きとし生(い)けるもののためにたたかおうとしていたので、全宇宙(ぜんうちゅう)がよろこんでラーマの大義名分(たいぎめいぶん)に加勢(かせい)したのです。」



「強敵インドラジット」より:

「しずかな深(ふか)い海(うみ)には、水(みず)にすむ怪物(かいぶつ)やいるか(引用者注: 「いるか」に傍点)やさめ(引用者注: 「さめ」に傍点)や、青(あお)びかりする蛇(へび)などが、こどものように遊(あそ)びくるっています。」


河田清史 ラーマーヤナ 02


河田清史 ラーマーヤナ 03


河田清史 ラーマーヤナ 04


河田清史 ラーマーヤナ 05


河田清史 ラーマーヤナ 06





































































































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Author:ひとでなしの猫
ねたきり読書日記。

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分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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