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『鸚鵡七十話 ― インド風流譚』 田中於菟弥 訳 (東洋文庫)

『鸚鵡七十話
― インド風流譚』 
田中於菟弥 訳
 
東洋文庫 3 

平凡社 
昭和38年10月10日 初版発行
昭和38年10月31日 再版発行
368p はしがき4p 目次8p
18.4×11.6cm 
角背布装上製本 機械函
定価400円
装幀: 原弘



本書「はしがき」より:

「本書は古代インドのサンスクリット語説話集「シュカ・サプタティ」(Śukasaptati, Textus ornatior)の全訳である
 商用で旅に出る商人マダナセーナは、家に残す愛妻プラバーヴァティーのことを賢い鸚鵡に相談する。すると鸚鵡はさまざまの窮境に陥った話をし、その解決ができるなら出かけてもよいという。彼女がそれを考えているうちに夜が明けると、鸚鵡はその解決の方法を語り、かくして七十夜を過ごし無事に夫を迎える、というのが本書の全体の筋であるが、この鸚鵡の語る七十話(本書では原本に欠損があって六十七話)を集めたのがこの説話集である。」
「現在伝わっているサンスクリットの原典は二種にわけられ、私の選んだ広本(Textus ornatior)は、(中略)きわめて不完全な写本を基礎としたもので、したがって多くの欠損や不明の点を含んでいる。小本(Textus simplicior)と比較すると共通な話は五十二話で、順序もかなりちがっているが、全般的にみて個々の話は広本の方が文飾も多く、面白く書かれている。(中略)私があえて不完全な広本を選んだのは読物としての興味を考えたからである。」



本文中カット15点、図版(「「鸚鵡七十話」本文第1ページ」)1点。


鸚鵡七十話 01


本書巻末「東洋文庫 刊行書目」より:

「商人に飼われた一羽のおうむが、主人の留守中に浮気をしようとする妻に向かって、機智にとんだいましめの話を七十夜つづけ、主人の留守を守る物語。中世紀インドの生活をつたえ、アラビアン・ナイト、デカメロンの原型を示す好著。」


目次:

はしがき

序話
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話
第七話
第八話
第九話
第十話
第十一話
第十二話
第十三話
第十四話
第十五話
第十六話
第十七話
第十八話
第十九話
第二十話
第二十一話
第二十二話
第二十三話
第二十四話
第二十五話
第二十六話
第二十七話
第二十八話
第二十九話
第三十話
第三十一話
第三十二話
第三十三話
第三十四話
第三十五話
第三十六話
第三十七話
第三十八話
第三十九話
第四十話
第四十一話
第四十二話
第四十三話
第四十四話
第四十五話
第四十六話
第四十七話
第四十八話
第四十九話
第五十話
第五十一話
第五十二話
第五十三話
第五十四話
第五十五話
第五十六話
第五十七話
第五十八話
第五十九話
第六十話
第六十一話
第六十二話
第六十三話
第六十四話
第六十五・六十六・六十七話 (本文欠)
第六十八話
第六十九話
第七十話
大団円

解説
付 「鸚鵡七十話」異本・類本対照表



鸚鵡七十話 02



◆本書より◆


「第六話」より:

「ジャヤンティーの町に、スマティという名前の商人が住んでおりまして、その妻をパドミニーと申しました。ところが彼はせっかく積んだ善行も運命に見棄てられて、財産もなくなってしまいましたので、草や木片(きぎれ)を集めては乏しい小銭を集めてやっとお腹(なか)をみたす資(もと)にしておりました。このようにして暮らしながら、或る日のこと彼は木片の荷を集めに森へまいりましたが、その日は森でちっとも木片を得ることができず、非常に落胆(がっかり)して木片も持たず家路につきました。するとその時、空をことごとく水の変化の多い大浪に漂わせる雨季の幻影〈のような雨雲〉の端を認めたので、彼は傍のガネーシャの寺院にはいって立っていました。彼はそうしてぼんやりとガネーシャの方を向いて、木でできたガネーシャの像を眺めておりましたが、ふとそれを見て彼は心に悦びました。『今日一日の家族を養う生計(くらし)は、このガネーシャの像の木片を集めればやっていけるわい。これは俺にも運が向いてきたぞ』と言って斧をとって仕度をしました。ところが彼が打ちかかろうと振り上げた時にガネーシャが商人に申されました。『こら、乱暴者の極道者め、なにをしようとするのか』そこで彼が申しました、『私は貴方様の像を壊し、荷を作って売ろうと思うのです。そのお金銭(かね)で今日一日の家族の生計を賄おうというのです』こう言われてガナパティはまた彼に向かって申されました。『お前の非常な苦労を認めて恩恵(めぐみ)を垂れてつかわそう。お前は毎朝早くここへきなさい。余の前に凝乳と擂砂糖のはいった五つの菓子パンが置いてあるから、それを持って行きなさい。それだけあればお前の家族を満足に支えられるどころではなく十分過ぎるであろう。だがしかし、もしもお前がそれを他人に話したら、その時は現われなくなるぞ』と、このようにパウラスティヤの言葉は条件をつけました。そこでスマティはそれをそのとおり確かに承知して自分の家に帰りました。」






































































































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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

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尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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