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飯吉光夫 編訳 『ヴァルザーの詩と小品』 (大人の本棚)

「「ああ、面倒くさい、このままにしておけ」。」
(ローベルト・ヴァルザー 「どうしてまた?」 より)


飯吉光夫 編訳 
『ヴァルザーの
詩と小品』
 
大人の本棚

みすず書房 
2003年10月14日 印刷
2003年10月24日 発行
254p 著者・編訳者略歴1p
四六判 別丁図版2葉
丸背紙装上製本(薄表紙) 
カバー
定価2,400円+税


本書「解説」より:

「本書はローベルト・ヴァルザー(一八七八―一九五六)の詩と小品を集めている。(中略)「詩」はヴァルザーが一九〇八年に発表した処女詩集『詩篇』をまるまる初訳したもの、「小品」は、ヴァルザーが生涯にわたって書いた彼のいわゆる散文小品 Prosastück からいくつかの一定系列に属するものを選び出して、訳出したものである。このうち、「喝采」までは一九八九年に筑摩叢書の一冊として出た『ヴァルザーの小さな世界』に収めたものの改訳、「夢(Ⅰ)」から後はヴァルザーの兄カールの挿絵がある小品の初訳である。」


「詩篇」に挿絵(デッサン)16点、小品に挿絵6点(カラー2点/モノクロ4点)、「解説」中に図版(モノクロ)1点(いずれもヴァルザーの兄カールによるものです)。
本書はもっていなかったのでアマゾンマケプレの天牛書店さんで「可(カバーヤケ)」が1,080円(+送料257円)で売られていたのを注文しておいたのが届いたのでよんでみました。背にうっすらヤケ・少褪色があるもののそれ以外は使用感もなくたいへんよい状態でした。


ヴァルザーの詩と小品 01


帯文:

「「言葉もなく、ぼくはみんなからはずれた所にいる。」ベンヤミンが、ブランショが、ソンタグが評価した伝説の作家ローベルト・ヴァルザー。生誕125年記念。」


カバー裏文:

「「ローベルト・ヴァルザーは散文によるパウル・クレーだ、クレー同様に繊細で神経質だ、彼はまた心やさしいベケットだ、さらにはカフカとクライストの間のミッシング・リンクだ。」(スーザン・ソンタグ)
 20世紀文学において特異な位置を占めるスイスの作家ヴァルザーは、ベンヤミンが、ブランショが高く評価しながらも、再発見はカフカよりずっと遅れた。カフカの「天井桟敷で」のもとになった散文小品「喝采」をはじめ、兄カールの挿絵全点を収めた『詩篇』の全訳、やはりカールのおそろしく現代的な絵に付された小品などの初訳を含む、ベスト版一巻選集。」



目次:


 事務所で
 ホームシック
 夕暮
 冬の陽ざし
 どうしてまた?
 暁の明星
 祈り
 木立ち(あるバラード)
 世間
 明るさ
 寝かしつける
 ざわめき
 今日、陽は射さないのか?
 いつものとおり
 深い冬
 雪
 不安
 牧歌的な時
 帰宅
 静けさ
 さらに前方に
 罪
 月あかりのもとで
 ちっちゃな風景
 胸の中ですすり泣きながら
 窓辺に
 みんなからはずれた所に
 寝る前に
 哲学的すぎる
 若者の愛
 幻滅
 重苦しい光
 気軽に言う
 おびえ
 きみらには見えるかい
 立ち去った、と
 時間
 疲労困憊
 錯覚
 日中の手風琴
 旅人
 落書き

小品
 神経の疲れ
 何ごとにも気づかぬ男
 ストーヴへの演説
 とんま
 道化者
 逸話
 二つの話
 ブレンターノ
 レーナウ
 ヘルダーリン
 ビューヒナーの逃走
 ケラーの短篇小説
 セザンヌ考
 ヴァン・ゴッホの絵
 パガニーニ
 音楽
 ソナタ
 夢(Ⅱ)
 一つの町
 夜の散策
 一つの世界
 夢想
 湖の話
 ティーアガルテン
 気球旅行
 恋人同士
 インディアンの女性
 列車の中のアヴァンチュール
 素描(スケッチ)
 類似(メタ)
 菫
 恋文
 友情あふるる手紙
 ある物語
 グレートヒェン
 キス
 夫と妻
 あまりぱっとしない話
 昼休み
 艀
 喝采
 夢(Ⅰ)
 笑い
 隠者の住処
 舞踏会場
 窓辺の女性
 婦人の肖像
 退位
 ベルリンと芸術家
 『タンナー兄弟』

解説
ローベルト・ヴァルザー略年譜



ヴァルザーの詩と小品 02



◆本書より◆


「寝かしつける」:

「ぼくはあともう少し起きているだけで、
ほかは何もしたくない。
ひとりまだ起きていて、身体をあれこれ動かしているのは
なかなかいいことだ。
そう、ぼくはもう半分横になって、
自分を寝かしつけようとしている、――眠りこむまで、
ほら、もう夢の中まで。」



「哲学的すぎる」より:

「どんな時もぼくは、
おそらく一度として適切にふるまったことがないのだ。
ぼくは忘れられた遠い場所を
歩むべく定められている。」



「ヘルダーリン」より:

「子供時代へ還ることに彼は病的に憧れ、転生を、死を願った。」


「隠者の住処」より:

「ここには隠者がひとり住んでいる。(中略)彼は言葉を用いることなく、他人とかかわりをもつことなく、ただその日その日を送っている。」


「婦人の肖像」より:

「この世の生きとし生けるものは幸福になるべきだ。誰ひとり不幸になってはならない。」


「『タンナー兄弟』」より:

「猫はぼくの脇の、文章をいっぱい書きこんだ紙の上にいつも坐りこんで、黄色の、何を考えているのかまるで分からない眼をぱちくりさせながら、ぼくを奇妙な、物問いたげな顔つきで見ていた。この猫の存在は、無口で不思議な妖精の存在に似ていた。この可愛らしい、物静かな猫からおそらくぼくは、数多くの恩恵を授けられた。」


ヴァルザーの詩と小品 03



◆本書について◆


本書所収の「小品」のうち、最初の41篇(本書全体のほぼ半分の頁数を占めています)は、既刊の筑摩叢書版『ヴァルザーの小さな世界』収録の訳に手を加えたもので、筑摩叢書版所収のヴァルザー作品は、やや長めの「トゥーンのクライスト」を除いて全て本書に再録されています(「スミレの花」は「菫」に、「恋文(ラブ・レター)」は「恋文」に改題)。とはいうものの、「トゥーンのクライスト」は重要作だし、叢書版には他に訳者によるやや長めの序文および解説と、ヴァルザーを主人公にしたユルク・アマンによる小説「ローベルト・ヴァルザーの狂気、あるいは不意の沈黙」が収録されているので(筑摩叢書版の頁数のほぼ半分を占めています)、むしろそちらの方がヴァルザー入門/ヴァルザー読本としては適しています。本書はヴァルザーの長編作品にも画家として登場する兄カールによる挿絵が掲載されている点に独自性があります。












































































































































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うまれたときからひとでなし
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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

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好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

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