FC2ブログ

ルドルフ・シュタイナー 『神秘学概論』 高橋巖 訳 (ちくま学芸文庫)

「睡眠中、アストラル体は、(中略)大宇宙の中に留まっている。」
(ルドルフ・シュタイナー 『神秘学概論』 より)


ルドルフ・シュタイナー 
『神秘学概論』 
高橋巖 訳
 
ちくま学芸文庫 シ-8-1 

筑摩書房
1998年1月9日 第1刷発行
2003年7月30日 第6刷発行
462p 付記1p
文庫判 並装 カバー
定価1,300円+税
装幀: 安野光雅
カバーデザイン: 安井みさき


「本書は「ちくま学芸文庫」のために新たに訳出されたものである。」



Die Geheimwissenschaft im Umriß


シュタイナー 神秘学概論


カバー裏文:

「本書は、シュタイナーの四大主著の一冊であり、その思想の根幹が綴られている。肉体、エーテル体、アストラル体、自我という人間存在のヒエラルキアを解明し、宇宙論、人間論の中で、めくるめくような宇宙史の壮大な展望の下にマクロコスモス(宇宙)とミクロコスモス(人間)との関わりをあとづけ、進化の法則と意識の発達史、古代秘儀の本質、輪廻転生論、悪魔論、霊的認識の方法などを記し、過去と現在と未来についての常識をくつがえした前代未聞の神秘学大系が展開される。」


目次:

初版のまえがき(一九〇九年)
四版のまえがき(一九一三年)
七版から十五版までの序言(一九二〇年)
十六版から二十版までの序言(一九二五年)

神秘学の性格
人間性の本質
眠りと死
宇宙の進化と人間
 土星紀
 太陽紀
 月紀
 地球紀
高次の諸世界の認識(秘儀参入またはイニシエーションについて)
宇宙の進化と人類の進化との現在と未来
霊学で用いられる諸概念
 人間のエーテル体
 アストラル界
 死後の人間の生活について
 人間の経歴
 霊界の高次の諸領域
 人間の存在部分
 夢の状態
 超感覚的認識を獲得するために
 霊界の事象や存在を個別的に観察する

著者註
訳者あとがき
解説 新しい宇宙の創造へ (笠井叡)




◆本書より◆


「人間性の本質」より:

「言語の中には、その本質上、他のすべての言葉から区別されうるような言葉が、ひとつだけ存在する。それは「私」(自我)という言葉である。他のどんな言葉も、対応する存在に対して、いつでも使うことができる。しかし「私」という言葉をある存在に対して使うことができるのは、この存在がこの言葉を自分に向けるときだけである。外から「私」という言葉が、ある人の耳に、その人の呼び名として聞こえてくることは、決してない。その人だけが、この言葉を自分に向けて使うことができる。「私は、私にとってのみ、一個の『私』である。すべての他者にとって、私は一個の『汝』である。そしてすべての他者は、私にとって一個の『汝』である」
 この言葉は、深い真実を表している。「私」なる本来の存在は、外なる一切から独立している。それゆえ(引用者注: 「それゆえ」に傍点)、この言葉は、外にあるどんなものからも、私に向けて用いられることはない。超感覚的直観との関連を、意識的な仕方で保持してきたユダヤ教の立場は、「私」という呼び名を、「神の言い表し難き名前」であると述べている。(中略)どんな外的な事柄も、今問題にしている魂のこの部分に通じる道をもたない。この部分は、魂の隠された聖域なのであり、ただ同じ種類の魂を持った存在だけが、そこへ参入することができる。「人間の内なる神は、魂がみずからを『私』と認識するとき、語りはじめる」」



「眠りと死」より:

「人間は常に目覚めているわけにはいかない。現実生活にとっても、超感覚的な事実の提供するものなしに済ませることはできない。人生は睡眠中も継続している。そして覚醒時の生活は、睡眠の中からその活力を汲み上げている。(中略)人間が可視的な世界の中で認識する事柄は、不可視的な世界について知ることのできる事柄によって、補充されなければならない(引用者注: 「なければならない」に傍点)。疲労を睡眠によって恢復しなければ、生活は破滅してしまう。同様に、隠された事柄の認識によって豊かにされていなければ、世界考察は荒廃したものにならざるをえない。」
 「超感覚的なものへの洞察なしには、可視的世界の真の認識も存在しえない。可視的なものを認識するには、繰り返して不可視的なものの中へ沈潜して、認識能力を進化させなければならない。超感覚的なものについての科学こそが、可視的世界についての知識を可能にする。」

「さて、肉体が物質世界に組み込まれているように、アストラル体はアストラル界に従属している。ただ覚醒時の生活におけるアストラル体は、アストラル界から引き離されている。その事情は、次のような類比によって暗示できる。
 水の入っている容器を考えてみよう。その水中の一滴は単独では存在していない。けれども海綿を手にして、その水の中から、一滴の水をそれに浸み込ませることはできる。人間のアストラル体も、目覚めるときに、同じような経過を示している。睡眠中のアストラル体は、自分と同質の世界の中にいる。目覚めるとき、肉体とエーテル体がアストラル体を吸い込み、みずからをアストラル体で充たす。それらはアストラル体のために、外界を知覚する諸器官を提供する。しかし、アストラル体は、外界を知覚するために、自分の世界から切り離されねばならない。ただ、自分の世界からは、エーテル体のために必要となる手本だけを受けとる。
 たとえば環境から養分が肉体に供給されるように、睡眠中のアストラル体に自分を取り巻く世界の形象(引用者注: 「形象」に傍点)が供給される。アストラル体はそのとき、宇宙の中で、肉体、エーテル体の外で、生きている。人間全体がそこから生まれてきた、あの宇宙の中で生きている。この宇宙の中には、人間形姿の源泉がある。人間はこの宇宙に調和的に組み込まれている。そして目覚めると、外界を知覚するために、この調和した状態から引き離される。眠ると、人間のアストラル体は、この宇宙調和の中へ戻る。そして目覚めると、しばらくこの調和の中に留まらないでいられるように、力を自分の体内へ流し込む。睡眠中、アストラル体は自分の故郷へ戻り、そして目が覚めると、新たに強化された力で生活をいとなむ。」
「アストラル体の故郷は、物質環境よりも、もっと広大である。なぜなら、物質存在としての人間は、地球の一部分であるにすぎないが、人間のアストラル体は、地球以外の諸天体も含めた宇宙に属しているのだから。睡眠中、アストラル体は、(中略)大宇宙の中に留まっている。」



「宇宙の進化と人間」より:

「土星紀からの発展過程の中で、すでに多くの霊的本性たちが、進化からとり残されてきた。太陽紀になってもまだ人類段階に達していない「人格霊」がいる一方で、その頃にやっと人類段階への進化に追いついた「人格霊」もいた。また、太陽紀に人間となるべきであった「火の霊」のうち、多くのものがあとにとり残された。以前、太陽進化の過程でとり残された特定の「人格霊」たちが、太陽体から抜け出て、特殊な宇宙体として、再び土星を生じさせたように、月の進化の過程でも、前述の本性たちは、特殊な宇宙体の上で独立するようになった。
 これまでは、太陽と月の分離について先ず語ったが、別の宇宙体も、上述した諸理由により、大休息期の後に現れた月体から切り離され、そのようにして、ひとつの星体系列が生じるようになる。そしてその諸星体のうち、新しい太陽がもっとも進化していたことは、容易に理解できるであろう。すでに述べたように、太陽紀における、とり残された土星領域と、新しい土星上の人格霊たちとの間には、結びつきが存在していたが、そのきずなは、宇宙体のそれぞれと、それに対応する月の居住者たちとの間にも形成される。」



「高次の諸世界の認識」より:

「思考と感情を結びつけるためには、「積極性」と名づけうるような、肯定的な態度を身につける必要がある。弟子たちと一緒に、死んだ犬のそばを通りかかったイエス・キリストの美しい物語りがある。他の人たちは、その醜い姿から眼をそむけただけだったが、イエス・キリストは、犬の美しい歯に感銘を受けて、賞讃の言葉を語った。
 この物語りが述べている魂の在りようで世界に向き合うとき、ひとつの修行の道がひらける。誤謬、悪、醜があるからといって、真、善、美をそこに見出そうとする態度をあきらめてはならない。この肯定的な態度を、無批判的な態度と混同してはならない。悪や偽や、人の不幸に対して安易に眼を閉ざすことを求めているのではない。死んだ動物の「美しい歯」を賞讃する人は、腐敗したその死骸をも(引用者注: 「をも」に傍点)見ている。しかし死骸が美しい歯を見る妨げになってはいない。悪を善と見、偽を真と見ることは許されない。しかし善と真を見る眼を悪と偽によって曇らされてはならない。」



































































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ねたきり読書日記。

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。


うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本