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鈴木牧之 『秋山記行・夜職草』 宮栄二 校注 (東洋文庫)

「扨も此惣入山村に、昼夜の差別がなく、(中略)眠くなると、白昼にても、誰れでも家内の者勝手次第に寐臥し、夜半でも、目が覺(さめ)ると、(中略)帶(おび)した侭(まま)で起上(おきあが)り、仕事始め〔るなり〕。」
(鈴木牧之 「秋山記行」 より)


鈴木牧之 
『秋山記行・夜職草』 
宮栄二 校注
 
東洋文庫 186 

平凡社 
昭和46年5月28日 初版発行
8p+337p
新書判 
角背クロス装上製本 
機械函
定価600円
装幀: 原弘



『秋山記行』「凡例」より:

「本書所収の『秋山記行』は牧之自筆の草稿本を底本とし、村山家蔵清書本、および『越佐叢書』所収の訂正本をもって校合した(中略)。」
「底本の挿図はすべて掲げたが、訂正本で増補した部分については、解説の項に説明しておいた。」



『夜職草』「凡例」より:

「本書所収の『夜職草』は新潟県南魚沼郡塩沢町、鈴木牧之記念館保管(鈴木雄太郎氏旧蔵)の牧之自筆本(乾・坤二冊)を底本とした。」


『秋山記行』に挿図(モノクロ)18点。その他図版(モノクロ)6点。


鈴木牧之 秋山記行 01


帯文:

「『北越雪譜』の著者鈴木牧之の文政十年信越秋山郷探訪記『秋山記行』は、菅江真澄の紀行文と双璧をなす江戸後期地方文化の生んだ傑作。『苗場山記行』を併載。牧之異色の自叙伝『夜職草(よなべぐさ)』は、倹約・忍耐の美徳を讃え、子孫のために稼穡(かしょく)の道を説いた感動に溢れた教訓の書である。」


帯背:

「秘境探訪と
異色の自伝」



目次:

秋山記行
 凡例
 自序
 巻一
  発端
  塩沢―見玉
  見玉
  清水川原
  三倉
  中ノ平
  大赤沢
  (苗場山記行)
  甘酒
  小赤沢
  小赤沢―上の原
 巻二
  上の原
  和山
  湯本
  屋敷
  秋山村の跡
  前倉
  上結東
  逆巻
   秋山の評
  見玉―塩沢
   秋山言葉の類
 跋

夜職草
 凡例
 夜職草 自序
 夜職草 乾の巻
 夜職草 坤の巻

解説 (宮栄二)
 一、秋山記行
 二、夜職草
 三、鈴木牧之略伝
 四、鈴木牧之年表

『秋山記行』本文挿図 見出し及び注記
『秋山記行』略図



鈴木牧之 秋山記行 02



◆本書より◆


「秋山記行」より:

「又問ふ。秋山中に夜具はないげな、漸々(やうやう)村寄(より)に一ツか二ツ切(きり)と聞(きく)。此義はいかゞと問ふに、寒中の寒(ち)時分は切れ布子(ブウトウ)を着、其うへに網衣(あみぎぬ)をも着(ち)る。此網ぎぬは、山より刈來(ち)たるイラといふ草にて織ると、里の商人(あちんど)は蠟袋にするとて買ふ。極寒(をほかんじ)の時でも夜具はない、右の衣類(ぶうとう)着た儘(まんま)にて、帶もといたりとかぬだりして、爐縁を枕にし、又は炉端(べ)たに横たはり、帶解たるものは、常の着もの(ぶうとう)を其儘(そんま)かけ、爐には大なる(でつこい)割り木(はつちやば)を、夜の明る(あく)迄焚故、火が(ふ)ざくざくと溜り、四方の炉端に寐たるもの〔にて〕、目の覺たるもの火(ふ)をつくろひ、其火氣を便りに寐申(ねまうす)。又、焚火を離れ寐るものは、叺(かます)の中に這入て臥せる。夫妻(みよつと)は取わけ大き(でつこい)なる叺一ツに這入て寐る。家も小手前の者は古風を守る。それでも風を引(ふく)事がない。是此土地に馴育(そだち)たる事故と云。」

「是より燕(ツバクラ)瀧と云(いふ)あり。此處言葉にも噺にも及(およば)ぬ奇景にして、大岩の眞中より漲り落る瀧壺の淵は藍にして、底は千尋(ちひろ)とも云ふべき場所に、其左右共に千仭(せんじん)とも云ふべき程なる大巖覆(おほひ)かゝり、其岩に山乙鳥(やまつばめ)何程と云ふ數知れぬ夥しき巣を喰(くひ)、風景口には演(のべ)がたし。此邊りにも岩魚(いはな)漁(と)る爲に小屋掛(かけ)、何(いづ)れ何十日と云ふ日數も限らず舎(やど)る。是より左へ付て上る事暫(しばらく)、都(すべ)て川邊に附き、水淺瀨になるまで攀上(よぢのぼ)り、又左へ一里半、山師の通路あり。是より岡へ上り切(きる)。魚は乙鳥(つばくら)瀧より川上にては更に取れず。
 是より上州草津の東にあたる、入山村と唱て、爰かしこの谷間に、五軒七軒前後、惣名は入山村にして、十一ヶ處にわかり、乃至二三軒にて秋山の樣に労むもあり。此入山は、草津さへ深山の奧なるに、亦其深山の奧なれば耕作も出來ず、年中の業は〔細工物なり〕。最初の山師の道と申(まうす)は、此入山の者が挊(かせぎ)に奔走して〔つけし道なり〕。草津へ商(あきなひ)に持出す粟毛〔刳筒〕・曲物・下駄・枕・天秤棒・都(すべ)て右躰のもの才工して交易し〔す〕。
 扨も此惣入山村に、昼夜の差別がなく、夏冬共に腰根から澤山ある木を、大なる爐に昼夜のわかちなく焚(たく)。眠くなると、白昼にても、誰れでも家内の者勝手次第に寐臥し、夜半でも、目が覺(さめ)ると、秋山と同じく夜具もなく帶(おび)した侭(まま)で起上(おきあが)り、仕事始め〔るなり〕。」





こちらもご参照ください:

鈴木牧之 編撰/京山人百樹 刪定/岡田武松 校訂 『北越雪譜』 (岩波文庫)
内田武志 編 『菅江真澄随筆集』 (東洋文庫)





















































































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