FC2ブログ

詞: 塚本邦雄/絵: 加藤俊彦 『魔笛』

「われは聞かむ神の振鈴(しんれい)あらぬ世の響き」
(塚本邦雄 「銀鈴調」 より)


詞: 塚本邦雄
繪: 加藤俊彦 
『魔笛 
モーツァルトによせる繪詞』


書肆季節社 
1986年3月3日 
165p 
B5判 
角背バクラム装上製本 
貼函 外函 
頒価15,000円
装訂: 政田岑夫


「本書は限定版として三三三部を(中略)上梓する」



詩画集。詞書と詩26篇に装画(カラー)26点。
加藤俊彦氏のイラスト入り塚本邦雄著書には他に歌集『羅甸絵骨牌』(1981年)、エッセイ集『味覚歳時記』(1984年)、『うつつゆめもどき ― 毒舌いろは加留多』(1986年)、『詩歌博物誌 其之壱』 (1992年)、『詩歌博物誌 其之弐』(1998年)があります。


塚本邦雄 魔笛 01


塚本邦雄 魔笛 02


塚本邦雄 魔笛 03


内容:

魔笛――モーツァルト[魔笛]によせる繪詞
 神聖魔曲生誕由來
 額の花
 鳥刺男
 呪蛇調
 銀閃槍
 睡王子
 妙音笛
 瀕死魚
 戀騎士
 葩の唇
 銀鈴調
 黑曜弟
 溺死柑
 覗星孔
 映月扇
 幽冶郎
 潮騷花
 劍菖頌
 旋花殃
 斷弦樂
 薔薇船
 螺の塔
 月映舞
 道化頌
 虹彩渦
 蜉蝣神
 魔の曙
 



◆本書より◆


「額の花」

「夜の女王は冥界を司つてゐた。彼女には三人のまめやかな侍女が仕へ、光の世界への使者を勤める。彼女の唯一つの矜りと歡びは、淸純百合のごとき王女パミーナであつた。だが王女は、今は別れた夫、現世の王者ザラストロの掌中の珠、狂ほしい思ひに日夜悶える。」

「夜の女王の來し方を今日こそ尋ねよう
私は漆黑の淵の底からうかびあがつた
否、貴方は眞晝の帝王に逐はれた妻だ
  ぬばたまの夜の女王の額の花
  しろがねの蘂ものみなこほる
私の娘は淡紅の水陽炎(みづかげろふ)のしたたり一粒
否、彼女の父も亦眞晝の帝王であつた
私の名は恨み憎しみ苦しみとあはれみ」



塚本邦雄 魔笛 04


「銀鈴調」

「パパゲーノは夜の女王に魔の鈴を貰つてゐた。神殿の僕、軟禁中のパミーナの監視人である黑人モノスタートスは、闖入者の鳥刺しを逐ふ。鳥刺しパパゲーノは進退谷まつて魔鈴を振ると、黑人と奴隷はそれに聽き惚れ、世にも奇妙な踊りを始める。靈驗あらたか。」

「われも鳴らさむ心すずろにこのゆふべ
 天來の音もすずしき秋風の鈴一つ
  すずなすずしろうまのすず草
   しろがねの鈴振る男覡(をとこみこ)よ
   夢涸(か)るる寒夜の斷金調(たんぎんてう)を
  鈴蘭の根に毒ひそめりと聞く
 心(しん)の臟に涼風吹きおくるよろこび
われは聞かむ神の振鈴(しんれい)あらぬ世の響き」



塚本邦雄 魔笛 05


「幽冶郎」

「試煉の寺院でタミーノとパパゲーノは無言の行に入る。イシス神・オシリス神に、ザラストロは、この二人の俗人が、この苦難にうち克つやう祈つてやる。受苦齋戒中のタミーノにパミーナは逢ひに來る。パパゲーノにはパパゲーナが、老婆の異裝で戀を語りかける。」

「地獄の底にも季節がめぐるなら
   春は春婦が遊冶郎(いうやらう)を縊(くび)り殺す時
夏は老孃が若い燕に毒を盛り
    秋は後家が新發意(しんぽち)を調伏(てうぶく)する
冬こそ處女が香具師(やし)を刺し
     その血で復讐としたためる
一年の終りは幼女の呪ひ
      父を縛してくすぐり責め」



塚本邦雄 魔笛 06




こちらもご参照ください:

J・シャイエ 『魔笛 ― 秘教オペラ』 高橋英郎/藤井康生 訳
塚本邦雄 『雪月花 絶唱交響』































関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本