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『クエイ兄弟  ファントム・ミュージアム』

「そして、この周縁の立ち位置が、いかに不完全であっても僕たちのものであったし、現在も僕たちの立ち位置なのです。」
(『クエイ兄弟  ファントム・ミュージアム』 より)


『クエイ兄弟 
ファントム・ミュージアム』

The Quay Brothers Phantom Musæums
編集: 籾山昌夫/清水恭子/柴田勢津子


求龍堂
2016年7月23日
173p+2p
26.5×19.8cm
角背紙装上製本 カバー
定価3,000円+税
装幀: 島田薫


2016年7月23日(土)―10月10日(月・祝)
神奈川県立近代美術館 葉山



本書「あとがきに代えて」より:

「本書は、「クエイ兄弟――ファントム・ミュージアム――」展の図録であるのみならず、日本ではアニメーション制作者、映像作家として語られることの多いクエイ兄弟が、今日の欧米ではより広い分野で活躍し、評価されていることを紹介する意図で編まれた。」


求龍堂オンラインストア
https://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000001281/



クエイ兄弟 01



目次:

メッセージ (クエイ兄弟 訳: 籾山昌夫/三木はるか)
虚実皮膜の間――クエイ兄弟の魔術的世界への誘い (水沢勉)

クエイ兄弟の世界 (解説: 籾山昌夫)
Ⅰ ノーリスタウンからロンドンへ
 ポーランド・ポスター
 黒の素描
 学生時代の映画
Ⅱ 映画
Ⅲ ミュージック・ヴィデオ&コマーシャル
Ⅳ 舞台芸術&サイトスペシフィック・プロジェクト
Ⅴ インスタレーション&展覧会

資料
 クエイ兄弟略年譜
 主要参考文献
 作品リスト
 あとがきに代えて (籾山昌夫)




◆本書より◆


「メッセージ」(クエイ兄弟):

「... If for the most part of some 37 years we have worked at the miniature scale of the tabletop with objects and puppets, it was in the firm belief that this realm had given the two of us a tiny door already slightly ajar but continuously opening upon the marvellous and onto a reality of unseen worlds and onto as Julio Cortazar has said: another order, more secret and less communicable; that the true study of reality did not rest on laws, but the exception to those laws. And that this position in the margins, however imperfect, was ours and is ours; and that this has given us an approach to apprehending life, even in its most fragmentary of forms. To have believed fully in Bruno Schulz's notion of what is to be done with events that have no place of their own in time; events that have occurred too late or gone unregistered; that there were branch lines of time, somewhat suspect, onto which one could shunt these illegal events. This inherently has become a credo for us; one that we have revered again and again and at different levels in the work.」

「僕たちが37年間の大半、オブジェやパペットを用いて、卓上写真のミニチュア・サイズで制作してきたのは、以下のことを強く信じていたからです。この領域が、僕たちふたりに、すでに僅かに開いていた小さな扉を与えてくれたということ。その扉は、不可思議なものや見えない世界の現実、フリオ・コルタサルが言うところの「より秘密の多い、より伝え難い、もうひとつの秩序」に対して開かれていました。また、現実を真に把握するには、法則によるのではなく、その法則の例外によるということ。そして、この周縁の立ち位置が、いかに不完全であっても僕たちのものであったし、現在も僕たちの立ち位置なのです。また、このことが、きわめて断片的なかたちであるにしても、人生を理解する手がかりを僕たちに与えてきたのです。僕たちは、ブルーノ・シュルツの概念を深く信じてきました。それは、時間のなかに自らの場をもたない出来事、遅すぎたか、あるいは、記録されることなく過ぎ去った出来事に対してなすべきことについての概念、また、やや疑わしいものの、こうした法則から外れた出来事の進路を変更できたかもしれない、枝分かれした時間の流れがあったという概念です。これが、本質的に僕たちの信条になり、作品のなかで繰り返し、多様なレベルで尊重してきました。」




クエイ兄弟 02



「In Absentia 不在」より:

「不気味な風景、ベランダと開いた窓、ベランダから垂れた両足、マクロレンズで接写した鉛筆削り、テーブルの上で跳ねる鉛筆、塗装の剥げた柱時計、反時計回りの文字盤、折れた鉛筆の芯、鬼のようなパペット、書き重ねられた細かい文字。マルレーヌ・カミンスキーが演じる女性は、書き終えた手紙を柱時計に投函する。「精神病院から夫に『あなた、来て』と書いた E. H. へ」というエンドロールの献辞から、ハイデルベルクの精神病院から手紙を出していたエンマ・ハウク(1878―1920)の物語と知れる。このテーマは1996年にヘイワード・ギャラリーで開催された、ドイツの精神科医、美術史家ハンス・プリンツホルン(1888―1933)が収集した精神病患者の芸術作品を展示した「ビヨンド・リーズン:芸術と精神病」をヒントにしている。」




Quay Brothers - Street of Crocodiles






こちらもご参照下さい:

コルタサル 『秘密の武器』 木村榮一 訳 (岩波文庫)
『ブルーノ・シュルツ全集』 【全二巻】 工藤幸雄 訳
ハンス・プリンツホルン 『精神病者はなにを創造したのか ― アウトサイダー・アート/アール・ブリュットの原点』 林晶/ティル・ファンゴア 訳
ヤン・シュヴァンクマイエル 『シュヴァンクマイエルの世界』
































































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うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

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